ぎょうせい「学びのある」学校づくりへの羅針盤 スクールリーダーのための実務情報サイト

ユーモア詩でつづる学級歳時記

増田修治

ユーモア詩でつづる学級歳時記[最終回]

NEW特別支援教育・生徒指導

2020.12.02

ユーモア詩でつづる学級歳時記[最終回]

白梅学園大学教授 増田修治

『学校教育・実践ライブラリ』Vol.12 20204

笑顔で子どもを育てる秘訣が満載!子どものココロが見えるユーモア詩の世界 親・保護者・教師のための子ども理解ガイド』(ぎょうせい、2020年9月刊)の著者 増田修治氏が、埼玉県の小学校教諭時代から長年取り組んできた「ユーモア詩」。珠玉の75編と増田氏の的を射たアドバイスは、笑いながら子どもの思い・願い・成長が理解でき、今日からの子育て、保育、教育に生かせること請け合いです。ここでは、『学校教育・実践ライブラリ』(2019-2020年)の連載「ユーモア詩でつづる学級歳時記」をご紹介します。(編集部)

■今月の「ユーモア詩」

弟ってすごい
並木 勝也(4年)

こないだ弟が外を走っていました。
弟が
「ぼく、すごいのできるよ!」
と言いました。
弟は走りながらぼうしやクツも
ぬぎました。
そしてクツ下もぬげて
ズボンもぬげました。
それから弟はぼくに
「まっ、お前じゃできねーな。」
と言いました。

そんなのやりたくねーよ!

■子どもは、日々笑いたいのです

 勝也がこの詩を書いてきたときに、私は大笑いしてしまい、
 「ぜひ、見に行きたい。弟に聞いてみてくれないか」
と勝也に声をかけました。
 「いいよ」
と言ってくれたので、私は家まで行ってみました。すると、
「やるから見ててね!」
と得意そうな顔で、道路でやってくれたのです。

 走りながら、次々と服を脱いでいきます。ついに、パンツ1枚になりました。それも、脱いで素っ裸になって
「どう、すごいでしょ!」
と言ったのです。なんと、50秒くらいで全部脱げてしまったのです。想像してみて下さい。道路で素っ裸になって、得意そうに見せているのを。

 私は、「すごいねぇ〜。たいしたものだね。これは、誰にも真似できないよな〜」
と、めちゃくちゃ褒めたのです。弟は、ニコニコしていました。

 それから2週間位経ったときです。兄の勝也から、
 「弟が技に磨きをかけたので、もう一度見に来てほしいそうです」との伝言が届きました。そこで、また家に行ってみたのです。すると、またしても道路でやってくれたのです。

 「やるから、見ててね!」
と言って、服をどんどん脱いでいきます。そして、またしても素っ裸になって、得意そうな顔を見せてくれました。なんと、今度は、25秒くらいでできてしまったのです。

 私は、
 「すごいね〜。もう、ここまで来ると名人芸だね。誰にも真似できないなぁ〜」
と褒めまくったのです。

 勝也の弟は、このとき保育園の年長でした。卒園する少し前の2月のことでしたので、寒い中、やってくれたのです。

 勝也の弟は、保育園のとき、少々やんちゃでした。先生の言うことも聞かないことがたびたびあったそうです。

 ところが、私とのやりとりを通して変わっていくのです。
 「僕は小学校の増田先生に褒められた。だから、小学校ではちゃんとできるはずだ!」
と思い込んだのです。

 勝也の弟が、4月になって小学校に入学してきたとき、私は心配だったので、教室に見にいきました。すると、ちゃんと座って先生の話を聞いているのです。

 それからの成長は、びっくりするほどでした。先生の話をちゃんと座って聞くだけでなく、勉強も運動も頑張るようになり、4年生では運動会でクラス対抗のリレーの代表選手になるのです。さらに、6年生では、なんと児童会長になってしまうのです。

■4月の学級づくり・学級経営のポイント

子どものバカバカしさに共感する!

 私は、勝也の弟に「服を脱いで素っ裸になるのが早い」と褒めただけなのです。それだけなのに、子どもは見事に成長していくのです。子どもの可能性は、本当にすごいと思わせられた出来事でした。

 今の子どもたちは、「勉強や運動ができること」「教師や親の言うことをよく聞くこと」などは、褒められます。逆に、バカバカしいことは怒られることが多いのではないでしょうか。ちょっとやんちゃな子やいたずらな子を含め、子どもは絶えずバカバカしいことを考えているのです。そんなバカバカしいことを、本気になってやってみることが許されるのが、子ども時代の特権だと思うのです。

 子どもを、ちょっと別の角度から見てみましょう。きっと、別の側面が見えてくるはずです。「やんちゃだと断定するのではなく、少々元気がよい」とか「くだらないことばかりすると見るのではなく、日々おもしろいことを考える、子どもらしさをもっている子だ」と考えてみたらどうでしょうか。

 教育という仕事は、「教師や大人が、子どもを育てる中で、自分の中にある子どものしっぽを見つける作業だ」と思うのです。

 大人になるということは、子どもらしさを捨て去ることではありません。自分の中に残っている「子どものしっぽ」を見つけ、その部分で子どもと共感していくことができたとき、子どもとの新しい関係性が創り出されていくのだと思うのです。

 

Profile
増田修治 ますだ・しゅうじ
1980年埼玉大学教育学部卒。子育てや教育にもっとユーモアを!と提唱し、小学校でユーモア詩の実践にチャレンジ。メディアからも注目され、『徹子の部屋』にも出演。著書に『話を聞いてよ。お父さん!比べないでね、お母さん!』『笑って伸ばす子どもの力』(主婦の友社)、『ユーモアいっぱい!小学生の笑える話』(PHP研究所)、『子どもが伸びる!親のユーモア練習帳』(新紀元社)、『「ホンネ」が響き合う教室』(ミネルヴァ書房)他多数。

この記事をシェアする

特集:次代を見据えた学校教育の論点

オススメ

学校教育・実践ライブラリVol.12

2020/4 発売

ご購入はこちら

すぐに役立つコンテンツが満載!

ライブラリ・シリーズの次回配本など
いち早く情報をキャッチ!

無料のメルマガ会員募集中

関連記事

すぐに役立つコンテンツが満載!

ライブラリ・シリーズの次回配本など
いち早く情報をキャッチ!

無料のメルマガ会員募集中

増田修治

増田修治

白梅学園大学教授

1980年埼玉大学教育学部卒。子育てや教育にもっとユーモアを!と提唱し、小学校でユーモア詩の実践にチャレンジ。メディアからも注目され、『徹子の部屋』にも出演。著書に『話を聞いてよ。お父さん!比べないでね、お母さん!』『笑って伸ばす子どもの力』(主婦の友社)、『ユーモアいっぱい!小学生の笑える話』(PHP研究所)、『子どもが伸びる!親のユーモア練習帳』(新紀元社)、『「ホンネ」が響き合う教室』(ミネルヴァ書房)他多数。

閉じる