上智大学大学院グローバル・スタディーズ科で2002年から2007年まで研究を積み重ねてきた「地域立脚型グローバル・スタディーズの構築(通称AGLOS)」プログラム(文部科学省「21世紀COEプログラム」として採択)の成果をまとめたものです。
グローバル化は、モノ、カネ、人、情報の急速大量移動によって、国境で仕切られていた地球を狭くし、利便性を増しました。
一方で、市場万能主義が格差を拡大し、一部の者のみが富を獲得し、貧しい途上国では債務の返済さえおぼつかない状況が生まれています。
本書では、特に「人とモノの地球規模の動き」に着目し、物流と人口移動によるグローバル化の諸相を分析しています。
目次
1 国境を壊そうとする政策枠組み・国境を再利用しようとうする人びと
・生産のグローバル化を歴史的視角から分析する――20世紀初頭の中国における綿産業の事例(リンダ・グローブ)
・NAFTAを逆手に取る――メキシコ・ハリスコ州におけるトウモロコシ・トマト生産の事例から(谷洋之)
・グローバル化時代における地域ブランド創出の試み――チリワイン産業の事例から(村瀬幸代)
2 国境を越える人びと・外来者を迎える地域
・グアテマラにおけるアパレル・マキラドーラ産業の多様性――製品特性からのアプローチ(藤井嘉祥)
・スペシャルティー・コーヒーの光と影――ハワイ島コナ・コーヒー産業におけるグローバル化の社会的・経済的影響の考察(飯島真里子)
・中国経済のグローバル化とは何か――移民の歴史、トランスナショナルな企業活動、そして地方政府(デヴィット・L・ワンク)
3 国境を越える情報・生み出される文化
・宗教的シンボルの流通と消費――フィリピンのサント・ニーニョ崇敬を事例として(寺田勇文)
・中国における性革命25年史――グローバル化と文化(ジェームズ・ファーラー)