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スクールリーダーの資料室 自ら学ぶ力を育てる初等・中等教育の実現に向けて 〜将来を生き抜く力を身に付けるために〜 2019年4月3日 公益社団法人 経済同友会

NEWトピック教育課題

2020.02.19

3.企業・コミュニティの役割

 中央教育審議会は、働き方改革答申において、これまで学校・教師が担ってきた代表的な業務のうち、「基本的には学校以外が担うべき業務」「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」に該当するものを整理し、限られたリソースを教員が真に専門性を発揮すべき領域に集中的に投入することを目指している。

 学習の質を高める観点から、こうした働き方改革を実現するためには、さまざまなステークホルダーの理解と協力が不可欠であり、保護者でありコミュニティの構成員でもある社員を抱える企業としても応分の役割を果たしていく。

(1)採用プロセスの変革

①能力の高い10代とプロフェッショナルとして契約する
 スポーツや将棋の世界では、高い能力を有する10代をプロと認め、グローバルな活躍を後押ししている。また、大学や大企業にも、19世紀から20世紀初頭の20〜30代が興したベンチャー等に由来するものが少なくない。しかしながら企業は近年、プロかどうかの判断を大学の卒業証書に頼ってきた。

 企業も自社のビジネス領域において確固たる“プロ”の評価基準を整えるとともに、コンテスト等を主催して、義務教育を終えた10代の資質・能力を顕在化させる。また、そうした人材には、年功序列に代表される伝統的雇用慣行にとらわれない契約・報酬体系とキャリアプランを用意し、社会人としての成長を促しつつ、ビジネスの現場で早期に活躍の機会を提供する。

 なお、こうした人材がライフステージを通じて就業と学びを行き来して活躍するためには、企業と教育現場の双方に柔軟性が求められる。

②通年採用の主流化を図る
 企業の行動は、高等教育機関における人材育成に影響を与え、ひいては初等・中等教育にも影響を与えている。われわれ経営者は、教育課程とのインターフェースである採用プロセスの変革、特に通年採用の主流化を図るとともに、学業成績および社会課題への取り組みを重視した採用への転換を着実に進めていく。また、海外留学等を含む多様な経験が、就職活動において評価されることはあっても決して不利にはならないことを含め、求める人材像を子供たちおよび教育機関等に分かりやすく伝える努力を継続する。

(2)社員・OB等の教育への関与を推進する

 子供たち一人ひとりの興味・関心に応じた学びの機会を提供することで、個々の能力を磨き育てるとともに、学んだ知識・技能を社会課題の解決につなげる方法を体感してもらうためには、各分野における専門性や幅広い経験を有する人材に、教育に関与してもらうことが重要になる。そのためには、教員免許制度の見直しとあわせ、企業がこうした人材供給源となることが欠かせない。

 現役社員については、ボランティア休暇等を活用し、教壇に立ったり、教材開発・提供に貢献したりすることを推進する。また、定年等で新たなライフステージを迎える社員は、海外経験を含む幅広い経験と専門性を活かして教壇に立つことに加え、保護者等への対応や事務の効率化をはじめとする学校運営においても、企業で培った経験を活かすことができる。企業は、退職手続にかかる説明会等における情報提供および地域の教育委員会との連携等を通じ、特別免許状の取得や非常勤講師等としての活躍を支援する。

 また、子供たちの学びの場は教室内に限らない。コミュニティを構成する人々が人生100年時代をより豊かに生きるためには、子供たちと高齢者がともにプログラミングやアートを学ぶなど、義務教育の外側にある学びの場を充実させることが必要である。企業は、地域学校協働活動推進員等への人材供給や、学びと社会の連携推進事業等への参画を通じ、役割を果たしていく。

III.おわりに

 技術革新の加速や「人生100年時代」の到来等により、20歳代初頭まで教育機関で連続的に勉強し、就職後はOJT等を受けながら働き続けて定年を迎えるという人生設計がリスクフリーではなくなった。継続的なスキルの更新や社会のニーズに応じたキャリア・チェンジが求められる中、ライフステージを通じて就業と学びを柔軟に行き来することが期待されている。こうした時代を生き抜くためには、人生の早い段階で、子供たちの疑問・好奇心を入口に、自ら学び続ける習慣をつける必要がある。

 先に述べた通り、今回は、小学校では2020年度から、中学校では2021年度から実施される学習指導要領の考え方を実現する観点から提言をとりまとめたが、指摘した事項はわれわれの問題意識・議論の一部に過ぎない。約10年に一度という学習指導要領の改訂間隔および定めている内容の細かさ、学校経営のあり方、都道府県教育委員会の事後チェック機関化を含む行政機関全般の役割分担の見直し等、変化する時代に対応するため、義務教育制度を抜本に見直すべき時期が来ている。

 われわれ経営者も、横並び主義やことなかれ主義、自前主義、総花主義といった、日本企業の競争力を損なっている諸慣習の打破に取り組むとともに、教育委員として地域の教育政策に携わることや、企業における人材供給やインターンシップの受け入れ、実践的な課題の提供等を通じ、将来社会を生き抜く力を有する次世代の育成にさまざまな側面から主体的に携わっていく。

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