終わらない運動としての“ダダ”。
「ダダ―ポストダダ」の可能性を探る
第一次世界大戦時にスイスの街チューリッヒで生まれた新たな芸術潮流ダダ。その後世界的に広がる運動となり、ベルリン・ダダに中心的に関わったラウール・ハウスマンと、運動としてのダダが過ぎた後の「ポストダダ」期にハウスマンと関わりのあったかつてのダダイストたちの活動に焦点を当て、新たな視点でダダを読み直す試み。
現代美術研究の第一線で活躍する執筆者陣による論考と、シンポジウムでの議論を収載。
目次
はじめに 歴史的「ダダ」を超えて、その向こうへ
Ⅰ ポストダダ文学としての『ヒュレ』
ラウール・ハウスマンの芸術とポストダダ文学『ヒュレ』
ラウール・ハウスマン『ヒュレ』におけるロマン主義とユートピア
――女たち、女神たち、植物たち
Ⅱ ラウール・ハウスマンとポストダダ群像
性とイメージ探求のパラレルヒストリー
――「ダダカップル」ハウスマンとヘーヒの“その後”
葛藤する対話
――ラウール・ハウスマンとクルト・シュヴィッタース
ポストダダの「夢」の深層を探る
――ツァラ、ハウスマン、夢野久作をめぐって
DadAist FILE
ラウール・ハウスマン/ハンナ・ヘーヒ/クルト・シュヴィッタース/トリスタン・ツァラ
Ⅲ 〈ディスカッション〉ダダ―ポストダダの可能性
上智大学・国際シンポジウム
「ラウール・ハウスマンとポストダダ~危機の時代のアヴァンギャルド~」から
コラム
ダダの女性たちとポストダダ/日本のダダとポストダダ
執筆者紹介
小松原 由理 上智大学教授
Hélène Thiérard ザールランド大学PD
香川 檀 武蔵大学名誉教授
河本 真理 日本女子大学国際文化学部教授
塚原 史 早稲田大学名誉教授
吉田 裕馬[執筆協力] 上智大学大学院文学研究科ドイツ文学専攻
ドイツ文学専攻