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学校改革の新定石Ⅱ

西留安雄

学校改革の新定石Ⅱ[第2回]行事のリニューアル

NEWトピック教育課題

2019.08.20

学校改革の新定石Ⅱ
[第2回]行事のリニューアル

新教育課程ライブラリII Vol.2 2017年2月

 学校行事を多く行うと確かに外部受けはよい。だが、練習や装飾作りで子供が落ち着かないことを考えれば、このままでよいのかと疑問をもつ。かつての勤務校は、このことを解決してきた。一例として「6年生と思い出作りの会」で説明をする。コンパクトの中にも心のこもった会とした。用意するものは、ほとんどなし。装飾等には手をかけない。教師も子供もゆとりを持って臨みたかったからだ。なお、前年度まで行ってきた謝恩会を止め、保護者と共催して祝う会ともした。ねらいは、「全校児童や保護者が6年生の卒業を祝う活動を一緒に楽しむ」だ。期日は、2月〇日(土)6校時に体育館で行った。内容は、

①始めの言葉
②校長先生の言葉
③5年生と6年生のゲーム(大縄とび)
④4年生と6年生のゲーム(紅白玉入れ)
⑤3年生からプレゼント(首飾り)
⑥2年生から感謝の言葉
⑦1年生からの出し物(入学式で歌う歌)
⑧応援団委員会の出し物
⑨6年生の保護者の合唱
⑩6年生からの出し物(卒業式で歌う歌)
⑪全校合唱(合唱コンクールの優勝曲
⑫終わりの言葉
等した。事前の準備や練習に時間をかけないため、ゆとりのうちに終えることができた。簡素な内容にしたため、少し物足りないと感じた教師もいたが、校長としては十分、目的を果たしたと感じた。行事疲れにならず、授業の充実に時間を向けることができたからだ。

学校行事の課題

 学校行事は、誰のための教育活動だろうか。何のために行っているのかなど疑問を持つことが多い。学習指導要領が変わっても行事のための練習に多くの時間を費やしたり、従来の実施方法で行っている学校がまだあるからだ。それは、
①運動会や学芸会などの練習のために特別時程を組むため教科学習が適正に行われていない
②行事のための「装飾」に力を注ぎ見栄え中心となっている
③行事を名目にした授業カットが多く、学力の低下につながりやすい
④大人の「やらせ的」要素の行事が多く、子供が真に主体的に取り組む内容となっていない
⑤子供の心を育む教育活動である学校行事に多くの時間を費やすため、教師と子供が向き合う時間を減らしている
⑥授業改善より行事に燃える教師がいたりする
等の課題からだ。こうした課題に気付いてから、教師の意識改革を行う必要性を感じた。

行事の実施方法の見直し

 学校行事は、本来、子供たちを元気づけるものだ。楽しいものだ。そのためには、学校行事等の教育活動をまず精選するとよい。内容や方法を見直し、ゆとりのある中で実施する。そうすれば本来の行事の姿に戻るはずだ。それには、従前から行ってきた行事の在り方を前年度踏襲型とせず見直すことが重要である。

(1)練習、練習、本番という常識を変える

 学校には行事の練習のための特別時程を組むという常識がある。これを疑問と思わず、前からやってきたからということで続けている学校がある。学習指導要領の特別活動の趣旨だけでなく、総則にある「子供が主体的に」という言葉を大事にするならば、教師主体のやらせ的な「練習、練習、本番という構図」は、ないはずだ。教師側から見る行事、教師自らが経験してきたことを子供にそのまま伝えることは避けたい。そこで普段の時間割通りの日程で練習を行い本番を迎えるとよい。それには、ロングランの指導計画を作成することが大切である。そうすることで、ゆったりした中で行事を迎えることができる。なお、実施する時間は、6校時がよい。6校時であれば、少々活動が伸びても授業には影響しない。終了時刻を守ろうとする教師が増えることも確かだ。

(2)内容の見直し

 学習指導要領の総則には、「見通し、振り返り、言語活動、自ら」等の言葉が並んでいる。これを大事にするならば、その行事の項目もそうした内容を加味した内容でなければならない。行事を行うための見通しを立てたり、振り返りまで行わせることは必須なことだ。

(3)子供主体の行事

 「行事は子供を主体に」と、多くの教師は言う。だが、現実は、教師主体の行事も多い。司会原稿を教師が書き、それを子供に読ませたり、卒業式の呼びかけ台本を子供から集めたとは言え教師がまとめたことを子供に言わせたりする等がその例だ。教師主導を変えなければならない。

(4)装飾なし

 かつて展覧会のような装飾の卒業式を行ったことがある。一夜飾りに疑問をもち廃止をしたところ、やはり子供と教師にゆとりが戻った。行事のための飾りに時間をかけるのではなく、内容に力を注ぐことに力を入れるべきではないだろうか。

 学校行事を行う際、授業時数を確保することが何より重要だ。行事で子供が変わる場合もあるが、普段の授業を削減してまでも行うものではない。これが学校常識ではないだろうか。行事改革に即座に取り組むには難しいだろう。だが、本当の常識は何かを考えれば答えは一つである。子供も教師もゆとりを待っているからだ。変えることをためらってはならない。

 

Profile
西留安雄
にしどめ・やすお 東京都東村山市立東萩山小学校長、同大岱小学校長を経て、東京都清瀬市の清瀬富士見幼稚園長。大岱小では校長在任中に当時学力困難校といわれた同校を都内トップ校に育てた。現在、高知県・熊本県など各地の学力向上の指導に当たり、授業・校務の一体改革を唱える。主著に『学びを起こす授業改革』『どの学校でもできる!学力向上の処方箋』など。

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西留安雄

清瀬富士見幼稚園長

東京都東村山市立東萩山小学校長、同大岱小学校長を経て、東京都清瀬市の清瀬富士見幼稚園長。

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