北米地域を国境という人為的な境界で分断せず、歴史・地理・思想・政治・経済・文学・メディアなど多方面から横断的に分析。
国民・国家という伝統的な考え方「ナショナル」を再考し、「北アメリカ大陸とその周辺域」の過去・現在・未来に迫る地域研究の新・入門書。
180度逆転したアメリカとカナダ
2016年のアメリカ大統領選挙で勝利したドナルド・トランプは、「アメリカ・ファースト」を掲げてグローバル化に背を向け、愛国主義的な政策を次々に打ち出している。ほぼ時を同じくしてカナダ首相となったジャスティン・トルドーは、多文化主義を掲げ、世界に開かれたカナダを標榜。前著『北米研究入門―「ナショナル」を問い直す』刊行時点(2015年)での体制(アメリカ:バラク・オバマ大統領/カナダ:スティーヴン・ハーパー首相)から、両国の状況が180度逆転した。本書は、こうした新たな枠組みを踏まえて、北米地域を今日の視点から多面的に考察する。
目次
第1部 歴史・地理・思想系
第1章 北米地域を歴史・地理的に研究する
第2章 アメリカのキリスト教と終末論─エルサレムを目指して
第3章 キリスト教青年運動と女性─万国基督教学生連盟の草創期の活動から
第2部 多文化・社会系
第4章 ヴェールを被る理由、被らない理由─ケベックのムスリム女性たちの声を聴く
第5章 北米地域の先住民と大学─米国における学生支援とネットワーク構築
第6章 白人性と特権の心理学─植民地時代からトランプ以後まで
第3部 国際政治・経済系
第7章 政治・外交─曲がり角を迎えた「自由と民主政治」という理想
第8章 消える国境・残る国境・変わる国境─NAFTA後の北米地域
第4部 文学・メディア・表象系
第9章 フランスの「ハワイアン」たち─ヨーロッパ戦線におけるアメリカ日系二世兵の記憶
第10章 アメリカにおけるオースティン受容─ウォートンの『歓楽の家』を翻案小説として読む
第11章 シネマトグラフィー入門─疎外とアイデンティティに関する代表的アメリカ映画の考察を通じて
Column アメリカ/北米大陸の防衛とカナダ / カナダの国技ラクロス/ カナダへのブルースの浸透度について
編著者一覧
編著者
上智大学アメリカ・カナダ研究所/編
執筆者
小塩和人 上智大学外国語学部英語学科教授
増井志津代 上智大学文学部英文学科教授
石井紀子 上智大学外国語学部英語学科教授
伊達聖伸 東京大学大学院総合文化研究科准教授
水谷裕佳 上智大学グローバル教育センター准教授
出口真紀子 上智大学外国語学部英語学科教授
前嶋和弘 上智大学総合グローバル学部総合グローバル学科教授
谷 洋之 上智大学外国語学部イスパニア語学科教授
飯島真里子 上智大学外国語学部英語学科准教授
小川公代 上智大学外国語学部英語学科教授
ケネス・G・オキモト 上智大学外国語学部英語学科教授
飯野友幸 上智大学文学部英文学科教授
本書と併せて読みたい書
『北米研究入門―「ナショナル」を問い直す』上智大学アメリカ・カナダ研究所/編 [本体1,040円/2015年刊]
https://shop.gyosei.jp/products/detail/8733
『グローバル・ヒストリーズ―「ナショナル」を越えて』上智大学アメリカ・カナダ研究所、イベロアメリカ研究所、ヨーロッパ研究所/共編[本体1,200円/2018年刊]
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9650