上智大学で長年日本語を教えている著者が、日本語で書かれた作品を教材とすることで、作品が伝える日本語の情感を読み取りながら文法・文型を教える方法を提言する1冊。
難解と思われがちな日本語をよりよく教え、学んでもらうための方法を、親しみやすい教材案やモデル授業をとりあげて提案します。
そのために、『のだめカンタービレ』『ももこのいきもの図鑑』『岳物語』『窓ぎわのトットちゃん』など親しみやすい作品を教材とし、話し言葉や敬語、授受の表現などを日本語を学ぶ方法を紹介。
また、日本語の特徴や日本語教育の現状と課題を示すことで、日本や海外で日本語を教える立場の人を手助けする内容となっています。
日本語学習者・日本語研究者・外国語教育関係者にもお勧めです。
目次
1 学ぶ人
英語を学ぶ/日本語の教室の人々/学ぶ様子/学ぶ人のきっかけと目的/学ぶ機関/ほか
2 話し言葉を教える
話し言葉/教科書と辞書の「ね」と「よ」の定義/例証1.話し言葉で教えられること 作品より/例証2.書き言葉に近い敬体の話し言葉 講演より
3 教える人
教える人からの発信 日本語教育の体験/教師の養成/日本語母語話者が教える場合/日本語非母語話者が教える場合/ほか
4 授受の表現
授受の表現/辞書の説明/教科書を教材として使う/物の授受の用例/場面設定:誕生祝・切符・お礼の授受/行為の授受の用例/場面設定:引越しの手伝い/ほか
5 教え方の変化
外国語を学ぶ/教え方の変化/ほか
6 作品で教える「アメリカザリガニ」
作品を教材として使う/モデル授業の概容
7 喜怒哀楽の表現
作品からの情意表現の特徴/喜び、楽しさ、うれしさ/怒り、哀しみ、心配/願望「たい」/迷惑受身/苦情、詫びる、褒める、自慢する
8 世界の中の日本語 日本語教育から見る世界
日本語の顔が見える時代/ほか
●参考文献/日本語教育関連のサイト/ほか
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著者紹介(肩書は発刊当時、敬称略)
広田紀子…ひろた・のりこ/上智大学国際教養学部教授