【遠藤周作 生誕101年】
遠藤周作研究者で、モーリヤック小説の翻訳者
福田耕介によるキリスト教ヒューマニズム研究!
〇日本を代表する作家“遠藤周作”、ノーベル文学賞受賞者であるフランスの“フランソワ・モーリヤック”。20世紀を代表する二人のカトリック作家の分析は、遠藤周作という作家の研究のみならず、キリスト教ヒューマニズム研究としても、価値ある一冊である。
〇本書は、遠藤がモーリヤック作品に出逢う経緯から、遠藤が受けるモーリヤックの作中ヒロインからの影響、遠藤の思い描く女性像、そして二人の作家の母親が、各々の人生の中でどのように位置づけられているか・・・などを、遠藤の小説世界からの視点で丁寧に解明していく。
宗教観のみに捕らわれず、男性・女性像、同性愛や人種、親と子の関係性や時代背景など
多彩な視点からも楽しめる一冊。
目次
◆序 章:カトリック作家の問題、肉欲、母性
◆第一部:遠藤周作と堀辰雄
第一章)堀辰雄からモーリヤックへ
第二章)『テレーズ・デスケルー』をめぐる堀と遠藤
◆第二部 モーリヤックを読む遠藤周作
第一章)遠藤周作のモーリヤック論――「受身の姿勢」をめぐって
第二章)『テレーズ・デスケルー』翻訳をめぐって
第三章)「テレーズとの対話」から遠藤の自伝的短篇小説へ
◆第三部:遠藤周作の小説世界における「テレーズの影」
第一章)初期小説におけるテレーズ的女性の点描
第二章)『海と毒薬』における『テレーズ・デスケルー』の「息遣い」
――女性の二つの顔をめぐって
第三章)『わたしが・棄てた・女』と『テレーズ・デスケルー』
第四章)テレーズ的作中人物の誘惑と救済
◆終 章:遠藤周作、フランソワ・モーリヤックにおける母親の死
著者紹介
福田 耕介(ふくだ・こうすけ)
上智大学教授。訳書に、フランソワ・モーリヤック著『テレーズ・デスケルー』(2020年、上智大学出版)。