地方公共団体が当事者となっている行政・民事の裁判例(地方自治判例)を収録。
重要判例には解説等を登載。
あわせて、連載講座や訴訟情報など実務記事も多数収録。
年間購読をご希望の方はこちらからお買い求めください。
連載・記事
○はんれい最前線
同性パートナーとの共同生活は「事実上婚姻関係と同様」にあらず
弁護士 藤原孝洋/神戸市 古田 隆
○自治体法務の風を読む
第77回 成年年齢引下げと障がいのある子どもの支援
神戸市こども家庭センター児童福祉法務専門官 紅山綾香
○地方行政判例解説
水路使用料請求事件
弁護士・法学博士 山村恒年
○市町村アカデミー・コーナー
自治体が関わる法的紛争②
弁護士 海老原佐江子
○法律相談
いじめ事案の調査結果の公表と情報公開請求への対応
弁護士 髙橋 英
○訴訟情報
同性カップルの扶養手当請求訴訟――札幌地裁ほか
判決紹介
<議 会>
○政務活動費返還請求住民訴訟事件・さいたま市
さいたま市議会の会派に交付した政務活動費の一部が、さいたま市議会が定める使途運用指針に適合しない使途に用いられており、各会派が不当に利得しているにもかかわらず、さいたま市長がその返還請求を怠っていると主張して、不当利得金の支払を請求することを求める住民訴訟において、支出が使途運用指針に適合しないとはいえないとして、請求が棄却された事例
〔さいたま地令和2年7月22日判決〕
<財 政>
◎公の施設を違法に使用収益する者が得た対価の不当利得返還を怠ることの違法確認等請求控訴事件・橿原市
1 民間業者は、公共施設等運営権の設定を受けなくとも、地方公共団体から行政財産の貸付けを受けて利用料金を収受することができる。
2 専決処分は、これを回避する他の選択肢となる方法を真摯に検討せずにされたものは、地方自治法179条1項の特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかとの要件を満たさず違法であって、こうした違法な専決処分に基づき締結された契約が無効であり、また、同専決処分を行ったことについて市長に過失があり市に対する不法行為責任を負うとされた事例
3 違法な専決処分により締結され無効な契約に基づき市が支出した金員についての不当利得返還債権が、契約の相手方の市に対する同契約に基づく業務による給付についての不当利得返還債権との相殺により消滅したとされた事例
〔大阪高令和2年8月7日判決〕
◎国庫返納補助金返還請求事件・国・栃木県
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律22条に基づくものとしてされた財産の処分の承認が同法7条3項による条件に基づいてされたものとして適法であるとされた事例
〔最高(3小)令和3年3月2日判決〕
<税 務>
○固定資産税賦課決定に関する損害賠償請求事件・大阪府
原告に対する個人事業税の賦課決定処分をするに当たり、原告の不動産貸付けが「不動産貸付業」に該当するという誤った判断をして違法に賦課決定処分をしたと主張し、損害賠償又は不当利得の返還を求めた訴訟において、賦課決定処分に違法な点はないとして請求が棄却された事例
〔大阪地令和3年1月28日判決〕
<労 働>
◎公務外認定処分取消請求控訴事件・熊本県
天草市立小学校で教諭として勤務していた控訴人が、脳幹部出血を発症して後遺障害を負ったことにつき、公務により生じたものであると主張し、公務災害認定請求を行ったが、公務外認定処分を受けたため、処分の取消しを求めた訴訟の控訴審において、発症と公務との間に相当因果関係を認めることができるとして、公務上のものであるとは認められないとした原判決を取り消し、公務外認定処分を取り消した事例
〔福岡高令和2年9月25日判決〕
<教育・文化>
○IR推進局リーフレット配布差止等請求事件・大阪市
1 リーフレットの配布又は配布させることは地方自治法242条1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実ではなく、その差止めの訴えは住民訴訟の対象とすることができないものを対象とするものであり、不適法である。
2 IR推進局による大阪市内の高校生等に配布するためのリーフレットの作成及び配布は、社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものとはいえず、裁量権の範囲を逸脱・濫用したものとして違法であるとはいえないとされた事例
〔大阪地令和2年9月17日判決〕
<土 地>
◎換地処分取消請求控訴事件・那覇市
土地区画整理法に反する違法があるとして、換地処分の取消しを求めた訴訟の控訴審において、換地処分は違法な処分であるが、換地処分を取り消すことは公共の福祉に適合しない特段の事情があるとして、請求を棄却した上で換地処分が違法であることを宣言した原審の判断が維持された事例
〔福岡高那覇支令和元年7月16日判決〕
判決概要紹介
<税 務>
◎固定資産税減免申請不承認処分取消等請求控訴事件・茂原市
〔東京高令和元年10月16日判決〕