子ども同士の対話を引き出すことを重視した「授業改革」―「学びの共同体」とは何か

トピック教育課題

2019.12.03

「学びの共同体」は、佐藤学氏(学習院大学文学部特任教授/東京大学名誉教授)が30数年前に提唱し、今日に至るまで学校現場の教師たちとともに実践を深めてきた、学校改革・授業改革のヴィジョンです。全国各地の小・中・高校にとどまらず、近年は東南アジアなど海外にも広がりを見せています。「主体的・対話的で深い学び」を求める新学習指導要領の完全実施にあたり、「学びの共同体」の取組が改めて注目されています。(編集部)

「学びの共同体」がめざすもの

 新潟県小千谷市立小千谷小学校、神奈川県茅ケ崎市立浜之郷小学校、静岡県富士市立岳陽中学校などパイオニアとも言うべき初期の実践校の歩みを受け、今日も各地で「学びの共同体」による学校改革と授業改善が進められ、「荒れていた学校が落ち着きを取り戻した」「低学力層の底上げができた」「授業研究が活性化した」などの成果があがっています。

 「学びの共同体」といえば、コの字型の机配置やグループ学習が一般的にイメージされやすいのですが、こうした“型”を導入すればよし、とするものではありません。【子どもも教師も学び合い育ち合う学校】をめざし、「協同的な学び」「真正の学び」「教師の同僚性」などをキーテーマとして掲げ、丁寧な授業研究を推進しています。

 たとえば、一つの授業の後半で、あえて高レベルの問題(ジャンプの課題)を示し、子ども同士の対話、子どもと教材・題材の対話、子ども自身の内なる対話を引き出し、一人ひとりの学びの「質」の高まりをねらいますが、「難しい…、でも解いてみたい、解けるかもしれない」と子どもたちに感じさせることができる絶妙なレベルの課題を設定するためには、日々の子ども理解と教材研究が求められるのです。

 対話と協同による学び、教科の本質に即した真正の学び、一人ひとりの学びの保障、学校全体で取り組む授業研究など、「学びの共同体」に関わってきた数多の実践者たちが育んできたその考え方は、新しい学習指導要領のコンセプトとして、今すべての学校関係者に求められるところとなりました。「学びの共同体」のヴィジョンと取組の中に、これからの授業づくり・学校づくりの多くのヒントが散りばめられている、そう言えるのではないでしょうか。

「学びの共同体」関連の著作から

 これまで(株)ぎょうせいでは、「学びの共同体」の理念・実践に注目し、『公立中学校の挑戦―授業を変える学校が変わる 富士市立岳陽中学校の実践』(2003年 佐藤雅彰・佐藤学/編著)、『中学校における対話と協同――「学びの共同体」』(2011年 佐藤雅彰/著・佐藤学/解説)を発刊してまいりました。前者は「全国の中学校の風景を一変させたと称される岳陽中の改革史」、後者が「中学校における具体的な授業方法論」です。

 また、上記2作に続く、『子どもと教室の事実から学ぶ 「学びの共同体」の学校改革と省察』(2015年 佐藤雅彰・齊藤英介/著)はさらに小学校も対象に含め、教師に不可欠な授業研究の方法を提示する内容となっています。

 現在、21世紀型能力、アクティブ・ラーニング、深い学びなど、さまざまな教育をめぐるキーワードが生まれ、新たな様相を見せている中、立ち返りたい授業の原点が詰まっています。

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誰ひとり孤立することのない学校・教室とは? すべての子どもの学びを保障するための具体的方策の提示。

子どもと教室の事実から学ぶ 「学びの共同体」の学校改革と省察

2015年5月 発売

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