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スクールリーダーの資料室 昭和26年学習指導要領を読んでみよう(下)

トピック教育課題

2019.10.12

スクールリーダーの資料室
昭和26年学習指導要領を読んでみよう(下)

『学校教育・実践ライブラリ』Vol.4 2019年8月

 今号は、「昭和26年学習指導要領 一般編(試案)」から、「Ⅲ 学校における教育課程の構成 3.年間計画と週計画」から「Ⅳ 教育課程の評価」「Ⅴ 学習指導法と学習成果の評価」までを掲載する。

 学習指導の計画には、年間計画・数週間の計画・1週間を単位とした計画の三つがあり、この三つの計画は、「おのおのが切り離され孤立したものではなく、互に関連をもち、全体として児童生徒の経験の発展を期す」と記されている。様々なスパンの教育活動が、互いに関連をもちながら進められることを指摘しており、カリキュラム・マネジメントに通じるものとなっている。「(1)年間計画の立て方」においては、「各教科の関連をできるだけ考慮する」「地域社会の各種の機関との連携を密接にしておく」といった、教科の連携・横断の考えや「社会に開かれた教育課程」に通じる視点も盛り込まれた。

 年間計画・週計画において、小学校低学年では、「いくつかの教科の学習内容を統合して行うほうが効果的な場合がある」として、約半世紀後の生活科の黎明を感じさせる文言も見て取れる。

 「Ⅳ 教育課程の評価」においては、「1.教育課程の評価はなぜ必要か」で、教育課程が「絶えず、教育課程構成の原理や実際の指導にかんがみて、それが適切であったかどうかが評価されなければならない」とし、さらに「評価といえば、学習成果の評価のみを考えやすいが、教育は、そのあらゆる部面にわたって絶えず評価される必要がある」と述べ、教育評価は、教育課程の改善に資するものであると論じ、こう述べる。「教育課程の評価と教育課程の改善とは連続した一つの仕事であってこれを切り離して考えることはできない」。

 また、「2.教育課程の評価は誰が行なうか」では、「単に個々の教師の評価のみでなく、多くの教師の協力によって、さらに学校長・指導主事・教育長なども参加して、協力的に行われる必要がある」という。これは、多くの目で協働的に評価活動に取り組むこととともに、様々な立場の教育関係者が集うことで教師の評価リテラシーも上げていこうというメッセージとなっている。

 「Ⅴ 学習指導法と学習成果の評価」では、「1.教育課程と学習指導法」で「教育課程と学習指導法とは密接に結びついている」とし、「個々の教材をよく研究し吟味することによって、それに最も適した指導法が考え出される」という。そのためには児童・生徒をよく理解することが有効だと指摘している。子供を知ることから適切で有効な学習内容と指導法を検討していくことを唱えているといえよう。

 そして、「3.学習成果の評価」では、「学習成果の評価を、適切に行うためには、評価の観点が正しく教師にとらえられていなければならない」と述べた上で、「評価の観点は、指導の目標とか、ねらいとかいわれるものと表裏の関係をなす」とし、「目標をひるがえせば、評価の観点となる」と指摘する。

 本試案と併せ読むことによって、新学習指導要領は、より具体性をもって理解されよう。(編集部)

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