ぎょうせい「学びのある」学校づくりへの羅針盤 スクールリーダーのための実務情報サイト

学校改革の新定石

西留安雄

学校改革の新定石 第8回 100時間以上の余剰時数の確保

NEWトピック教育課題

2019.07.16

学校改革の新定石 

第8回 100時間以上の余剰時数の確保
『新教育課程ライブラリ Vol.8』2016年8月

 朝、子どもが登校している中で職員朝会を行ってよいだろうか。会議や出張があるからを理由にし、子どもを早く帰してよいだろうか。学校の都合で簡単に授業カットを行ってきた学校常識を変える必要がある。保護者が勤めで休暇を取れず、子どもが帰宅後一人でいることを心配していることを考えれば、学校の都合で帰宅をさせることに無理がないだろうか。研究会を理由に午前授業の学校。子どもを早く帰して研究授業を行ってよいだろうか。家庭訪問や個人面談を学期中に行い授業カットをする学校。夏季休業中でも行える。生活指導全体会や研修会を理由に、子どもを早く下校させる学校。夏季休業中でも可能だ。

 私の元勤務校では、子どもが登校した日に4時間未満で下校させることは、ほとんどなかった。特に給食がある日は、5時間以上の授業を必ず行うようにした。

夏季休業中に指導計画の作成や会議を開催

 1月~3月の忙しい時期に教科の指導計画等は作成しないようにする。夏季休業中に作成をすれば済むからだ。教科の指導計画、少人数指導計画、道徳指導計画、総合的な学習の指導計画、英語活動指導計画等が対象だ。ゆとりのある時期に作成すると内容のある教育課程が出来上がる。

 生活指導全体会を夏季休業中に開くとよい。5月頃、教師全体で子ども理解のため会議を開く学校がある。そのことで課題が解決できただろうか。「学校全体で声を掛け合って」という不思議な結論で終わり、担任の自助努力に任せられるのが現状だ。私の元勤務校では、そうしたことをやめ、長期休業中に担任が悩んだことやうまくいった事例をレポートに書かせ、ワークショップで学び合うようにした。子どもの情報を知らせるための報告会より、対応策を報告し合い学び合う方法がより価値があると考えたからだ。

 子どもの環境を理解するために5月頃、個人面談や家庭訪問を行う学校がある。担任が代わる度に行うので家庭の負担も大きい。子どもに問題行動があれば、その時に家庭訪問をすれば済むことだ。そこで、家庭訪問をやめ、個人面談(三者面談)を夏季休業中に行うようにした。担任と子ども・保護者が夏季休業中に解決する課題と具体的な対応策を話し合った。子どもは苦手な教科や単元を集中して学べたことで自信をもつことができた。

会議をできるだけ行わない

 元勤務校では、ほとんど会議を行わないようにした。その分、打ち合わせを多く行った。教育活動直後に5分間程度のミーティングを行い、その案は、一役一人制による運営組織の担当者が次年度の教育計画を作成し、事案決定システムで決裁を行うようにした。実施直後なので質の高い教育活計画を立てることができた。この方法により、年度末評価や新年度計画の会議をなくすことができた。教育活動と同様、事案決定システムで提案する仕組みがあったからだ。

 朝の職員朝会後、教師が教室にすぐ行かないことも見てきた。そうした中で、子どもの問題行動が起きたり、遅刻が増えたりする等の課題があった。そこで、職員朝会をやめ、金曜日の夕方に打ち合わせを一回だけ行うようにした。教師は職員朝会がないため、教室で子どもを迎えたり、外で遊んだりしていた。職員朝会をやめたことで、教師と子どもとの距離が縮まった。なお、職員同士が緊急に連絡したいことは、「連絡黒板」で対応するようにしたため、特段困ることはなかった。

 研究会の時も4時間で下校させることはしなかった。全校5時間の授業を行った上で特設の6時間目に研究授業を行うようにしたからだ。研究授業後の30分のワークショップ型研究協議会で中味の濃い協議もできた。

行事の工夫

 行事を行うには、時間がかかる。そこでできるだけ教科時間にかからないように行事も特設の6時間目に行うようにした。なお、行事のリハーサルもなくした。これまで続いた練習、練習、そして本番という形をなくし、ゆとりの中で本番を迎えることができた。一例だが、運動会のダンスの練習は2月から始めた。放課後や裁量の時間を使いながら練習を行ったことで、子どもの主体的な運動会となった。

その他の工夫

 職員が出張する際は、その教師の学級だけを午前5時間授業とした。教師の都合で授業時数を減らしたくなかったからだ。なお、下校時刻を統一するために時間調整を行った。保護者会も放課後に行い、子どもを4校時で帰すことはしなかった。

 学校改革の結果、各学年の余剰時数が100時間を超えた。インフルエンザが流行したり、突然の事故等による学級閉鎖があっても十分に対処できる時数であった。学力の向上にも十分な時数であり、良い結果を上げることができた。20~30の余剰時数は、余剰とはいえない。ゆとりのある100時間以上を目指すとよい。

 

Profile
西留安雄
にしどめ・やすお 東京都東村山市立東萩山小学校長、同大岱小学校長を経て、東京都清瀬市の清瀬富士見幼稚園長。大岱小では校長在任中に当時学力困難校といわれた同校を都内トップ校に育てた。現在、高知県・熊本県など各地の学力向上の指導に当たり、授業・校務の一体改革を唱える。主著に『学びを起こす授業改革』『どの学校でもできる! 学力向上の処方箋』など。

この記事をシェアする

特集 特別支援教育の実践課題

新教育課程ライブラリ Vol.82016年8月

2016/08 発売

ご購入はこちら

すぐに役立つコンテンツが満載!

ライブラリ・シリーズの次回配本など
いち早く情報をキャッチ!

無料のメルマガ会員募集中

関連記事

すぐに役立つコンテンツが満載!

ライブラリ・シリーズの次回配本など
いち早く情報をキャッチ!

無料のメルマガ会員募集中

西留安雄

西留安雄

清瀬富士見幼稚園長

東京都東村山市立東萩山小学校長、同大岱小学校長を経て、東京都清瀬市の清瀬富士見幼稚園長。

閉じる