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学校改革の新定石

西留安雄

学校改革の新定石 第6回 教育課程の進行管理

NEWトピック教育課題

2019.07.10

学校改革の新定石

第6回 教育課程の進行管理
『新教育課程ライブラリ Vol.6』2016年6月

次年度に詳細な計画を残す

 新学期はゆとりがあっただろうか。多くの学校が例年のとおり多忙となったのが現状ではないだろうか。こうしたことの解消のために、1月から教育課程を進める「12月決算の教育課程」、教育活動直後に次年度案を立てる「直後プラン」が有効であることを提案してきた。その中心となるのは、「教育課程DCAPサイクル」である。教育計画を1年がかりで更新していく方法だ。次年度は、実践Dから入るので事前の職員会議も要らない。新学期でも子どもと向き合うことに多くの時間をかけることができる。

 教育課程の進行で重要なことの一つは、職員全体で共有する資料だ。多くの学校は、大まかな計画案が多い。全体の進行はその資料で分かる。だが、担当業務の詳細な内容が記載されていないため、自分の係りの実施案は自分の判断で作成するしかない。また、新しく担当になった職員の場合は、前年度の様子が分からないので手探りで作成することになる。そこで、本年度にその係りを担当した職員が、できるだけ教育活動の詳細な内容や記録を次年度の計画案に残す方法を提案したい。

 運動会の例で説明をしよう。実施日時・係り名・ねらい・練習日程等は、運動会の全体案に示されることが多いが、それらに加えて、次年度に誰が該当学年になっても詳細が分かるようにしておくために、本年度担当した者に次年度の実施案を立てさせる。小学校であれば、1年生の玉入れの進行の仕方、玉の数、玉入れの時間、玉入れの高さ等を記入する。図にする場合もある。プログラムの内容、放送原稿等、いずれも詳細な内容を教育計画に入れるようにする。できるだけメモを残すようにしておけば、次年度の担当者は困らない。

3度の打ち合わせで確実に実施

 DCAP教育活動サイクルで重要なことは、1年前に作成した教育活動の案を確実に実践するための進行管理だ。教務主任が中心となって進行の指揮を行っても、うまくいくとは限らない。うまくいかない多くの場合は、教頭や教務主任と担当者との連携が不十分な時だ。

 かつての勤務校でも、担当者任せになったことでうまくいかないことがあった。また、管理を行う教務主任自身がうっかりする時もあった。そこで、教育活動の数か月前に行う「直前プラン」と「2週間前の打ち合わせ」「実施後の直後プラン」の3段階で教育課程の確実な進行管理を行うようにした。二重、三重にチェックする機関や機会を制度化したので進行が滞ることはなくなった。

①直前プラン(3か月前)

 前年度に教育計画案が出来ているので直接、実践(D)から入ることになる。異動して来たり、実施内容を忘れたりしている職員のために「直前プラン(3か月前)」を実施する。教育計画の該当箇所を読むように注意を促す方法だ。教育活動の3か月前の夕方の打ち合わせ時に、冊子に目を通すように一役一人制運営組織の担当者が指示をする。追加の資料は出さないのが原則だが、分担する担当者の名前の資料等は出すことになる。

②2週間前の打ち合わせ

 職員は、3か月前に教育計画に目を通す。ところが、進行を担当する者がうっかりする時がある。それを解決するための方策が「2週間前の打ち合わせ」だ。職員夕会後に、2週間後の教育活動を担当する職員・教務主任・副校長・校長等が集まり、実施が可能かどうかの最終の確認をする。一役一人制の担当者の仕事が着実に行われているかどうかの確認も行う。これにより、進行の遅れはほとんどなくなる。

③直後プラン

 教育活動直後(D)に、評価(C)・改善策(A)を全職員で立ったままのワークショップを行う。このワークショップがこれまでの職員会議だ。そのワークショップを受け、担当者は次年度の案(P)を立案。その案は、事案決定システム後、直近の打ち合わせの夕会で示され周知を図ることになる。鉄は熱いうちに打ての論だ。勤務校では、この方法が功を奏し、ゆとりの中で教育活動を行うことができた。

 

教育課程の「進行暦」による教育課程の進行管理

 農家には農事暦がある。種をまく時期、収穫時期等、綿密なスケジュール管理がしっかりしている。学校にはそうした暦があるだろうか。予想される教育活動は資料を見れば分かるが、事務に取り組む開始時期等はほとんど明示されていない。

 かつての勤務校では、教育課程進行管理表を作成した。1年間の仕事には、どんな仕事があるのか、いつから始めるとよいのかを自覚させるためである。これにより職員の職務の遂行は順調であった。教育課程の進行暦を職員室に掲示したからだ。職員に仕事の効率が悪いと指導することは、ほとんどなかった。

 学校が多忙であるのは確かなことだ。その理由を、提出書類が多い、招集される会議が多いなどにしてこなかっただろうか。教育課程の進行暦等を作成する工夫をすれば、職員はゆとりをもって職務を遂行できる。そのことで、「その日暮らし」的な事務から解放されるのは間違いない。そのためには、校長自身が、何か方策はないかと常に考えることではないだろうか。

 

Profile
西留安雄
にしどめ・やすお 東京都東村山市立東萩山小学校長、同大岱小学校長を経て、東京都清瀬市の清瀬富士見幼稚園長。大岱小では校長在任中に当時学力困難校といわれた同校を都内トップ校に育てた。現在、高知県・熊本県など各地の学力向上の指導に当たり、授業・校務の一体改革を唱える。主著に『学びを起こす授業改革』『どの学校でもできる! 学力向上の処方箋』など。

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2016/06 発売

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西留安雄

清瀬富士見幼稚園長

東京都東村山市立東萩山小学校長、同大岱小学校長を経て、東京都清瀬市の清瀬富士見幼稚園長。

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