地方公共団体が当事者となっている行政・民事の裁判例(地方自治判例)を収録。
重要判例には解説等を登載。
あわせて、連載講座や訴訟情報など実務記事も多数収録。
本誌は2024年4月号から隔月刊にリニューアルしました!!
リニューアルの概要は下記紹介ページをご参照ください。
https://shop.gyosei.jp/information/detail/306
年間購読をご希望の方はこちらからお買い求めください。
連載・記事
○はんれい最前線
納骨堂経営等許可取消しを訴えた周辺住民は原告適格を有するか
榎本洋一(弁護士)/加登屋毅(東京都)/河野貴昭(高浜市) ○自治体法務の風を読む
第110回 行政機関内部における個人情報の利用
町田市総務部法制課(弁護士) 松田勇貴 〇自治体職員に身近な「事実認定」入門
第2回 「物と人」という証拠の種類
春日井市総務部参事(中京大学非常勤講師・弁護士) 吉永公平 ○法律相談
納骨堂の設置許可と住民の原告適格
弁護士 岩本安昭
私立学校法改正への対応
弁護士 小國隆輔 ○訴訟情報
山梨県有地賃貸借契約関係訴訟の弁護士着手金1億4300万円違法訴訟――原告敗訴――甲府地裁判決(控訴) ほか
判決紹介
<自治一般>
◎給水義務の不履行に基づく損害賠償請求事件・宮古島市
配水池の貯水量を適正に保つという重要な役割を有する装置(ボールタップ)について、耐用年数を相当期間超過して使用を継続したことにより経年劣化して破損したことを原因とする断水は、水道法15条2項(平成30年法律第92号による改正前のもの)の「災害その他正当な理由があってやむを得ない場合」に該当せず、水道事業者である市が給水義務の不履行に基づく損害賠償責任を負うとされた事例
〔福岡高令和5年12月21日判決〕
<情 報>
〇行政文書非公開決定に対する取消請求事件・太宰府市
市体育複合施設新築工事の予定価格算定のため市が作成した見積比較表(見積比較検討書を含む。)の「複数業者の見積額のうち最も低額な見積額」等の情報の公開請求に対し、「見積比較表(見積比較検討書)の製造業者(①メーカー、②ファブリケータ-、③資材業者)の価格」は市情報公開条例が規定する非公開情報に該当するとして、上記各価格のうち最も低額な見積額を公開しないとした一部公開決定のうち、同見積額を非公開とした部分が違法であるとされた事例
〔福岡地令和4年3月30日判決〕
◎行政文書非公開決定処分取消請求控訴事件・神奈川県湯河原町
町議会の議事録の非公開決定処分の取消訴訟において、原審が、理由の提示の要件を欠くから取り消されるべき瑕疵があり、非公開情報に該当するともいえないと判断して処分の取消請求を認めたことから湯河原町が控訴したところ、実体要件に係る原判決の判断に拘束力は及ばず、控訴の利益を欠くとして、控訴が却下された事例
〔東京高令和4年10月31日判決〕
<議 会>
◎普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰等に係る損害賠償請求控訴事件・高知県東洋町
町議会の議員に対する懲罰が町議会の有する裁量の範囲を逸脱するものであるとして国家賠償法1条1項に基づく請求が一部認容された事例
〔高松高令和4年11月16日判決〕
◎議員報酬等不当利得返還請求事件・大阪市
1 公職選挙法251条の規定により遡って大阪市の議会の議員の職を失った当選人は、同市に対し、当該当選人を唯一の所属議員とする会派の行った大阪市会政務活動費の交付に関する条例(平成13年大阪市条例第25号)5条所定の政務活動に関し、不当利得返還請求権を有することはない。
2 公職選挙法251条の規定により遡って大阪市の議会の議員の職を失った当選人は、同市に対し、上記議会の議員として行った活動に関し、不当利得返還請求権を有することはない。
(2につき、補足意見及び反対意見がある。)
〔最高(3小)令和5年12月12日判決〕
<契 約>
〇防犯灯電気料補助金返還請求事件・茅ヶ崎市
原告(茅ヶ崎市)が被告ら(自治会)に対して防犯灯電気料を補助金として交付していたことに関し、補助金は負担付きで被告らに贈与したものであるが、被告らが負担を履行しなかったことから贈与契約を解除したと主張して、補助金の返還を求めた訴訟において、負担付贈与契約とは認められないとして請求が棄却された事例
〔横浜地令和4年4月8日判決〕
◎随意契約締結に係る住民訴訟控訴事件・徳島県美波町
随意契約の方法により鉄道敷地内の雨水管渠新設工事に関する契約を締結したことが地方自治法234条2項などに反する違法があると主張して、当時の町長に対し損害賠償を請求することを求めた住民訴訟の控訴審において、契約締結に違法な点はないとした原審の判断が維持された事例
〔高松高令和4年11月17日判決〕
<公務員労働>
◎異動、転任の違法を理由とする国家賠償請求控訴事件・千代田区
被控訴人が控訴人に対して職場環境に配慮せず不当な動機・目的をもって異動を命じたこと、控訴人の職種と異なる職種に転任させ、又は控訴人の職種と異なる職務を担当させ、長期間留め置いたこと等の一連の行為が違法な公権力の行使又は信義則上の安全配慮義務に違反するものであり、これにより控訴人が財産的、精神的損害を被ったなどと主張して、国家賠償法1条1項又は信義則上の安全配慮義務違反に基づく損害賠償を請求したことについて、被控訴人の控訴人に対する人事上の措置は、控訴人の健康状態を悪化させる恐れが高いものであり、裁量権を逸脱するものであって違法な公権力の行使に当たるとして精神的損害に対する損害賠償請求が認められた事例
〔東京高令和4年5月20日判決〕
◎公立学校教員の時間外勤務手当等請求控訴事件・埼玉県
埼玉県の市立小学校の教員が、労基法による時間外割増賃金の支払を求めた訴訟の控訴審において、公立学校教職員は労基法に基づいて時間外割増賃金を請求することはできないとした原審の判断が維持された事例
〔東京高令和4年8月25日判決〕
<教育・文化>
〇部活動に関する損害賠償請求事件・古賀市
原告が剣道部の部員として合同合宿に参加し、熱中症となったことに関し、原告が所属する剣道部の顧問は、温度を把握し得る環境を整備するなどの義務を怠ったとして、安全配慮義務違反が一部認められた事例
〔福岡地令和4年3月25日判決〕
<厚 生>
〇香川県ネット・ゲーム依存症対策条例に係る損害賠償請求事件・香川県
18歳未満の子どもの1日のゲーム時間の目安等を示した香川県ネット・ゲーム依存症対策条例の立法行為及び同条例の改廃をしないことの立法不作為は国家賠償法1条1項の違法に当たらないと判断された事例
〔高松地令和4年8月30日判決〕
◎コロナ感染者立ち寄り店名公表に係る損害賠償請求控訴事件・徳島県
飲食店を経営する会社が、徳島県知事が同意なく、新型コロナウイルス感染症の感染者の立ち寄り先として、飲食店の店名を公表したことにより、名誉・信用・営業の自由・財産権が侵害されたことを理由とする徳島県に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求が、違法性を欠くとして請求を棄却した原判決が支持され、控訴が棄却された事例
〔高松高令和5年7月13日判決〕
判決概要紹介
<厚 生>
◎指定更新処分義務付け等請求控訴事件・神奈川県
〔東京高令和4年12月22日判決〕
<道 路>
◎道路管理瑕疵に係る賠償請求控訴事件・大阪府
〔大阪高令和4年2月24日判決〕