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ユーモア詩でつづる学級歳時記

増田修治

ユーモア詩でつづる学級歳時記[第4回]

NEW特別支援教育・生徒指導

2020.10.07

ユーモア詩でつづる学級歳時記[第4回]

白梅学園大学教授 増田修治

『学校教育・実践ライブラリ』Vol.4 2019年8

笑顔で子どもを育てる秘訣が満載!子どものココロが見えるユーモア詩の世界 親・保護者・教師のための子ども理解ガイド』(ぎょうせい、2020年9月刊)の著者 増田修治氏が、埼玉県の小学校教諭時代から長年取り組んできた「ユーモア詩」。珠玉の75編と増田氏の的を射たアドバイスは、笑いながら子どもの思い・願い・成長が理解でき、今日からの子育て、保育、教育に生かせること請け合いです。ここでは、『学校教育・実践ライブラリ』(2019-2020年)の連載「ユーモア詩でつづる学級歳時記」をご紹介します。(編集部)

■今月の「ユーモア詩」

かみなり
山岸 里冴(りさ)(4年)

この前、かみなりがなった。
私と弟はおぜんの下へいって
押し合いをした。
なぜかというと
かみなりが光ったからだ。
そのあとも
まどをずーっと見ていたら、
かみなりが光った。
「光ったー、光ったー。」
と言っておぜんの下へかくれた。
同じことを何回もくりかえした。
そのうちにジュウタンがずれて、
ついにお母さんのかみなりが落ちた。
かみなりより
お母さんの方がこわいよ〜。

■怖いのはお母さんの目

 暗い空いっぱいにとどろくような不気味な音と一瞬の閃光。かみなりは大人になっても、怖いものです。

 ちっぽけな人間にはとてもかなわない、まさに自然の猛威です。せいぜいできるのは、目と耳をふさいで、通り過ぎるのを待つだけです。

 里冴と弟が「おぜんの下へいって押し合いをした」と書いていますが、正確に言えば、食卓の下にもぐって、恐怖から逃れたということでしょう。

 もっともその怖さも初めのときだけです。そのあとは「まどをずーっと見ていた」というのです。

 怖いもの見たさ、という言葉のとおり、里冴にちょっぴり余裕ができて「怖いけど、見たい」という気持ちに変化したことがよくわかります。

 だんだん事態はエスカレートします。「光ったー。光ったー」と言っては下へかくれるころには、もうお遊び。「同じことを何回もくりかえした」のです。

 お母さんには、そんな里冴の気持ちの変化がすべてお見通しです。危険回避で下へかくれている間は黙っていましたが、お遊びになったとたんにお母さんのかみなりが落ちます。何とも見事なタイミングです。

 「かみなりよりお母さんの方がこわい」と書いていますが、すべて見通していたお母さんの目が一番怖かったのでしょう。子どもの素直な感覚があふれる詩です。

■8月の学級づくり・学級経営のポイント

怖ささえ遊びにしてしまう子どもの感性

 8月は、子どもたちが待ちに待った夏休みです。外で遊んで真っ黒になった子どもたちと始業式に出会うことになるに違いありません。

 子どもたちが外遊びをしているときに、一番怖いのはなんと言っても「かみなり」です。あの光り方といったらありません。ピカピカ光りながらジグザグに光が落ち、耳をふさぎたくなるような大音響が聞こえてくるのです。大人だって、ビビってしまうのですから。

 しかし、この詩に見られるように、「かみなり」さえも、いつの間にか遊びにしてしまう子どもの感性は、すごいとしか言いようがありません。もしかすると、子どもは怖いことをそうした遊びにすり替えることで、怖さから逃れようとしているのかもしれませんね。怖さを軽くする方法を自然に探し出す子どもの創造力は、とても大切にしたい力の一つなのではないでしょうか。

 子どもは、基本的に創造力のかたまりだと、私は思っているのです。かみなりが落ちる仕組みを調べてみることで、落ちやすいところの条件を考えてみるなんて、面白いと思うのです。

 ちょっと工夫をこらして、対象に対する感じ方を変えてみる。そんな時間がとれるのも、夏休みだからではないでしょうか。時計を分解してゼンマイが動かしている不思議さを体験する。料理をやってみて、熱の伝わり方をなんとなく知る。

 夏休みの思い出を書かせると、たいてい「旅行」や「田舎に行ったこと」だったりします。これはこれで、大切な思い出だと思うのですが、9月にひと味違った思い出を書かせてみたら、面白いのではないでしょうか。「すごく怖かったけど、こんな工夫をしたら怖くなくなったこと」「不思議だったことを調べてみたこと」「いつの間にかできるようになってしまったこと」などを詩に書かせてみたら、とてもユニークな詩集ができあがること、間違いなしです。そんな遊び心を持った詩集を作ってみましょう。教師が子どもとつながるのに必要なのは、なんといっても「遊び心」なのですから――。

 

Profile
増田修治 ますだ・しゅうじ
1980年埼玉大学教育学部卒。子育てや教育にもっとユーモアを!と提唱し、小学校でユーモア詩の実践にチャレンジ。メディアからも注目され、『徹子の部屋』にも出演。著書に『話を聞いてよ。お父さん!比べないでね、お母さん!』『笑って伸ばす子どもの力』(主婦の友社)、『ユーモアいっぱい!小学生の笑える話』(PHP研究所)、『子どもが伸びる!親のユーモア練習帳』(新紀元社)、『「ホンネ」が響き合う教室』(ミネルヴァ書房)他多数。

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増田修治

白梅学園大学教授

1980年埼玉大学教育学部卒。子育てや教育にもっとユーモアを!と提唱し、小学校でユーモア詩の実践にチャレンジ。メディアからも注目され、『徹子の部屋』にも出演。著書に『話を聞いてよ。お父さん!比べないでね、お母さん!』『笑って伸ばす子どもの力』(主婦の友社)、『ユーモアいっぱい!小学生の笑える話』(PHP研究所)、『子どもが伸びる!親のユーモア練習帳』(新紀元社)、『「ホンネ」が響き合う教室』(ミネルヴァ書房)他多数。

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