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これからの道徳と外国語教育を読み取る資料

NEWトピック教育課題

2019.08.28

これからの道徳と外国語教育を読み取る資料

道徳に係る教育課程の改善等について(答申)[抜粋]

平成26年10月21日 中央教育審議会

新教育課程ライブラリII Vol.8 2017年8月

1 道徳教育の改善の方向性

(1)道徳教育の使命
 (略)道徳教育は、人が一生を通じて追求すべき人格形成の根幹に関わるものであり、同時に、民主的な国家・社会の持続的発展を根底で支えるものでもある。

 また、道徳教育を通じて育成される道徳性、とりわけ、内省しつつ物事の本質を考える力や何事にも主体性をもって誠実に向き合う意志や態度、豊かな情操などは、「豊かな心」だけでなく、「確かな学力」や「健やかな体」の基盤ともなり、「生きる力」を育むものである。学校における道徳教育は、児童生徒一人一人が将来に対する夢や希望、自らの人生や未来を切り拓いていく力を育む源となるものでなければならない。

 その意味で、道徳教育は、本来、学校教育の中核として位置付けられるべきものであるが、その実態については、学校の教育目標に即して充実した指導を重ね、確固たる成果を上げている優れた取組がある一方で、例えば、道徳教育の要である道徳の時間において、その特質を生かした授業が行われていない場合があることや、発達の段階が上がるにつれ、授業に対する児童生徒の受け止めがよくない状況にあること、学校や教員によって指導の格差が大きいことなど多くの課題が指摘されており、全体としては、いまだ不十分な状況にある。こうした実態も真摯に受け止めつつ、早急に改善に取り組む必要がある。

 なお、道徳教育をめぐっては、児童生徒に特定の価値観を押し付けようとするものではないかなどの批判が一部にある。しかしながら、道徳教育の本来の使命に鑑みれば、特定の価値観を押し付けたり、主体性をもたず言われるままに行動するよう指導したりすることは、道徳教育が目指す方向の対極にあるものと言わなければならない。むしろ、多様な価値観の、時に対立がある場合を含めて、誠実にそれらの価値に向き合い、道徳としての問題を考え続ける姿勢こそ道徳教育で養うべき基本的資質であると考えられる。

 もちろん、道徳教育において、児童生徒の発達の段階等を踏まえ、例えば、社会のルールやマナー、人としてしてはならないことなどについてしっかりと身に付けさせることは必要不可欠である。しかし、これらの指導の真の目的は、ルールやマナー等を単に身に付けさせることではなく、そのことを通して道徳性を養うことであり、道徳教育においては、発達の段階も踏まえつつ、こうしたルールやマナー等の意義や役割そのものについても考えを深め、さらには、必要があればそれをよりよいものに変えていく力を育てることをも目指していかなくてはならない。

 また、実生活においては、同じ事象でも立場や状況によって見方が異なったり、複数の道徳的価値が対立し、単一の道徳的価値だけでは判断が困難な状況に遭遇したりすることも多い。このことを前提に、道徳教育においては、人として生きる上で重要な様々な道徳的価値について、児童生徒が発達の段階に応じて学び、理解を深めるとともに、それを基にしながら、それぞれの人生において出会うであろう多様で複雑な具体的事象に対し、一人一人が多角的に考え、判断し、適切に行動するための資質・能力を養うことを目指さなくてはならない。

(2)道徳教育のねらいを実現するための教育課程の改善
 こうした道徳教育の意義と課題を改めて確認した上で、本来の道徳教育のねらいがより効果的に実現されるよう改善を図る必要がある。

 教育基本法をはじめとする我が国の教育の根本理念に鑑みれば、道徳教育は、教育の中核をなすものであり、学校における道徳教育は、学校のあらゆる教育活動を通じて行われるべきものである。

 同時に、道徳教育においては、これまで受け継がれ、共有されてきたルールやマナー、共同体の中で大切にされてきた様々な道徳的価値などについて、発達の段階に即し、一定の教育計画に基づいて学び、それらを理解し身に付けたり、様々な角度から考察し自分なりに考えを深めたりする学習の過程が重要である。このため、昭和33年に、小・中学校において、道徳の時間が設けられ、現在、道徳の時間は、各教科等における道徳教育と密接な関連を図りながら、計画的、発展的な指導によってこれを補充、深化、統合し、児童生徒に道徳的価値の自覚や生き方についての考えを深めさせ、道徳的実践力を育成するものとされている。

 このように道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うという道徳教育の基本的な考え方は、適切なものであり、今後も引き継ぐべきと考える。

 一方で、道徳教育が期待される役割を十分に果たすことができるようにするためには、前述のように多くの点で改善が必要である。特に、道徳の時間は、各教科等に比べて軽視されがちで、道徳教育の要として有効に機能していないことも多く、このことが道徳教育全体の停滞につながっているとの指摘もある。

 また、今回の道徳教育の改善に関する議論の発端となったのは、いじめの問題への対応であった。児童生徒がこうした現実の困難な問題に主体的に対処することのできる実効性ある力を育成していく上で、道徳教育も大きな役割を果たすことが強く求められている。道徳教育を通じて、個人が直面する様々な事象の中で、状況を深く見つめ、自分はどうすべきか、自分に何ができるかを判断し、そのことを実行する手立てを考え、取り組めるようにしていくなどの改善が必要と考えられる。

 このような状況を踏まえ、道徳教育の充実を図るためには、道徳の時間を教育課程上「特別の教科道徳」(仮称)として新たに位置付け、その目標、内容、教材や評価、指導体制の在り方等を見直すとともに、「特別の教科道徳」(仮称)を要として道徳教育の趣旨を踏まえた効果的な指導を学校の教育活動全体を通じてより確実に展開することができるよう、教育課程を改善することが必要と考える。


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