子どものココロが見えるユーモア詩の世界
【「ほんづくり大賞」特別賞を受賞】『子どものココロが見えるユーモア詩の世界』(増田 修治/著)から厳選した詩を紹介 第4回「ねてる時」
特別支援教育・生徒指導
2021.02.22
「ほんづくり大賞」で、『ユーモア詩の世界』が特別賞を受賞。
政刊懇談会によって年に1度開催される「ほんづくり大賞」で小社刊『子どものココロが見えるユーモア詩の世界 親・保育者・教師のための子ども理解ガイド』(増田 修治/著)が特別賞を受賞しました。
「ほんづくり大賞」とは
政府刊行物を発行する出版社と全国官報販売協同組合が中心となって結成した政刊懇談会(政府刊行物等普及強化連絡懇談会)が会員各社の出版活動を応援することを目的に年に一度開催されるもの。
著者 増田修治氏が、埼玉県の小学校教諭時代から長年取り組んできた「ユーモア詩」。珠玉の75編と増田氏の的を射たアドバイスは、笑いながら子どもの思い・願い・成長が理解でき、今日からの子育て、保育、教育に生かせること請け合いです。
受賞を記念して、ここでは編集者が厳選したユーモア詩を4回にわたって掲載します。
第4回目は、「第4章 子どもを健やかに育てる秘訣」から「ねてる時」を紹介します。
詩の紹介
ねてる時
西山 未矩(3年)
私がねている時、
お父さんの目覚まし時計で
起きてしまう。
その後ねている時に、
お父さんの足音まで聞こえてくる。
ドンドンドンドンと…。
その後お父さんが、
私のところに来て
タッチをする。
その後お父さんが、
会社に行く時の玄関を開ける音。
やっとお父さんが会社に行って
静かになったと思ったら、
自分が起きる時間になってしまう。
朝はすぐきてしまう。
つながりが見える
お父さんに対する未矩の思いが伝わってきて心が温かくなる詩です。お父さんの音でまとめるという着眼もいいですね。
目覚まし時計の音、ドンドンドンドンという足音、そして玄関を開ける音…。あわただしく出勤するお父さん。どの場面も生き生きとしていて、目に浮かぶようです。
普通なら、寝ているときの他人の目覚まし時計も、足音もうるさくてイライラするものです。でもどっちも、未矩にとっては大好きな「お父さんの音」なのです。その後には、「未矩、大好きだよ」と言わんばかりのお父さんのタッチが待っているのです。
タッチしたお父さんも、働くエネルギーが満タンになったことでしょう。お父さんが玄関を開ける音に耳をすませる未矩の姿が印象的で、2人の心のつながりが見えてくるようです。
忙しくて時間がとれず、子育てに参加できないと悩むお父さんも多いでしょう。でも親子のつながりはちょっとした時間でも、工夫次第でできるのです。未矩のお父さんのように、子どもに愛情を込めてタッチするだけでも十分伝わるのです。
短い時間でも、ありったけの愛情を込めて子どもに接してください。自分は親に丸ごと愛されているという思いが、子どもの心に響いた時、子どもは安心して外の世界に飛び立っていくのです。
本の著者 Profile
増田修治(ますだ・しゅうじ)
1958年生まれ。埼玉大学教育学部卒。小学校教諭として28年間勤務。「ユーモア詩」を用いたユニークな教育の実践はメディアで取り上げられ大きな反響を呼ぶ。2008年より白梅学園大学に勤務。現在、子ども学部子ども学科教授。初等教育の教員育成に携わるとともに、保育・幼児教育・小学校教育における子どもの発達や学力、いじめなど多彩な課題に取り組んでいる。著書に、『笑って伸ばす子どもの力』(主婦の友社)、『「ホンネ」が響き合う教室』(ミネルヴァ書房)、『幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿を育む保育実践32』(黎明書房)など多数。
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