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NEWトピック教育課題

2019.08.28

幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)[抜粋]

平成28年12月21日 中央教育審議会

第2部 第2章 15.道徳教育

(2)具体的な改善事項

③学習・指導の改善充実や教育環境の充実等

ⅰ)「主体的・対話的で深い学び」の実現

〇 現在検討されている学習指導要領全体改訂の中では、社会で生きて働く知識や力を育むために、子供たちが「何を学ぶか」という学習内容の在り方に加えて、「どのように学ぶか」という、学びの過程に着目してその質を高めることにより、学習内容を深く理解し、資質・能力を身に付け、生涯にわたって能動的(アクティブ)に学び続けるようにしていくことが重要である。「どのように学ぶか」の鍵となるのがアクティブ・ラーニングの視点、すなわち子供たちの「主体的・対話的で深い学び」をいかに実現するかという学習・指導改善の視点である。道徳教育においては、他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を育むため、答えが一つではない道徳的な課題を一人一人の児童生徒が自分自身の問題と捉え、向き合う「考え、議論する道徳」を実現することが、「主体的・対話的で深い学び」を実現することになると考えられる。

〇 専門家会議では、「考え、議論する道徳への転換」に向けて求められる質の高い多様な指導方法の例示として、㋐読み物教材の登場人物への自我関与が中心の学習、㋑問題解決的な学習、㋒道徳的行為に関する体験的な学習を指導方法の例を挙げている。これらは独立した指導の「型」を示すわけではなく、それぞれに様々な展開が考えられ、またそれぞれの要素を組み合わせた指導を行うことも考えられることとしている。

〇 道徳科における学習・指導改善における工夫や留意すべき点については、専門家会議における質の高い多様な指導方法の例示や、既に一部改正がなされた学習指導要領及びその解説等を、踏まえつつ、「主体的・対話的で深い学び」の視点に沿って整理すると、概ね以下のように考えられる。

〇 なお、道徳科における具体的な学習プロセスは限りなく存在し得るものである。様々な工夫や留意点を三つの視点に分けることが目的ではなく、これらの視点を手掛かりに、教員一人一人が、子供たちの発達の段階や発達の特性、指導内容などに応じた方法について研究を重ね、ふさわしい方法を選択しながら工夫して実践できるようにすることが重要である。

(「主体的な学び」の視点)

・「主体的な学び」の視点からは、児童生徒が問題意識を持ち、自己を見つめ、道徳的価値を自分自身との関わりで捉え、自己の生き方について考える学習とすることや、各教科で学んだこと、体験したことから道徳的価値に関して考えたことや感じたことを統合させ、自ら道徳性を養う中で、自らを振り返って成長を実感したり、これからの課題や目標を見付けたりすることができるよう工夫することが求められる。

 このため、主題やねらいの設定が不十分な単なる生活経験の話合いや、読み物教材の登場人物の心情理解のみに終始する指導、望ましいと思われることを言わせたり書かせたりすることに終始する指導などに陥らないよう留意することが必要である。例えば、児童生徒の発達の段階等を考慮し、興味や問題意識を持つことができるような身近な社会的課題を取り上げること、問題解決的な学習を通して一人一人が考えたことや感じたことを振り返る活動を取り入れること、我が国や郷土の伝統や文化、先人の業績や生き方に触れることや、自然体験活動など美しいもの・気高いものなどに出合う機会を多様に設定し、そこから感じたことを通じて自己を見つめ、自分自身の生き方について考え、多様な考えを持つ他者を相互に認め合い広い心で異なる意見や立場を尊重し、共によりよく生きようという意欲などを高めるようにすることも重要である。また、年度当初に自分の有様やよりよく生きるための課題を考え、課題や目標を捉える学習を行ったり、学習の過程や成果などの記録を計画的にファイル等に集積(ポートフォリオ)したりすること等により、学習状況を自ら把握し振り返ることができるようにすることなどが考えられる。

・上記のような「主体的・対話的で深い学び」を実現するためには、多様な意見を受け止め、認め合える学級の雰囲気がその基盤としてなくてはならず、学級(ホームルーム)経営の充実が大変重要である。このことは、道徳的価値を自分との関わりで捉え考えを深める時間である道徳においては特に求められると言える。一方で、道徳の時間を通して、児童生徒理解を深め、これを学級経営に生かすということも考えられる。

・なお、前述のとおり高等学校には道徳の時間が設けられておらず、「公共」及び「倫理」並びに特別活動が中核的な指導場面として期待されている。したがって、これらの科目等においても、道徳教育において育成を目指す資質・能力及び上記の視点を意識した学習が求められる。

(「対話的な学び」の視点)

・「対話的な学び」の視点からは、子供同士の協働、教員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えたり、自分と異なる意見と向かい合い議論すること等を通じ、自分自身の道徳的価値の理解を深めたり広げたりすることが求められる。

 例えば、教材や体験などから考えたこと、感じたことを発表し合ったり、「理解し合い、信頼や友情を育む(友情、信頼)」と「同調圧力に流されない(公正、公平、社会正義)」といった葛藤や衝突が生じる場面について、話合いなどにより異なる考えに接し、多面的・多角的に考え、議論したりするなどの工夫を行うことや、日頃から何でも言い合え、認め合える学級の雰囲気を作ることが重要である。また、資料を通じて先人の考えに触れて道徳的価値の理解を深めたり自己を見つめる学習につなげたりすることができるような教材の開発・活用を行うことや、様々な専門家や保護者、地域住民等に道徳科の授業への参加を得ることなども「対話的な学び」の視点から効果的な方法と考えられる。

・また、児童生徒同士で話し合う問題解決的な学習を行うに当たっては、そこで何らかの合意を形成することが目的ではなく、そうした学習を通して、道徳的価値について自分のこととして捉え、多面的・多角的に考えることにより、将来、道徳的な選択や判断が求められる問題に対峙した時に、自分にも他者にとってもよりよい選択や判断ができるような資質・能力を育てることにつなげることが重要であることに留意する必要がある。なお、発達の段階や個人の特性等を踏まえれば、教員が介在することにより「対話的な学び」が実現できる場合も考えられ、その実態を踏まえた適切な配慮が求められる。言葉によって伝えるだけでなく、多様な表現を認めることも大切である。

 特に、特設の道徳科の時間がない高等学校においては、特別活動、特にホームルーム活動における話合いを通して、人間としての在り方生き方に関する考えを深めることが重要である。

(「深い学び」の視点)

・「深い学び」の視点からは、道徳的諸価値の理解を基に、自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方について考える学習を通して、様々な場面、状況において、道徳的価値を実現するための問題状況を把握し、適切な行為を主体的に選択し、実践できるような資質・能力を育てる学習とすることが求められる。

 そのためには、単に読み物教材の登場人物の心情理解のみで終わったり、単なる生活体験の話合いや、望ましいと分かっていることを言わせたり書かせたりする指導とならないよう留意し、道徳的な問題を自分事として捉え、議論し、探究する過程を重視し、道徳的価値に関わる自分の考え方、感じ方をより深めるための多様な指導方法を工夫することなどが考えられる。深い学びにつながる指導方法としては、例えば以下のような工夫が考えられる。

-読み物教材の登場人物への自我関与を中心とした学習において、教材の登場人物の判断と心情を自分との関わりにおいて多面的・多角的に考えることを通し、道徳的価値の理解を深めること。

-様々な道徳的諸価値に関わる問題や課題を主体的に解決する学習において、児童生徒の考えの根拠を問う発問や、問題場面を自分に当てはめて考えてみることを促す発問などを通じて、問題場面における道徳的価値の意味を考えさせること。

-道徳的行為に関する体験的な学習において、疑似体験的な活動(役割演技など)を通して、実際の問題場面を実感を伴って理解することで、様々な問題や課題を主体的に解決するために必要な資質・能力を養うこと。

・道徳的な問題場面には、㋐道徳的諸価値が実現されていないことに起因する問題、㋑道徳的諸価値についての理解が不十分又は誤解していることから生じる問題、㋒道徳的諸価値のことは理解しているが、それを実現しようとする自分とそうできない自分との葛藤から生じる問題、㋓複数の道徳的価値の間の対立から生じる問題などがあり、これらの問題構造を踏まえた場面設定や学習活動の工夫を行うことも大切である。


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