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学校改革の新定石Ⅱ

西留安雄

学校改革の新定石Ⅱ[第11回]学校経営の羅針盤~手引書の常備~

NEWトピック教育課題

2019.08.30

学校改革の新定石Ⅱ
[第11回]学校経営の羅針盤~手引書の常備~

新教育課程ライブラリII Vol.11 2017年11月

 今回は、学校経営の羅針盤として備えて欲しい「手引書」を紹介する。

新学校システム

 「教師の多忙の現場を見てください」「朝の職員室は、行事の打ち合わせや朝学習の打ち合わせを行う」「それ以外にも会議が目白押し」「帰宅後も会議の資料作りが深夜まで続く」「授業時間が増加し現場は多忙になっている」「時間外労働が中学校の教師で1か月100時間」

 こうした声を幾度も聞く。どうしてこうなるのだろう。学校にいくら職員を増やしても教師の多忙感はなくならない。それは、学校自身が変えようとしないからだ。過去からの学校運営方式が続く限り、多忙感を持つ教師は減らない。多忙であれば、何らかの手を打つべきだがそれができない。学校常識を当たり前と思っているからだ。外部からの学校への様々な要請は続く。それを原因としている限り学校の多忙感はなくならないだろう。その解決の一例を示す。近年、多くの学校はPDCAサイクルの学校運営を導入している。だが、私は、これは学校には向かないと考え、教育活動(D)の直後にCAPサイクルを行う「直後プラン」(DCAP)をかつての赴任校で実施した。運動会を例に「直後プランDCAPマネジメントカリキュラムサイクル」を説明する。

 運動会実施「D」後、ただちにワークショップ型のミーティングで評価「C」を行う。実施直後に教師・保護者らが評価を行い改善策「A」を出し合う。担当者は、改善策をまとめる。次の日には、改善策を生かした新年度の計画「P」を立て、事案決定システムを通して全教師に周知する。教育活動直後に評価を行い、新年度計画を立てるので常に改善が行われ、よい内容となる。

学習過程スタンダード40(高知県授業づくりBasicガイドブック)

 現行の学習指導要領総則第4の2の(2)には、「各教科等の指導に当たっては、体験的な学習や基礎的・基本的な知識及び技能を活用した問題解決的な学習を重視するとともに、児童の興味・関心を生かし、自主的・自発的な学習が促されるよう工夫すること」とある。これは次期学習指導要領でも変わることはない。その「問題解決的な学習」を教師に定着させるためにはどうしたらよいか幾度も悩んだ。これまでの学習過程「導入、展開、終末の3段階」「問題把握、自力解決、集団解決、まとめの4段階」を導入しても全教師が習得するまでには至らなかったからだ。この反省に立ち、まずは子供・教師に授業内での動きを学ばせることが重要と考え、詳細な問題解決型の学習方法の7項目の習得を促した。効果はすぐに出た。提案した「学習過程スタンダード40」を活用すれば、どの教科、どの教師でも同じ水準の授業ができる。そのスタンダードには、40項目が記載されてある。①前時の振り返り、②問題(資料)の提示、③問いをもつ、④問いの共有、⑤課題の設定、⑥日付け・縦線、⑦課題の青囲み、⑧課題の3回読み、⑨シラバスの提示、⑩言語わざ、⑪自力解決、⑫自力解決可否の確認、⑬集団解決、⑭ペア学習、⑮班学習、⑯教科進行係り、⑰学び合い1「単純意見交換」、⑱学び合い2「考察」、⑲教師の修正、⑳まとめ、㉑まとめの発表、㉒まとめのまとめ、㉓振り返り、㉔振り返りの発表、㉕振り返りの振り返り等だ。このスタンダードが授業を大きく変えた。教師が教え込む授業ではなく、子供が主体的に参加する授業となった。

「まなブック」

 子供は、授業という集団の学びを通して、友達の考えを聞いて、自分の考えをまとめたり、知らないことを教わったりして新しい知識や学習方法を学んでいく。その中核となるのが「まなブック」である。「まなブック」には、①問題解決学習の流れ、②学び合いの方法、③学習言語スキル、④振り返りの方法、⑤各教科の学習方法、⑥ノートの作り方等の内容が入っている。教師間で確認したことは、①全教科・全領域で問題解決型の指導方法をとる、②学習指導案に「まなブック」の使用か所を記入する、③単元の開始時に子供と学習の進め方を確認すること等とした。使用した教師の反応は、授業を進めやすかった等の肯定的意見が多かった。

OJTノート

 教員人材育成基本方針を受け、独自のOJTノートを開発し人材育成を図った。OJTノートの作成に当たっては、まず、指導する内容のキーワードをワークショップで抽出した。その後、具体的な約束事を箇条書きで列挙した。「出張の例」を紹介する。①副校長に一言言うようにする、②旅行命令簿を提出する、③学校から出発し、学校帰着とする、④上着、名札のTPOを守る、⑤印鑑を持参する、⑥全日出張後は、翌日の「ちょこっと塾」(ミニ研修会)で報告をする、⑦1年に1回は市外の研修会に行く、⑧出張先で頂いた資料は全職員に還元する、⑨市の会合に欠席する場合は、副校長から連絡してもらう。校内OJTから、職員の育ちが見えた。当たり前のことが当たり前のようにできるようになった。うっかりミスも少なくなった。若手教師が知らない、ベテラン教師が気付かなかったということがなくなった。

[注]詳細については、拙著『アクティブな学びを創る授業改革』(ぎょうせい、2017年)を参照されたい。

 

 

Profile
西留安雄
にしどめ・やすお 東京都東村山市立東萩山小学校長、同大岱小学校長を経て、東京都清瀬市の清瀬富士見幼稚園長。大岱小では校長在任中に当時学力困難校といわれた同校を都内トップ校に育てた。現在、高知県・熊本県など各地の学力向上の指導に当たり、授業・校務の一体改革を唱える。主著に『学びを起こす授業改革』『どの学校でもできる!学力向上の処方箋』など。新刊『アクティブな学びを創る授業改革』が好評刊行中。

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清瀬富士見幼稚園長

東京都東村山市立東萩山小学校長、同大岱小学校長を経て、東京都清瀬市の清瀬富士見幼稚園長。

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