●特集 これからの公共施設と自治体のマネジメント
人口減少、自治体の財政逼迫のなか、高度成長期に整備された公共施設やインフラの老朽化が急速に進むことに対して警鐘が鳴らされてからすでに10年以上が経つ。この間、国も2014年に公共施設等総合管理計画の策定を自治体に要請。自治体でも同計画の策定や公共施設マネジメントの導入が行われるとともに、PPP/PFIなどによる施設整備・管理も進んできた。だが、人口減少の加速、コロナ禍、自然災害の多発、物価の高騰、デジタル化の進展など自治体を取り巻く環境は大きく揺れ動いている。こうした中で自治体は公共施設やインフラの将来をどう描き、どうマネジメントしていけばいいのか。現在地を確かめながら考えていきたい。
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これからの公共施設と官民連携 /宮脇 淳
宮脇 淳 北海道大学名誉教授、日本政策総研理事長
公共施設の官民連携が抱える課題は多い。この課題を放置し続ければ官民連携自体が劣化するだけでなく、公共サービスの維持・充実が困難となる。官民連携では、地方自治体の現場で共に考えることの連携が大きく不足していることが多く、この改善を災害時の検討から始めることがトリガーとなる。
■ポストコロナと公共施設マネジメント/瀬田史彦
■意思決定システムがもたらす公共施設集約の困難性/中川雅之
■公共施設等総合管理計画の実効性をどう高めるか/志村高史
■持続可能な上下水道事業の方向性/滝沢 智
■地方自治体における公共空間のデザインマネジメント/西村亮彦
■広がる都市公園の可能性/町田 誠
■自治体と公営住宅/平山洋介
■「ビジネスと人権」時代の公共施設管理の課題/上林陽治
【キャリアサポート面】
キャリサポ特集:新時代の“テキスト”コミュニケーション
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□自治・地域のミライ
白鳥 孝・長野県伊那市長
先端技術を取り入れ、食料・水・エネルギーを自分たちで賄える地域づくりを
民間から収入役・副市長を経て市長となった長野県伊那市の白鳥孝市長。ドローンやAIなどの先端技術によるサービスを官民連携で実現しながら、自らのことは自ら賄える地域づくりを進めている。
連載
□童門冬二の日本列島・諸国賢人列伝
伊達政宗(六) 美濃岩村の会議
取材リポート
●取材リポート
□新版図の事情──“縮む社会”の現場を歩く/葉上太郎
あまりに長すぎた出荷規制──福島市、信夫山のユズ
原発事故、続く模索㉜
福島市の中央部にそびえる信夫山(しのぶやま)は古くから知られた山岳信仰の霊山である。その南斜面の集落に植えられたユズは、かつては栽培の北限として知られ、香りの高さが評判だった。特産品の加工に使われて、信夫山の象徴のような存在でもあった。だが、原発事故で11年間も出荷停止に。今春、ようやく「解除」されたものの、樹勢は衰え、生産者は超高齢化し、「産地としての再起は難しい」という声まで漏れる。
□現場発!自治体の「政策開発」
無償譲渡の空家情報を提供し空家解消と移住定住を促進
──0円空家バンク制度(富山県上市町)
富山県上市町は、空家情報提供制度として「空家バンク」を開設している。空家の所有者
と入居希望者を橋渡しし、空家の有効利用によって空家の解消と定住人口の増加を図るのがねらいだ。さらに、空家解消特別推進事業として「0円空家バンク」を創設した。空家を無償譲渡したい所有者と取得希望者を結びつけ、譲渡者と取得者の双方に必要経費等も支援する、全国自治体初の取り組みとして注目を集めている。
●Governance Focus
□霞堤。過大な後始末の負担をどうする──台風14号、「流域治水」の現場を歩く(宮崎県延岡市北川町)/葉上太郎
●Governance Topics
□コロナ後に向けた地域創生について首長が集まり議論──地域活性学会第14回研究大会首長セッション
□生活の基盤としての「住まい」について考える──第37回自治総研セミナー
□ローカル・マニフェストで地方から日本を変えるには──ローカル・マニフェスト推進連盟東北勉強会2022
連載
□ザ・キーノート/清水真人 □自治・分権改革を追う/青山彰久 □新・地方自治のミ・ラ・イ/金井利之 □地域発!マルチスケール戦略の新展開/大杉 覚 □市民の常識VS役所のジョウシキ/今井 照 □“危機”の中から──日本の社会保障と地域の福祉/野澤和弘 □自治体の防災マネジメント/鍵屋 一 □市民と行政を結ぶ情報公開・プライバシー保護/奥津茂樹 □公務職場の人・間・模・様/金子雅臣 □生きづらさの中で/玉木達也 □議会局「軍師」論のススメ/清水克士 □対話する議会・議員/佐藤 淳 □「自治体議会学」のススメ/江藤俊昭 □注目映画情報/『戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン』 □リーダーズ・ライブラリ [著者に訊く!/『“私”が生きやすくなるための同意――「はい」と「いいえ」が決められるようになる本』遠藤研一郎]
カラーグラビア
□技・匠/大西暢夫
山と人の間に存在する漆の精製という仕事──堤淺吉漆店(京都市)
□わがまちの魅どころ・魅せどころ
交通インフラの充実で自然豊かな住宅都市としての魅力が飛躍的にアップ/大阪府箕面市
□山・海・暮・人/芥川 仁
「好きだからやっとんのじゃから」──新潟県佐渡市野浦
□生業が育む情景~先人の知恵が息づく農業遺産
みかん発祥の地で受け継がれる独自の技術──下津蔵出しみかんシステム(和歌山県海南市下津地域)
□クローズ・アップ
活字離れでも貸出冊数が急増する秘密──宮崎県五ヶ瀬町、移動図書車の快進撃
■DATA・BANK2022 自治体の最新動向をコンパクトに紹介!
【特別企画】
□DXによって自治体改革をどう進めるか?⑤
官民共創でDXを推進し、田園都市・三次の魅力を高めて全国へ発信する──広島県三次市
※「もっと自治力を!広がる自主研修・ネットワーク」は休みます。