19世紀メキシコの大衆印刷文化に関する本邦初の研究書
印刷文化が花開いた19世紀メキシコの、「オハ」とよばれる庶民向け印刷物から当時の庶民生活・文化・価値観などを鮮やかに読み解く。
メキシコ近代美術の父と言われるホセ・グァダルーペ・ポサダは世界で一番有名な骸骨の貴婦人「カトリーナ」の作者である。そして、ポサダの作品の多数を世に送り出したバネガス=アロヨ工房について、近年研究が一気に進んでいる。
本書では、両者の関係に光を当てるとともに、まだ研究がほとんどされていないメキシコの当時の文化や風俗について丁寧に分析をする。
目次
第1章 ホセ・グァダルーペ・ポサダとは誰か
第2章 アントニオ・バネガス=アロヨとは誰か
第3章 バネガス=アロヨ工房と「カラベラ」
第4章 印刷物から見える十九世紀末のメキシコ市民像
第5章 十九世紀のメキシコシティの女性たち
第6章 バネガス=アロヨ社の風刺劇と検閲
第7章 創業者アントニオ自身が作家だったのか?
第8章 児童文学から見える十九世紀の社会階級
著者 編訳者紹介
[著者] 長谷川ニナ
1957年メキシコシティ生まれ。1978年来日。東京外国語大学特設日本語学科卒業。東京大学大学院比較文学比較文化修士課程修了、博士課程満期修了。現在、上智大学外国語学部教授。
主な論文、共著、翻訳に「一茶の句における日本の家」(『比較文学研究』第52号、1987年、東大比較文学会)、「メキシコの先住民の笑いについての一考察」(『笑いと創造』第2集、2000年、勉誠出版)、『暁斎画談』スペイン語訳(河鍋暁斎記念美術館、2019年)他。
[編訳者] 八木啓代
京都外国語大学スペイン語学科卒。音楽家・作家として、メキシコシティと東京を拠点に幅広く活動。
メキシコPentagrama社から4枚のCDアルバムを発表の他、主な著書に『禁じられた歌』(晶文社)、『危険な歌』(幻冬舎)、『キューバ音楽』(青土社)、『ラテンに学ぶ幸せな生き方』(講談社)、『ラテンアメリカくいしんぼひとり旅』(光文社)、『リアルタイムメディアが動かす社会』(東京書籍)他多数。