日本語を母語としない子どもたちの教育について考える―。
1990年の「出入国管理及び難民認定法」改正以来、日本に住む外国人は増加を続けており、親に伴われて来日する学齢期の子どもや日本生まれの子どもたちの存在は、日本の教育現場にかつてない言語文化的多様性をもたらしています。
本書は、移民の子どもを取り巻く教育環境について、神奈川県秦野市近隣の外国籍市民の実態を研究した成果や、日系ペルー人の実体験を語ったコラムなどを掲載し、日本国内の多文化を持つ人々に目を向け、教育現場における「内なる国際化」を考察します。
多くの教育現場でいま求められる一冊です。
目次
第1部 子どもの母語とアイデンティティ
第1章 文化間移動と子どもの言語発達
Column 多文化家庭に育って その1―様々な言語が飛び交う中で―
第2章 日本に住む多文化家庭のバイリンガリズム
Column 多文化家庭に育って その2―日本での高校進学―
第3章 子どものアイデンティティ交渉
Column 多文化家庭に育って その3―ペルーと日本:二つの文化の狭間で―
Column 多文化アイデンティティを育てるには―北米の多文化教育を例に―
第4章 ブラジルの日系人と在日ブラジル人―言語・メンタリティ―
Column 異文化適応力はバイリンガルの生活の知恵
第5章 ことばとアイデンティティ ―複数言語環境で成長する子どもたちの生を考える―
Column 「ベトナム難民」二世を、私たちはいつまで「ベトナム人の子ども」と呼ぶのだろうか
第2部 多文化共生と教育
第6章 多文化共生社会の実現にむけて
Column 多文化家庭に育って その4―大学生活の現実と将来の夢―
第7章 多様化する外国籍の子どもと多文化教育の変容
第8章 文化・ことばと国際理解教育―文化力形成の視点から―
第9章 教師の多文化の子どもに対する意識と国際理解教育の実践
第10章 多文化家庭、学校、地域の連携とエンパワメント
Column 「居場所」とエンパワメント ―ボランティア学生の振り返りから―
第3部 執筆者との対話
対談 多文化の子どものことばとアイデンティティ
座談会 多文化共生に必要な「文化力」を国際理解教育で育てる