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ユーモア詩でつづる学級歳時記

増田修治

ユーモア詩でつづる学級歳時記[第3回]

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2020.09.30

ユーモア詩でつづる学級歳時記[第3回]

白梅学園大学教授 増田修治

『学校教育・実践ライブラリ』Vol.3 2019年7

笑顔で子どもを育てる秘訣が満載!子どものココロが見えるユーモア詩の世界 親・保護者・教師のための子ども理解ガイド』(ぎょうせい、2020年9月刊)の著者 増田修治氏が、埼玉県の小学校教諭時代から長年取り組んできた「ユーモア詩」。珠玉の75編と増田氏の的を射たアドバイスは、笑いながら子どもの思い・願い・成長が理解でき、今日からの子育て、保育、教育に生かせること請け合いです。ここでは、『学校教育・実践ライブラリ』(2019-2020年)の連載「ユーモア詩でつづる学級歳時記」をご紹介します。(編集部)

■今月の「ユーモア詩」

お風呂
大山 涼(3年)

ぼくは毎日お風呂に入ります。
お風呂に入ると、
毎日シャワーをします。
シャワーをする時に、
耳の中がプチプチします。
だからちょっとだけ
くすぐったいです。
目をつぶるとまっくらになるので、
おしいれにいるみたいです。
ぼくがお風呂に入ると、
オナラをします。
ぼくは小さいアワで、
お兄ちゃんがやると
ちょっと大きいアワです。
お父さんがやると、
でっかいアワです。

■親子のきずな

 子どもの素直な感覚があふれる詩です。

 「シャワーをする時に、耳の中がプチプチします。だからちょっとだけくすぐったい」

 「目をつぶると真っ暗になるので、おしいれにいるみたい」

 涼にとってお風呂には、不思議がたくさん詰まっています。

 シャワーを浴びたときに聞こえてくる音の変化を楽しんだり、目をつぶったときの感覚を味わったり。どちらも自分の感じ方でしっかり楽しんでいます。

 しかも、それを見事に言葉にしているのですからびっくりです。

 オナラ観察もなかなかのものです。

 「ぼくは小さいアワ」

 「お兄ちゃんがやるとちょっと大きいアワ」

 「お父さんがやると、でっかいアワです」

 何ともリアルです。読んだ私は、ついついおならのアワに鼻を近づけたらどうなのかな? アワがでっかくなると、においはやっぱり強烈なのかな、なんて想像してしまいました。

 自営業のお父さんはとても忙しい人でした。でも、お風呂だけは子どもたちと一緒に入るようにしていたそうです。

 涼は、お兄ちゃん、お父さんと一緒にやったオナラくらべが本当に楽しかったのでしょう。外からはバカバカしく見えるオナラくらべが、実は親子のきずなを深く結んでいるのです。

■7月の学級づくり・学級経営のポイント

子どもの家庭の事情を理解する

 7月になると、子ども一人ひとりの持ち味がわかってきて、子ども同士の関係性も作られてきます。それと同時に、学級づくりがうまくいっているかどうかがはっきりしてくる時期でもあります。そんなときに、問題を起こす子どもに目がいきがちになります。しかし、子どもは「困らせようと思って問題を起こしている子どもはいない」ということをわかってほしいと思うのです。

 涼は、1・2年生で問題行動が多い子どもでした。問題が起きるたびに、お父さんは担任の先生に呼び出され「子育てをもっときちんとしてください」「落ち着きのなさが目立ちます。家できちんとしつけていますか?」などと、説教されたので、涼のお父さんは学校に不信感をもっていました。そのため、担任は当初から厳しい言葉を投げつけられました。「学校は、オレの言うことを聞いてくれない。一方的に要求ばかりする」と言ってきたのです。

 涼のお父さんは、自営業をしていてとても忙しく、なかなか子どもの面倒を見ることができません。だから、時間のあるときにはできるだけ子どもと一緒にお風呂に入るようにしているのです。

 そんなときに決まってやるのが、「オナラ競争」です。そんなバカバカしいことをやりながら、お父さんは子どもとの関係を楽しみながら深めていっているのです。事情があって父子家庭になってしまった大山さんでした。だからこそ、仕事も子育てもしなくてはいけないと、頑張り続けていたのです。

 涼のお父さんは、おおらかな人でした。細かく子どもに指示するよりも、「おおらかな子どもになってほしい」と願っていたのです。そのため、ちょっとはみ出る行動を取ることが多かったのです。そうした家庭の事情と親の願いや持ち味を理解する。そうしたことの上に学級を作っていくことが大切なのです。結果的に、涼の問題行動が激減していきました。

 そんなお父さんとちょっと前に電話のやりとりをしました。「一緒に飲もうよ、先生」「先生が担任じゃなくなってからの涼、結構大変だったんだぜ!」なんて明るく言ってくれました。
 
 もう、お父さんの背丈を超えている涼。きっと、お父さんより大きなオナラをして、自分の子どもを楽しませる父親になるに違いありません。

 

Profile
増田修治 ますだ・しゅうじ
1980年埼玉大学教育学部卒。子育てや教育にもっとユーモアを!と提唱し、小学校でユーモア詩の実践にチャレンジ。メディアからも注目され、『徹子の部屋』にも出演。著書に『話を聞いてよ。お父さん!比べないでね、お母さん!』『笑って伸ばす子どもの力』(主婦の友社)、『ユーモアいっぱい!小学生の笑える話』(PHP研究所)、『子どもが伸びる!親のユーモア練習帳』(新紀元社)、『「ホンネ」が響き合う教室』(ミネルヴァ書房)他多数。

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増田修治

白梅学園大学教授

1980年埼玉大学教育学部卒。子育てや教育にもっとユーモアを!と提唱し、小学校でユーモア詩の実践にチャレンジ。メディアからも注目され、『徹子の部屋』にも出演。著書に『話を聞いてよ。お父さん!比べないでね、お母さん!』『笑って伸ばす子どもの力』(主婦の友社)、『ユーモアいっぱい!小学生の笑える話』(PHP研究所)、『子どもが伸びる!親のユーモア練習帳』(新紀元社)、『「ホンネ」が響き合う教室』(ミネルヴァ書房)他多数。

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