フランス20世紀を代表するカトリック作家、フランソワ・モーリヤックの没後50年を機に、代表作 Thérèse Desqueyroux を新邦訳!
フランス・ボルドー近郊のどこまでも広がる松林を血の中に受け継いできたテレーズ。
彼女が探し続ける『もうひとりの自分』とは?
作品紹介
夫に対する毒殺未遂容疑で予審にかけられていたテレーズだが、家名を重んじる実家と婚家デスケルー家の奔走により免訴となる。しかし、夫はテレーズとの対話を拒み、彼女の自由を奪い、世間を欺くための演技だけを求める。虚しい時間の中でテレーズは、親友アンヌとの思い出、アンヌの想い人ジャン・アゼヴェドが自分にもたらした変化、そして夫に砒素を盛るに至った記憶をたどる。―フランス・ボルドー近郊の松林が生い茂るランド地方を舞台に、「もうひとりの自分」を探して因習の中でもがき続ける一女性の心の内を描く不朽の名作。
目次
・第1章~第13章
・解説
訳者プロフィール
福田耕介(ふくだ こうすけ)
上智大学教授
1964年東京生まれ。東京大学大学院博士課程中退。ボルドー第三大学フランス文学・比較文学科博士課程修了(文学博士)。現在、上智大学教授。国際モーリヤック学会副会長。専攻はフランソワ・モーリヤックを中心とする20世紀のフランス小説の研究。白百合女子大学在職中より、遠藤周作の研究にも手をひろげて、モーリヤックとの比較を核に据えて取り組んでいる。主な著書(すべて共著)に、François Mauriac 7, Mauriac lu par ses pairs(Lettres modernes Minard)、L’Amiti´e, ce pur fleuve ...,(L’Esprit du temps)、『スタンダール、ロチ、モーリヤック―異邦人の諸相』(朝日出版社)、『遠藤周作 挑発する作家』(至文堂)。ほかに訳注として、遠藤周作「フランス留学時代の恋人フランソワーズへの手紙」(『ルーアンの丘』増補新版、PHP研究所)。