上智大学大学院グローバル・スタディーズ科で2002年から2007年まで研究を積み重ねてきた「地域立脚型グローバル・スタディーズの構築(通称AGLOS)」プログラム(文部科学省「21世紀COEプログラム」として採択)の成果をまとめたもの。
グローバル化は、モノ、カネ、人、情報の急速大量移動によって、国境で仕切られていた地球を狭くし、利便性を増しました。
一方で、市場万能主義が格差を拡大し、一部の者のみが富を獲得し、貧しい途上国では債務の返済さえおぼつかない状況が生まれています。
本書では、各執筆者が実際に現地へ足を運んで得た情報を元に、ローカル(主に日本・アジア、中東、ラテンアメリカ諸地域)の視点に立ち、グローバル化による貧困・開発・紛争のなか、ローカルな人々がどのように生き抜こうとしているのかを明らかにすることを試みています。
目次
1 開発と紛争
・グローバルな開発、ナショナルな開発そして紛争――インドネシアから考える/村井吉敬
・紛争と経済――コロンビアの国内避難民(IDP)問題をめぐるグローバル/ローカル・イニシアティブ/幡谷則子
2 紛争後の復興とグローバル・スタンダード
・国際和解を想像する――東ティモールにおける過去の人権侵害の裁きをめぐる二つのローカリティ/福武慎太郎
・紛争後の復興・開発とジェンダー――カンボジアにみる制度的変化と個人の人生/目黒依子
3 グローバルな開発vsローカルな民衆の取り組みとその広がり
・グローバル援助の問題と課題――スマトラ沖地震・津波復興援助の現場から/佐伯奈津子
・拡大するダム反対運動のネットワーク――インドネシアの事例から/久保康之
・貧困者の歩み(People's Process)の発展――パキスタン、タイの事例から/下川雅嗣