DNAの構造解析、遺伝子操作、クローン人間等、ゲノムサイエンスが飛躍的に発展しつつある現代は、その一方で、死生観に関する人間理解が追いついていない状況といえます。
学習指導要領では「人間の尊重、生命への畏敬の念」という言葉が散見され、ゆとり教育や総合的な学習では「生きる力」の育成が唱えられて久しいですが、いまだに青少年の自殺が後を絶たず、教育現場では「いのちの尊厳」教育の重要性が問われています。
「ヒト」と「人間」、「生命」と「いのち」の違いとは?
生命科学と教育学の対話から、人間理解の根本的思想として、現代に求められるヒューマニズムを提案します。
「いのち」の大切さを教えるのに苦慮する先生方、教育学研究者に、特におすすめです。
目次
●序章 「いのちの尊厳」への教育学
1 「いのちの尊厳」教育
2 「いのちの教育」から見たゲノムサイエンス
3 教育学と生命科学の対話の可能性
4 教科書・学習指導要領に見る「いのちの尊厳」教育
5 「人間の尊厳」教育と理性の啓蒙
6 「人間の尊厳」教育をめぐるヒューマニズム思想
7 キリスト教的ヒューマニズムに見る「人間の尊厳」教育
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著者紹介(肩書は発刊当時、敬称略)
増渕幸男…ますぶち・ゆきお/上智大学総合人間科学部教授