上智大学大学院グローバル・スタディーズ科で2002年から2007年まで研究を積み重ねてきた「地域立脚型グローバル・スタディーズの構築(通称AGLOS)」プログラム(文部科学省「21世紀COEプログラム」として採択)の成果をまとめたもの。
経済活動、政治変動、社会運動など多方面においてグローバル化(地球規模の広がり)が進む今日、地域研究、比較文化及び国際関係論における新しい方法論の構築が必要とされはじめています。
本書は、グローバル化が、国家を含むローカルな政治に与える影響と、ローカルな政治の側の反応や主体的な動きをさまざまな角度から分析しています。
グローバル化の解明に政治学的考察の必要性を喚起するきっかけを示唆します。
国際政治に関心のある方は、是非ご一読をお薦めします。
目次
1 グローバル化のなかの民主政治
・現代日本の「ナショナリズム」とグローバル化――「政治的反自由と経済的自由」の政治研究/中野晃一
・新自由主義改革の政治分析――収斂論争のなかの日本/三浦まり
・食の安全をめぐる政治――「安心・安全」と消費者運動/早川美也子
・EUと国民国家のデモクラシー――加盟国のEUへの浸透と「民主主義の赤字」をめぐって/河崎健
2 民主主義はグローバルな規範なのか?
・パリ和平協定後のカンボジアにおける「民主化」の再検討――人民党支配の継続性を中心に/山田裕史
・グローバル・スタンダードとしての民主主義――中華世界における受容・活用・拒否・回避・棚上げ/岸川毅
・ポルトガルにおける民主化と欧州統合――ポルトガル社会党の欧州アイデンティティーを手がかりに/西脇靖洋
・南アジアにおける女性の政治参加とグローバル化――草の根レベルの民主主義の新たな展開/北川将之
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編者紹介(肩書は発刊当時、敬称略)
岸川毅…きしかわ・たけし/上智大学大学院准教授
中野晃一…なかの・こういち/上智大学大学院准教授