これからの道徳と外国語教育を読み取る資料
トピック教育課題
2019.08.28
目次
「小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編」[抜粋]
平成29年6月 文部科学省
第5章 道徳科の評価
第2節 道徳科における児童の学習状況及び成長の様子についての評価
2 道徳科における評価
(1)道徳科に関する評価の基本的な考え方
道徳科の目標は、道徳的諸価値の理解を基に、自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、心情、実践意欲及び態度を育てることであるが、道徳性の諸様相である道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度のそれぞれについて分節し、学習状況を分析的に捉える観点別評価を通じて見取ろうとすることは、児童の人格そのものに働きかけ、道徳性を養うことを目標とする道徳科の評価として
は妥当ではない。
授業において児童に考えさせることを明確にして、「道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める」という目標に掲げる学習活動における児童の具体的な取組状況を、一定のまとまりの中で、児童が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を適切に設定しつつ、学習活動全体を通して見取ることが求められる。
その際、個々の内容項目ごとではなく、大くくりなまとまりを踏まえた評価とすることや、他の児童との比較による評価ではなく、児童がいかに成長したかを積極的に受け止めて認め、励ます個人内評価として記述式で行うことが求められる。
道徳科の内容項目は、道徳科の指導の内容を構成するものであるが、内容項目について単に知識として観念的に理解させるだけの指導や、特定の考え方に無批判に従わせるような指導であってはならない。内容項目は、道徳性を養う手掛かりとなるものであり、内容項目に含まれる道徳的諸価値の理解を基に、自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める学習を通して、「道徳性を養う」ことが道徳科の目標である。このため、道徳科の学習状況の評価に当たっては、道徳科の学習活動に着目し、年間や学期といった一定の時間的なまとまりの中で、児童の学習状況や道徳性に係る成長の様子を把握する必要がある。
こうしたことを踏まえ、評価に当たっては、特に、学習活動において児童が道徳的価値やそれらに関わる諸事象について他者の考え方や議論に触れ、自律的に思考する中で、一面的な見方から多面的・多角的な見方へと発展しているか、道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているかといった点を重視することが重要である。このことは道徳科の目標に明記された学習活動に注目して評価を行うということである。道徳科では、児童が「自己を見つめ」「多面的・多角的に」考える学習活動において、「道徳的諸価値の理解」と「自己の生き方についての考え」を、相互に関連付けることによって、深い理解、深い考えとなっていく。こうした学習における一人一人の児童の姿を把握していくことが児童の学習活動に着目した評価を行うことになる。