リレーエッセイ 校長のお部屋拝見 「行きたい学校 笑顔で下校」できる学校を目指して

トピック教育課題

2023.01.19

目次

    リレーエッセイ 校長のお部屋拝見 我が流儀生まれいづるところ

    鹿児島県霧島市立牧園小学校長 
    中園明男

    『教育実践ライブラ』Vol.3 2022年9

     本校は、「豊かな知性と感性を備え、優しい心を持ち、たくましく生きる子どもを育成する。」を学校教育目標に掲げ、「かしこく なかよく たくましく」学ぶ姿を「目指す子ども像」として、「花と笑顔と読書の学校 歌声いっぱい 牧小っ子」をキャッチフレーズに牧小っ子の育成に努めていきます。コロナ禍で以前のように「大きな声で、元気いっぱい」というわけにはなかなかいきませんが、ピンチはチャンスととらえ、ゴールを信じてチーム牧小全員で前に進みます(写真1)。


    写真1 様々な目標が掲げられている校長室

     本校のある霧島市牧園町は、南東に伸びる霧島山脈の裾野大地に位置し、平成17年に旧国分市・隼人町・溝辺町・横川町・霧島町・福山町と合併されました(写真2)。本校区は旧牧園町の中心部に位置し、10区の自治会で構成されています。本校は小規模校であり、令和4年度の学級数は6学級(特別支援学級含む)で、児童数は45人、教員数は11人、そしてPTA戸数は32戸です(写真3)。


    写真2 霧島山脈の裾野大地

    写真3 学校の正門

     私は常にタイトルにあるように「行きたい学校笑顔で下校」できる学校を目指して学校経営に努めています。児童が「行きたい学校笑顔で下校」できる学校であるためには、子どもたちはもちろん、まずは、職員の思いが大切です。子どもたちに「行きたい」と思わせるためには、まず職員が「行きたい」と思うことが基本だと考えます。子どもたちを「笑顔で下校」させることは、各担任にゆだねる部分が大きいと思いますが、職員を「笑顔で下校」させることは、校長に任される使命と思い、本校で大切にしていることとして、全職員一体となって取り組む研究を実践しています。

     本稿では2つのことに絞ってお伝えしたいと思います。

     1つめは全職員が関わる授業づくりです。本校では「研究授業」ではなく授業担当者の「提供授業」とし、全員で授業を考え、授業担当者が代表で授業を提供するという職員参加型のスタイルをとっています。この夏も二学期に計画している提供授業の授業づくりに全員で取り組みました。グループ別にアイデアを出し合い、お互いに発表した内容を全員で検討し、それを参考に授業者が指導案を練り上げ、職員が子どもになりきる模擬授業を経て、授業構想を固めていきます。全てを一人で抱える研究授業ではないので、授業者にとって負担感が少なく、今後も継続していきたい研修のスタイルです。

     また、授業後の授業研究を授業者の指導の善し悪しを議論する場ではなく、授業における子どものつぶやきや行動などの姿から研究の成果と方向性を語る場とし、本校全職員の今後の共通実践事項を決定するようにしているのもこの考えからです。

     2つめは全員参加型研修の雰囲気づくりです。本校の研修の時間のスタートは、研修係による「小話」やグループで「最近のマイブームは?」等、懇談(アイスブレーキング)を取り入れています。「テーマ研究=難しい」「やらされている」という意識ではなく、研究テーマに沿って、楽しく前向きに、全員で考えていくという雰囲気づくりをいつも大切にしています。

     さらに、本校では授業後の授業研究の限られた時間の中では扱いきれなかった、教師の具体的な手立てなどの授業スキル、授業者へのねぎらいや感想、そして授業者のこだわりや思いなどを大切にしています。参観者は授業の感想シートに、授業者はA4一枚程度のレポートにそれぞれまとめ、職員間で交流しています。例えば最近行った提供授業の授業者の感想には「みなさんと一緒に考えて授業をつくり、本時を迎えることができてとても楽しかったです。子どもたちもこのような時間を友だちとたくさん作ってほしいと思います。ご協力ありがとうございました。」とあります。研修の時間だけでなく、お互いに高め合っていくような雰囲気づくりがなされていることがわかると思います(写真4)。


    写真4 研修風景

     このように2つの取組を継続していくことで、縁あって出会った職員一人一人が「研修の時間が楽しみ」「牧園小学校に勤務できてよかった」と思えることが、子どもたちや保護者の「牧園小学校で学べてよかった」「牧園小学校に通わせることができてよかった」につながるのだと思います。

     さて、令和5年度に創立150周年を迎える伝統ある本校ですが、少子化の波には抗えず、今年度から複式学級を編制する学校となりました。そこで次のような「4つのC」をキーワードに新たな教育課程をスタートさせました。
    ①子どもたち一人一人とのコミュニケーションを十分に図りかかわりを持つ(コミュニケート)。 ②コロナ禍の中、さまざまな制限のある中でもできることをできる範囲で挑戦する(チャレンジ)。 ③そのためには前例にとらわれず、職員一人一人の豊富な経験を基に創造する(クリエイティブ)。 ④「教師主導(先生が教える)の教育」から「学習者主導(子どもが学ぶ)の教育」に変える(変わる)(チェンジ)。

     今後も、このキーワードを踏まえながら、本校の研修テーマである「主体的・対話的で深い学びを実践する」授業の創造に取り組み、自ら学び自ら考える児童の育成に努めていく所存です。これからも校長職を全うできるよう精進いたします。

    この記事をシェアする

    • Facebook
    • LINE

    特集:ニューノーマルの学校行事

    おすすめ

    教育実践ライブラリVol.3

    2022/9 発売

    ご購入はこちら

    すぐに役立つコンテンツが満載!

    ライブラリ・シリーズの次回配本など
    いち早く情報をキャッチ!

    無料のメルマガ会員募集中

    関連記事

    すぐに役立つコンテンツが満載!

    ライブラリ・シリーズの次回配本など
    いち早く情報をキャッチ!

    無料のメルマガ会員募集中