月刊 ガバナンス 2024年11月号  特集1:地域の知の拠点を守る──まちの図書館の未来 特集2:押さえておきたい著作権のこと|地方自治、法令・判例のぎょうせいオンライン
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月刊 ガバナンス 2024年11月号  特集1:地域の知の拠点を守る──まちの図書館の未来 特集2:押さえておきたい著作権のこと

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編著者名
ぎょうせい
判型
A4変型
商品形態
雑誌・電子書籍
雑誌コード
13321-11
図書コード
7135001-24-110
8179040-24-110
ISBNコード
発行年月
2024/11
販売価格
1,320 円(税込み)

内容

●特集1 地域の知の拠点を守る──まちの図書館の未来

人口減少やライフスタイルの変化、流通網の維持の難しさなど様々な要因によって「紙」の書籍が人々の生活から離れていっています。地域にまちの書店が一つもない「書店ゼロ」の市町村も増え、"書店砂漠"と言われるまでになっています。一方で、地域の公共図書館は住民にとっての「知の拠点」や「場」、あるいは「アーカイブ」などとしての機能を果たせているのか。書店ゼロ地域にとっては、図書館を頼りにしている人もいるでしょう。「紙」だけでなく電子書籍の貸出のような新しい取り組みに乗り出す公共図書館も出てくるなど、時代に合わせたあり方の模索もはじまっています。地域の「知の拠点」としての図書館のこれからを考えます。

■知の拠点としての図書館を大切に

片山善博
大正大学特任教授・地域構想研究所長

図書館は万人のためにある。図書館は必要な知識や情報を得る拠点になり得る。膨大な蔵書や資料、それに後述する司書の機能が多様な図書館利用者の知的活動を支えることになる。自治体のさまざまな行政分野は、図書館の機能と連携することによって、より質の高い行政を提供することができる。外国人などマイノリティへの情報提供や住民の健康増進などでも図書館の潜在力が期待される。

■人口減少時代の公共図書館/永田治樹
現代の公共図書館には、多くの知識・情報(紙もデジタルも)を提供・共有するために、これまでのよきあり方を維持しつつ、新技術を駆使してその機能の拡大が求められている。人びとの生活を支えるために、自治体には広域行政の新たな工夫が提示されており、図書館も知恵や資源を結集しうるそうした動きが必要だろう。

■公共図書館を政策形成に活かす/塚田 洋
社会状況や情報環境の変化は激しく、公共図書館への期待や要望はいっそう多様化しているが、他方で、厳しい財政事情を受け、公共図書館がどのようなサービスを優先すべきかが、これまで以上に問われている。「知の拠点」を目指すのであれば、具体化する道筋は十分に議論され明確に示される必要があるだろう。そのプロセス自体が、「知の拠点」を築く貴重な一歩になる。

■あそびの生まれる図書館 ~みんなが当事者になる場へ/西川 正
図書館ができることは何か。私は「応え」る(response)ことだと思う。図書館は「答え」(answer)のある場所のイメージがあるが、学びもまちづくりも必要なのは「応え」のほうなのではないか。カウンターに行けば、一緒に探したり、調べたりしてくれる。呟きを拾い、面白がってくれる。おしゃべりの中からアイデアが生まれる。市民のために(for)から、市民とともに(with)へ。そうすれば図書館はあそびの生まれる場所になる。

■市民の図書館を生み、育てる ~図書館フレンズいまり30年の活動/盛 泰子
いまや全国的にも先進的な図書館として著名な伊万里市民図書館(佐賀県)。1995年に開館した同館のパートナーとして、協力し提言することで、市民のための図書館であり続けるよう守り育てることを目的に設立された「図書館フレンズいまり」。「私たちが欲しいのは、子ども連れで一日ゆっくり過ごせる図書館」。この願いから、市民が「図書館づくりをすすめる会」を立ち上げ、その後「図書館フレンズいまり」となって、30年伴走しながら市民の図書館を育ててきた。

■〈取材リポート〉県内全市町村と県が協働で電子書籍貸出サービスを推進──「デジとしょ信州」/長野県
長野県では、県内全77市町村と県の協働による電子図書館「デジとしょ信州」を開設している。県立長野図書館が電子図書館としてのプラットフォームを維持し、コンテンツの費用は市町村で分担して運営。利用登録を行った県民は誰でも、365日24時間いつでも、どこからでも無償で電子書籍が借りられるのが利点で、一人も取り残されない、公正な学びと読書環境の基盤の構築をめざしている。県内の全自治体が協働で電子図書館を導入したのは全国初となる。

 

●特集2 押さえておきたい著作権のこと

日々、膨大な量の情報やコンテンツがやりとりされる現代社会。その中には多くの著作物が存在しており、利用や発信の際は著作権にきちんと留意する必要があります。認識があいまいなまま進んでゆけば、思わぬトラブルへと発展する可能性も……。
今回の特集では、改めて振り返りたい著作権の基礎から、自治体業務で発生しやすい著作権関係のトラブル、AI生成コンテンツの著作権といった最新知見まで、押さえておきたいポイントをご紹介していきます。

■ここからはじまる!著作権入門/福井健策
■公務職場で気をつけるべき著作権に関するトラブル/早稲田祐美子
■生成AI利用と著作権/奥邨弘司

 

キャリアサポート連載

■管理職って面白い!ハインリッヒの法則/定野 司 ■「後藤式」知域に飛び出す公務員ライフ
「小家族化」と「2つの高齢化」がもたらす未来/後藤好邦
■誌上版!「お笑い行政講座」/江上 昇 ■〈公務員女子のリレーエッセイ〉あしたテンキにな~れ!/高木香織 ■自治体DXとガバナンス/稲継裕昭 ■自治体職員なら知っておきたい!公務員の基礎知識/高嶋直人 ■今日から実践!すぐに役立つ!「公務員による研修」のススメ/塩浜克也 ■カスタマーハラスメント対策Q&A/関根健夫 ■HOLG presents 本当にすごい公務員!のココだけの話/辻 双九 ■〈リレー連載〉Z世代ズム~つれづれに想うこと/伊保郁花 ■ただいま開庁中!「オンライン市役所」まるわかりガイド/青木 悟 ■地域の“逸材”を探して/寺本英仁

 

●巻頭グラビア

□自治・地域のミライ
菅野大志・山形県西川町長
「つながり」と「かせぐ」で、“寛容性の高いまち”をめざす

菅野大志・山形県西川町長(46)。住民ニーズを把握するため、多くの対話会を開催する。「利他の精神を大切にして欲しい」と話す。

 

取材リポート

□新版図の事情──“縮む社会”の現場を歩く/葉上太郎
住民が誰もいない町で、世界から観光客を呼ぼうと考えた【双葉町・最後の町の起業(上)】
原発事故、続く模索56

福島県双葉町の帰還は2022年8月30日に始まった。被災から11年半。原発事故で避難を強いられた自治体では最も遅い。避難時の住民は約7100人。このうち9月末時点では68人しか戻っておらず、転入も含めた町内居住者は147人だ。にもかかわらず、避難指示解除前から「世界の人を観光に呼ぼう」と起業した若者がいた。その後、町議にもなる山根辰洋さん(39歳)だ。大熊町の大熊インキュベーションセンターに拠点を置く起業家にはこのような人もいる。

□自治体政策最前線──地域からのイノベーション20
自動運転バス+ライドシェア「i-Chan」──多様な交通モードを組み合わせ持続可能な公共交通体系を構築(石川県小松市)

石川県小松市は、北陸新幹線延伸に伴う新幹線小松駅開業を機に、小松駅と小松空港を結ぶ自動運転EVバスを運行している。運転手の高齢化と将来的な人員不足を見据え、安定した路線バス運行体制を確立するのがねらいだ。また、市民や来訪者の移動の利便性を向上するため、小松市ライドシェア「i–Chan」を開始した。市は新たな技術やサービスを取り込んだモビリティの活用で、持続可能な公共交通体系「小松版MaaS」の構築をめざしている。

 

●Governance Focus
□旅館の主人が流された──石川県珠洲市真浦町、能登半島地震に追い打ちをかけた豪雨/葉上太郎
前月号で取り上げた石川県珠洲市の真浦町。能登半島地震の発生から9箇月が経つというのに、水道さえ復旧していなかった集落だ。地上波のテレビも見られず、固定電話もつながらず、インターネットも使えず、防災行政無線まで壊れていた。その取材に訪れてからわずか半月後の9月21日、奥能登を豪雨が襲った。真浦町では土石流が発生して旅館が被災、主人が海に流された。断水はしていても「復興のために」と作業員やボランティアを泊め続けてきた宿だった。

●Governance Topics
□女性のWell‒beingを考える──内閣府SIP「子育て世代・女性の幸福度向上策」シンポジウム
内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)は、社会課題について基礎研究から社会実装までを見据えて産官学連携により研究開発を推進する取り組みで、現在は第3期として、23年度から5か年計画で14の課題に取り組んでいる。14課題のうちの一つ「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」に関して、そのサブ課題「子育て世代・女性の幸福度向上策」に焦点を当てたシンポジウムが、10月9日に対面とオンラインのハイブリッド形式で開催された。

□職員同士の知見を共有し、これからの「人づくり」を考える──全国職員研修研究会&人事研究会2024
社会の変化を受け、自治体の「人づくり」はさらに重要性を増している。そんな中、全国の研修担当者らが参加する「全国職員研修研究会」と「早稲田大学マニフェスト研究所」の共催で、自治体の人材育成・研修等を担当する職員同士の情報交換を目的としたイベントが9月6日に開催された。当日はオンラインで、先進事例の共有やトークセッションなどを実施。多くの参加者が集い、互いに学びを深めた。

 

連載

□交差点~国×地方/人羅 格 □自治・分権改革を追う/青山彰久 □新・地方自治のミ・ラ・イ/金井利之 □地域発!マルチスケール戦略の新展開/大杉 覚 □市民の常識VS役所のジョウシキ/今井 照 □“危機”の中から──日本の社会保障と地域の福祉/野澤和弘 □自治体法務と地域創生──政策法務型思考のススメ/釼持麻衣(関東学院大学地域創生実践研究所) □地域経済再生の現場から~Bizモデルの中小企業支援/澄川誠治(k‒Biz) □自治体の防災マネジメント/鍵屋 一 □市民と行政を結ぶ情報公開・プライバシー保護/奥津茂樹 □公務職場の人・間・模・様/金子雅臣 □生きづらさの中で/玉木達也 □議会局「軍師」論のススメ/清水克士 □地方議会シンカ論/中村 健 □「自治体議会学」のススメ/江藤俊昭 □From the Cinema その映画から世界が見える
『私は憎まない』/綿井健陽
□リーダーズ・ライブラリ
[著者に訊く!/市民ワークショップは行政を変えたのか──ミニ・パブリックスの実践と教訓』長野 基]

 

カラーグラビア

□つぶやく地図/芥川 仁
若き日の誓いを胸に育てる島の甘夏──佐賀県唐津市呼子町加部島

□技の手ざわり/大西暢夫
天然藍染と手織りの技が生み出すしなやかな風合い──【久留米かすり】池田絣工房(福岡県筑後市)

□わがまちDiary──風景・人・暮らし
産業と自然が生み出す“ここだけ”の魅力(山口県周南市)

□本日開園中 FUN!FUN!動物園
静岡市立日本平動物園(静岡市)

□クローズアップ
伝統建築×若者=「自由」な居場所──岐阜県高山市、若者等活動事務所「村半」

 

特別企画

□鼎談 子育てが楽しい社会へのヒント《前編》──妊産婦・子育てママのウェルビーイングの向上を目指す

 

■DATA・BANK2024 自治体の最新動向をコンパクトに紹介!

※周南市立徳山駅前図書館の本棚アート(山口県周南市提供)

 

図書分類

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