月刊 ガバナンス 2024年6月号  特集1:魅力ある地方議会・議員──多様で住民に信頼される議会とは 特集2:“人にやさしい”誌面デザイン|地方自治、法令・判例のぎょうせいオンライン
試し読み

月刊 ガバナンス 2024年6月号  特集1:魅力ある地方議会・議員──多様で住民に信頼される議会とは 特集2:“人にやさしい”誌面デザイン

クレジットカード払い・コンビニ支払い・請求書払い 対応

編著者名
ぎょうせい
判型
A4変型
商品形態
雑誌・電子書籍
雑誌コード
13321-06
図書コード
7135001-24-060
8179040-24-060
ISBNコード
発行年月
2024/06
販売価格
1,320 円(税込み)

内容

●特集1 魅力ある地方議会・議員──多様で住民に信頼される議会とは

昨年の統一地方選では、町村議会を中心に約3割が無投票当選となった。そのうち、立候補者数が定数を下回る「定数割れ」も20町村に上った。辛うじて無投票を回避したとしても、その危機は迫っている。属性に目を移しても、市議選などでは女性議員の増加はしたものの、自治体を取り巻く環境が複雑・多様化するなか、「住民の多様性を反映した合議体」というには実態が伴っているとは言い難い現実がある。また、障がい者などこれまで政治へのアクセスが難しかった層へのアプローチも不可欠だ。議会を運営していく上では、議員だけなく議会事務局職員の存在も忘れてはならない。2024年4月に、地方議会のなり手不足問題について検討した報告・提言が出された。それらもヒントにしながら、これからの地方議会・議員が魅力的であるためにどうあるべきかを今月は考えたい。

■議会改革の現在・ミライ──縮小社会に立ち向かう議会・議員

江藤俊昭
大正大学地域創生学部公共政策学科教授

住民を巻き込みながら、縮小社会をめぐるさまざまな課題を公開の場で住民、議員、首長等が一堂に会して討議し、最終的には議員同士が討議しながら議決することが必要だ。地方分権再起動のためにも、また縮小社会における地域経営にとっても不可欠だ。縮小社会は、住民、議員、首長等の総力戦、その場であるフォーラムとしての議会を要請する。それが政治の活性化に帰結する。

■多様な民意を反映した地方議会の姿とは/木寺 元
代議制民主主義が危機にあるならば、代議制民主主義以外の政治参加で補っていくしかない。地域のデモクラシーを担う議会は、同じくデモクラシーを担う他の政治参加に対し寛容で協力的な共存関係を形成していくべきだろう。小手先の選挙制度改革ではなく、そうした地道な取り組みが、地域のデモクラシーにとってより重要なのではないだろうか。

■NHK「みんなの選挙」──多様性のある議会を実現するために/杉田 淳
NHKは2022年の参議院選挙を前に「みんなの選挙」というプロジェクトを立ち上げた。これは、障害があるために「投票に行きたくても行けない、行きづらい」と感じている人たちを支援するため、役に立つ情報を発信していこうというものだ。私を含めた報道局と福祉番組「ハートネットTV」のメンバーが連携して取り組んでいる。

■議会の外から議会・議員を支える/寺島 渉
議員としての役割を果たすためには、能力の獲得のために、「学ぶ議会」を貫くことが重要だ。また、公選制である以上、4年ごとに交代が生ずることが前提である。交代期に十分な交代要員が存在することが、議会の持続的前進にとって不可欠である。その確保を偶然性に委ねるのではなく、議会の継続的な施策を考え実行する独自の努力、取り組みが求められる。地方議員のなり手不足を打開することは可能だ。議員と住民が現状をリアルに見つめ、危機意識を深めること。そして、多様で創意的な対策を立案し、実践してほしい。

■地方議会を変えるデジタル活用/西川裕也
執行部と議会事務局職員の人数や情報には圧倒的な差がある。また、調査分析を担うはずの議会事務局の多くが議員の「お世話係」となってしまっている実情もある。この人員と情報の差を少しでも埋めるために欠かせないのが、デジタルツールの活用だ。


〈リポート〉
■なり手不足に潜む危機意識の共有と提言を公表──全国町村議会議長会「町村議会議員のなり手不足対策検討会」報告書
全国町村議会議長会(会長=渡部孝樹・北海道厚真町議会議長)が設置した「町村議会議員のなり手不足対策検討会(委員長=江藤俊昭・大正大学教授)は、2024年3月に報告書を取りまとめ、4月8日に江藤委員長より渡部会長に手交した。江藤委員長に取りまとめた報告書について聞いた。

 

●特集2 “人にやさしい”誌面デザイン

自治体が発信する情報は、広く・多くの市民に伝える必要があります。しかし、デザインを専門に勉強していない職員がいきなり読みやすい誌面等を作成することは難しいでしょう。また、世の中にはさまざまな背景・特性をもつ人々が存在するため、多数派の人にも少数派の人にも配慮したデザインが求められます。そこで今回の特集では、より多くの人にやさしい誌面デザインについて、自治体の情報発信の核となる広報誌を中心に考えてみます。

■やさしいレイアウト・デザインのポイント/白石 学
■やさしい色づかいのポイント/伊賀公一
■インクルーシブ社会における、やさしい書体選びのポイント/高田裕美

 

キャリアサポート連載

■管理職って面白い!リンゲルマン効果/定野 司 ■「後藤式」知域に飛び出す公務員ライフ
未来を拓く防災~旧大川小学校からの学び~/後藤好邦
■誌上版!「お笑い行政講座」/江上 昇 ■〈公務員女子のリレーエッセイ〉あしたテンキにな~れ!/横内ゆり ■自治体DXとガバナンス/稲継裕昭 ■自治体職員なら知っておきたい!公務員の基礎知識/高嶋直人 ■今日から実践!すぐに役立つ!「公務員による研修」のススメ/島田正樹 ■カスタマーハラスメント対策Q&A/関根健夫 ■HOLG presents 本当にすごい公務員!のココだけの話 /柘植良吾 ■〈リレー連載〉Z世代ズム~つれづれに想うこと/岡本 結 ■ただいま開庁中!「オンライン市役所」まるわかりガイド/安田直由 ■地域の“逸材”を探して/寺本英仁

 

●巻頭グラビア

自治・地域のミライ
伊藤和貴・山口市長
「古き良きもの」と「最先端」が調和した「ずっと元気な」まちに

伊藤和貴・山口市長(66)。中世から息づく歴史や文化など「古き良きもの」と「最先端の都市機能」が調和するまちづくりを進める。拠点の一つであるYCAM(山口情報芸術センター)では、20年かけて培ってきた地域での人材育成が「開花しつつある」という。

 

取材リポート

□新版図の事情──“縮む社会”の現場を歩く/葉上太郎
不屈の精神で、前を向く【「屋内退避」の真実・浪江町津島】
原発事故、続く模索51

あの日、東京電力福島第1原発から20~30㎞圏に政府が発した「屋内退避」の指示は、逃げるほどではないというサインだったはずだ。しかし、福島県浪江町の津島地区は帰還困難区域に指定された。原発事故から12年が経過した昨春、ようやく一部のエリアが帰れるようになったものの、わずかな人しか戻っていない。そうした中で農業による復興に奮闘する女性がいた。不屈の精神は何が支えているのか。

□自治体政策最前線──地域からのイノベーション15
水道DXによる水道管漏水対策──人工衛星画像とAIを活用して水道管の漏水と劣化予測を診断(愛知県豊田市)

愛知県豊田市は、デジタル技術を活用した水道管の効率的な維持管理に取り組んでいる。AIによる水道管劣化予測診断ツールを導入した上で、人工衛星画像のAI解析で漏水エリアを絞り込んで漏水箇所を特定する診断調査を実施。さらに診断精度を向上させるための漏水リスク評価の実証実験を行って、市内全域で漏水可能性区域を判定した。水道管の修理と更新の優先順位を見える化し、水道水の安全安心な供給をめざしている。

 

●Governance Focus
□ボランティア。「足りない」ではなく「長く来て」──能登半島地震。地理条件、被災の度合い、2次避難……、「大量受け入れ」ができない理由/葉上太郎
ボランティアが足りない」「だから復興が進まない」。能登半島地震ではそんな報道がなされた。本当なのか。道路の損壊などで行き来が容易でない。上下水道の復旧が進まない。宿泊施設も営業していない。2次避難先からなかなか戻れない。被災者の沈み込んだ気持ちに、土地柄も影響する。ボランティアが足りないのではなく、多数に来てもらえない事情があるのだ。地元のペースに合わせて「長く来てほしい」。その願いこそ知ってほしい。

●Governance Topics
□自治体が「消滅」しないための方策を議論──人口戦略シンポジウム
民間の有識者らで構成される「人口戦略会議」(議長=三村明夫・日本製鉄㈱名誉会長)は、4月24日に「人口戦略シンポジウム」を開催し、全国市区町村の人口動向を分析した報告書を公表した。人口減少が進み、将来的に持続が困難になるおそれがある「消滅可能性自治体」に全体の約4割、744市町村があてはまると試算した。

□能登半島地震からの「創造的復興」をどう進めるか──丸の内プラチナ大学特別シンポジウム
「丸の内プラチナ大学」は4月12日、逆参勤コースの特別シンポジウム「能登半島の今と未来」を開催した。同講座にかかわってきた被災地の講師などを招き、能登半島地震の被災地の課題や復興などについて議論した。

□誰も取り残されない被災者支援を考える──「3・11から未来の災害復興制度を提案する会」シンポジウム
「3.11から未来の災害復興制度を提案する会(略称:311変える会)」は4月12日にシンポジウムを開催した。テーマは「誰も取り残されない被災者支援を目指して~能登半島地震・過去災害から見据える法改正~」。今年元日に発生した令和6年能登半島地震も踏まえ、これまでの災害時の被災者支援の実情とこれからの災害法制や支援のあり方について議論した。また、能登半島地震の被災地ともオンラインでつなぎ、現状も共有された。

 

連載

□交差点~国×地方/人羅 格 □自治・分権改革を追う/青山彰久 □新・地方自治のミ・ラ・イ/金井利之 □地域発!マルチスケール戦略の新展開/大杉 覚 □市民の常識VS役所のジョウシキ/今井 照 □“危機”の中から──日本の社会保障と地域の福祉/野澤和弘 □自治体法務と地域創生──政策法務型思考のススメ/牧瀬 稔(関東学院大学地域創生実践研究所) □地域経済再生の現場から~Bizモデルの中小企業支援/獅子野美沙子(はぎビズ) □自治体の防災マネジメント/鍵屋 一 □市民と行政を結ぶ情報公開・プライバシー保護/奥津茂樹 □公務職場の人・間・模・様/金子雅臣 □生きづらさの中で/玉木達也 □議会局「軍師」論のススメ/清水克士 □地方議会シンカ論/中村 健 □「自治体議会学」のススメ/江藤俊昭 □From the Cinema その映画から世界が見える
『マリウポリの20日間』/綿井健陽
□リーダーズ・ライブラリ
[著者に訊く!/『結婚の社会学』阪井裕一郎]

 

カラーグラビア

□つぶやく地図/芥川 仁
天然わかめに託す集落の未来──青森県東津軽郡今別町袰月

□技の手ざわり/大西暢夫
首里城再建に向けて焼き上がった沖縄伝統の赤瓦──【赤瓦製造】有限会社当山瓦工場(沖縄県与那原町)

□わがまちDiary──風景・人・暮らし
人々が守り、慈しんできた自然と文化を体感する(三重県熊野市)

□本日開園中 FUN!FUN!動物園
広島市安佐動物公園(広島市)

 

特別企画

□政務活動費管理SaaS──「セムカン」で議会DXを前進(大阪府議会、豊中市議会)
□議会答弁検討システム「答べんりんく」で答弁作成事務を効率化(東京都杉並区、福井県敦賀市、滋賀県彦根市)
□JTBのエリアソリューション事業 「送客から誘客へ」と進化する地域ツーリズムの新展開

 

■DATA・BANK2024 自治体の最新動向をコンパクトに紹介!

※丸山千枚田の虫おくり(三重県熊野市提供)

 

図書分類

最近見た書籍

  • 行政・自治
    月刊 ガバナンス 2024年6月号  特
    1,320円(税込み)

新着書籍

  • 行政・自治
    月刊 J−LIS 2025年1月号 特集
    990円(税込み)
  • 税務・経営
    旬刊 速報税理 2025年1月1日号
    847円(税込み)

売れ筋書籍ランキング