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学校改革の新定石Ⅱ

西留安雄

学校改革の新定石Ⅱ[第4回]授業改善の小中連携

NEWトピック教育課題

2019.08.23

学校改革の新定石Ⅱ
[第4回]授業改善の小中連携

新教育課程ライブラリII Vol.4 2017年4月

 

 ある学校の学習発表会を参観した。同席したのは、同じ地域の異校種の教師であった。参観後の感想を聞くと、「以前は、もっと伸び伸びと発表していたんですが……」「指導しきれていないことが残念です」と。全国の学校を見て感じたことは、子供が身に付けた資質や能力が、校種が違うことにより引き継ぎがうまくいっていないことであった。

校種が分かれていることのマイナス

 小・中学校を歩き、校内研究の温度差、指導方法の違い、学力向上へ取り組む姿勢等の違いを感じとった。多くの学校は、連携の形で補うことを確認しているが、学校文化や風土が違うことを理由に授業等の連携がスムーズにいっていないのが現実だ。

 子供たちも校種や教師の違いにより、授業方法、ノートの使い方、挙手の仕方、授業過程、教師の教え込みの授業等にどう対応したらよいか戸惑っている。一つの例だが、担任や校種によりノートの使い方や発言の仕方等の指導が全く違う。これでは子供は混乱をする。教師や学校に合わせざるを得ない子供の気持ちを考えると複雑な心境だ。小・中の教師同士が共通の指導事項を統一すれば多くの課題が解決する。このことにどうして気付かないのだろう。とりわけ、一致した学力向上策は、かなり有効であるのにどうして連携しないのだろう。

校種を合わせただけでは効果がない

 各自治体では、国の制度化に先んじて小中一貫教育の取組みを進めてきたが、私には、その例が全部うまくいっているとは思えない。とりわけ教師にはそれぞれの学校文化の意識が強いため、校種を合わせただけでは何も変わらない。現実に、一貫したカリキュラム、評価基準の一体化、校内研究の統合、個人レベルの授業改善等ができていない一貫校があるからだ。

 その反省を受け、一貫校として統一すべき内容を挙げてみたい。①カリキュラム、②評価基(規)準、③学習過程、④校内研究、⑤授業方法、⑥生徒指導、⑦校種を越えた縦の学び、⑧行事、⑨課外活動、⑩OJT、⑪学力向上策等が考えられる。こうした内容を統一するためには、目に見えない教師間の壁を取り払うことだ。その上で授業改善を進めることが重要である。小・中の教師がバラバラの指導方法をとっている限り、授業力や学力の向上は望めない。

授業改善の小中連携

 授業方法は、小・中学校ともそれぞれにさほど変わらない。だが、校種によりなぜか違う。一番危惧をしているのはそれぞれの教師が自分のペースで授業を進めていることだ。そのため、授業では、反射的な応答と直感的な反応しかしない子供がいる。また、教師の話術だけでは授業力は上がらず、子供の心を把握することができていない。教師主導、誘導型の授業が原因だ。この解決には、小・中の教師が連携し次のような研究をするとよい。

(1)指導方法の統一
 小・中の校種で統一することを上げると次の項目が考えられる。①ノートの使い方、②子供同士の対話の方法、③話し方、④聞き方、⑤ペア学習や班学習の進め方、⑥全体学習での練り上げ方法、⑦原稿用紙の使い方、⑧板書方法、⑨振り返りの仕方、⑩見通しの立て方、⑪付箋紙の使い方、⑫ホワイトボードの使い方等だ。一人の教師、一校という単位でできることは限られている。一致した指導をする仕組みができれば、子供は伸びる。

(2)校内研究の進め方の統一
 小・中、どちらかが研究を先行している場合がある。ここに方策を見出せる。校内研究がうまくいかない学校は、異校種の学校に学ぶとよい。「まだ交流する時期ではない」と、こだわっていると授業改善はできない。自校だけの論理を捨て、先行研究をしている異校種の学校と一体になり研究を進めれば、教師や子供は大きく伸びる。

(3)研究主題の統一
 各学校の研究主題を見ると、「自ら」の文字が多い。学習指導要領の核となっている言葉を入れているからだ。そこで、「自ら」を研究主題に統一し、授業研究や学力向上策を共同で研究するとよい。「子供の実態」が小・中も同じだから研究主題も一本化できる。単独の研究主題に固執していれば、何も変わらない。

(4)授業者の異校種への乗り入れ
 小・中も教科指導の方法は全く同じである。だが現状は、指導方法に相当な開きがある。そこで指導者が校種を越え授業を行うとよい。校種を越えれば、授業をよく知る教師から授業論を学ぶことができる。授業者の乗り入れこそが教師や子供を伸ばすことにつながる。なお、参観だけの授業研究は避けるとよい。

(5)研究協議会の一体化
 同じ校種の教師では、研究協議会のワークショップで出し合う付箋も似てくる。改善策も同じになる。校種を越えた教師同士がワークショップを行えば、付箋の内容も豊かになる。ワークショップを小・中いずれかの学校がリードするので、単独では難しい学校の研究協議会も活性化することができる。_

 

Profile
西留安雄
にしどめ・やすお 東京都東村山市立東萩山小学校長、同大岱小学校長を経て、東京都清瀬市の清瀬富士見幼稚園長。大岱小では校長在任中に当時学力困難校といわれた同校を都内トップ校に育てた。現在、高知県・熊本県など各地の学力向上の指導に当たり、授業・校務の一体改革を唱える。主著に『学びを起こす授業改革』『どの学校でもできる!学力向上の処方箋』など。新刊『アクティブな学びを起こす授業改革』が好評刊行中。

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西留安雄

清瀬富士見幼稚園長

東京都東村山市立東萩山小学校長、同大岱小学校長を経て、東京都清瀬市の清瀬富士見幼稚園長。

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