「源氏物語」と中国文学の傑作「紅楼夢」につき、その類似点・相異点を全く新しい視点から具体例を示して論じる書。
日中共通の美と悲哀の文学精神を解明し、「艶」の美的世界を通して両書の比較を試みています。
目次
1 「源氏物語」と中国の情艶文学
紫式部の学問と文学創造/鳳凰のやどり木 桐壺の更衣の死/闇の中の紅葉 藤壺の女御の不倫/貞節の悲しみ 空蝉のゆらぎ/あそびの花 夕顔と狐の美女/怨霊の美女 六条の御息所の苦悶/鏡の前の孤鳥 紫の上の悲運/海から来た女 明石の上の幸運/流謫の貴公子 光源氏の罪と罰
2 「源氏物語」と「紅楼夢」
日中の情艶文学/風流公子の悲哀 光源氏と賈宝玉/涙の負債 紫の上と林黛玉/まぼろしの庭 六条院と大観園
・結び 有為の奥山
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著者紹介(肩書は発刊当時、敬称略)
吉田とよ子/上智大学比較文化学部教授