20世紀ドイツ文学を代表する作家、
エリアス・カネッティ初の本格的伝記
本書はノーベル文学賞作家エリアス・カネッティ生誕100年にあたる2005年に出版されたスヴェン・ハヌシェクによるElias Canetti Biographie(ドイツ・ハンザー社)の全訳であり、カネッティ初の本格的な伝記です。
1981年度ノーベル文学賞を受賞したカネッティは、多言語・多文化の横断者であり、文化の多様性とグローバル化の共存という現代の文化状況を考える上で重要な役割を担っている人物です。
その作品は大半が日本語に翻訳され、国内でもその重要性が知られています。
ドイツ語圏作家としては、現在、最も広範な影響力を持つ一人といえます。
その伝記自体も、20世紀ヨーロッパの知的交流史としても資料価値が高いものとなっています。
目次
【上巻】
プロローグ「人間は変身する動物である」
一章 伝記嫌い カネッティの反伝記への情熱
二章 「すべてはルスチュクですでに一度起きたことだった」 幼年期(1905−1911年)
三章 どこに行っても模範生
マンチェスター、ウィーン、チューリヒ、フランクフルトでの学校時代(1911−1924年)
四章 「自分の過去の絶え間ない変転」
自伝の根本原則
五章 「おおお、母さんの背中からぼくは厳しい世界に飛び出す」ウィーンでの大学生時代。カール・クラウスという傷(1924−1929年)
六章 一九二七年七月一五日
七章 カネッティは同志か?
ベルリン間奏曲(1928年)
八章 カネッティの主要大量テキスト 断想
九章 「三ページと書かない日はない」
ウィーン時代の交友関係(1929−1935年)
一〇章 『眩暈』
一一章 不能の享楽家たち
ウィーン時代の交友関係(1935−1938年)
一二章 「彼はファヌスのように正直だ」
亡命までの非市民的絆
一三章 『結婚式』、『虚栄の喜劇』
一四章 「わたしは芸術家ではないのかもしれない」
イギリスでの亡命生活(1939−1945年)
--------------------------------------
訳者紹介(肩書は発刊当時、敬称略)
【著者】
スヴェン・ハヌシェク/上智大学文学部教授(アメリカ文学専攻)
1964年生まれ。ミュンヒェン大学で教鞭をとるかたわら、エリアス・カネッティ、ウーヴェ・ヨーンゾン、ハイナール・キップハルトなど主として20世紀のドイツ語圏作家を対象に著書、論文を多数執筆。本書のほか、伝記としては『エーリヒ・ケストナー――謎を秘めた啓蒙家の生涯』(藤川芳朗訳 白水社 2010年)がある。
【訳者】
北島玲子…きたじま・れいこ/上智大学教授
黒田晴之…くろだ・はるゆき/松山大学教授
宍戸節太郎…ししど・せつたろう/國學院大學助教
須藤温子…すとう・はるこ/日本大学芸術学部准教授
古矢晋一…ふるや・しんいち/慶應義塾大学文学部非常勤講師
エリアス・カネッティ伝記 上・下巻セット
エリアス・カネッティ伝記 下巻セット