ネパールから来日したコックとその家族が直面する言葉・仕事・健康・教育の問題。
当事者や送り出すネパール側だけでなく、受け入れる日本側の課題も多い。
ネパールから留学生としてやってきた臨床心理士の視点から、在日ネパール人コックとその家族の、
苦悩と希望を描き出す。
日本の商店街や駅前で見かけることが増えたインド・ネパール料理店。
在日ネパール人10万人のうち約3分の1はコックとその家族であるが、その生活や労働の実情を
知る日本人はほとんどいない。
ネパール人臨床心理士で移民支援にも携わる著者が、在日ネパール人コックや家族の実情を紹介し、
日本の移民制度の問題点等を考察する本邦初の書籍。
〇エスニック料理に関する著作で広く知られる小林真樹(まさき)氏のコラムも掲載。
目次
第1章 チーズナン
コラム1 日本におけるインド・ネパール料理店の展開〈小林 真樹〉
第2章 メンタルヘルス
第3章 サイクル
第4章 内戦の影
コラム2 オーナーを目指すコック〈小林 真樹〉
第5章 母親たち
コラム3 日本で暮らすネパール女性〈ザヌカ・カティワダ〉
第6章 子どもたち
第7章 暗雲の中の希望の星
解説 ネパール人コックの移動から見える日本の課題
著者紹介
ビゼイ・ゲワリ
博士(医療福祉学)。臨床心理士。鍼灸師。2007年に日本語学校生として来日。一般社団法人日本インターナショナル・サポート・プログラム(JISP)のメンバーとして、東日本大震災、熊本大地震、ネパール大地震、バングラデシュでのミャンマー避難民支援などに従事。
小林真樹(こばやし・まさき) コラム1およびコラム2
食器・調理器具の輸入卸業を主体とする有限会社アジアハンター代表。著書に『食べ歩くインド 北・東編』『食べ歩くインド 南・西編』(旅行人、2020年)、『日本のインド・ネパール料理店』(阿佐ヶ谷書院、2022年)ほか。
ザヌカ・カティワダ コラム3
博士(医療福祉経営学)。ネパールの大学院で社会福祉学の修士号取得後、ビゼイ・ゲワリとの結婚を機に2014年に来日。国際医療福祉大学大学院で博士号取得後、助教として勤務。
定松栄一(さだまつ・えいいち) 翻訳
市川市生活サポートセンターそら相談支援員。特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会、および公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン元ネパール駐在員。著書に『開発援助か社会運動か-現場から問い直すNGOの存在意義』(コモンズ、2002年)ほか。
田中雅子(たなか・まさこ) 監訳・編集・解説
上智大学総合グローバル学部教授。博士(開発学)。社会福祉士。滞日ネパール人のための情報提供ネットワーク コーディネーター。国際協力論、ジェンダー論、南アジア地域研究を教えるかたわら、国内外の市民運動や国際協力の実務に関わる。