多文化共生を実現させるために、日本人(マジョリティ)の「特権」の意識改革に働きかける一冊
これまでの“多文化教育”では社会的少数派のマイノリティ側へ変化を求め、
彼らを教育・エンパワーすることによって多文化共生を実現しようとしてきましたが、
本書はその考えに一石を投じます。
★学際的かつ実務的観点から、「日本人の意識改革」に向けて考察。
●日本人の特権の意識を可視化するために開発された「日本人特権尺度(JPS)」についても紹介。
●言語教育研究で第一人者の久保田竜子先生(ブリティッシュコロンビア大学教授)も寄稿しています。
●単純な「マイノリティ対マジョリティ」という図式だけでなく、包摂的に多文化共生の実現を模索します。
目次
はじめに 多様化社会に向けての現状と課題
第1部 マクロ的考察:言語教育と教育政策
第1章 外国語教育へのアプローチ:排他的対包摂的言語政策の相克(坂本光代)
第2章 言語教育政策をめぐるマジョリティとマイノリティ:
多民族社会マレーシアの英語教育政策の事例(杉村美紀)
第3章 真の多文化共生を目指して:望まれる言語教育と教育政策(坂本光代・杉村美紀)
第2部 特権の可視化:日本人に向けた意識化への働きかけ
第4章 「特権」の概念:北米社会と白人特権の考察(出口真紀子)
第5章 特権を意識する:日本の大学生における授業実践を通して(渋谷 恵)
第6章 日本人の特権を可視化するための尺度の開発(出口真紀子・渋谷 恵)
第3部 ミクロ的考察:「特権」の観点から見たマジョリティとマイノリティ
第7章 大学における言語文化的多様性:日本育ちの外国につながる大学生(宮崎幸江)
第8章 多文化共生社会への想像力:横浜市鶴見区の事例から(田村梨花)
第9章 言語文化的多様性と少数派の学生の「日本人特権」に対する意識(宮崎幸江・田村梨花)
第4部 マクロとミクロ:社会的に醸成される差別
第10章 レイシズムに対抗する多数派の立ち位置と責務(久保田竜子)
おわりに 現状に疑義を呈す:真の多様化社会の実現に向けて
執筆者紹介
坂本 光代(さかもと・みつよ) 上智大学外国語学部英語学科教授
杉村 美紀(すぎむら・みき) 上智大学総合人間科学部教育学科教授
国連大学サステイナビリティ高等研究所客員教授
出口 真紀子(でぐち・まきこ) 上智大学外国語学部英語学科教授
渋谷 恵(しぶや・めぐみ) 明治学院大学心理学部教育発達学科教授
宮崎 幸江(みやざき・さちえ) 上智大学短期大学部教授
田村 梨花(たむら・りか) 上智大学外国語学部教授
久保田竜子(くぼた・りゅうこ) ブリティッシュコロンビア大学教育学部言語リテラシー教育学科教授