ここがポイント!学校現場の人材育成
ここがポイント!学校現場の人材育成[第7回]学校現場におけるOJTによる人材育成〈その4〉
学校マネジメント
2020.02.12
目次
OJTの活用事例③ OJTの成果を検証しやすくする工夫(特別支援学校)
D特別支援学校のB主任教諭は、A教諭の保護者面談に同席し具体的な助言を1年間継続して行ったことにより、学級担任としてのA教諭の外部折衝力に関するOJTの成果を把握することができた。
B主任教諭は、A教諭への指導・助言内容やA教諭の変容等について詳細に記録し、OJT責任者であるC主幹教諭へ報告した。
C主幹教諭は、他のOJT対象者の状況と比較検討し、適切に評価・指導することができた。さらにC主幹教諭は全ての主任教諭からのOJTの報告内容と、主任教諭に対する自身の指導についてOJTシートを基に副校長に報告した。
副校長は、OJT責任者である他の主幹教諭からも報告を受け、OJTの達成度を把握・分析することで、C主幹教諭に具体的かつ的確な指導を行うことができた。
この事例は、OJT担当者であるB主任教諭が1年間を通じて、OJT対象者であるA教諭の保護者面談に同席してA教諭のOJTの成果を把握したこと、B主任教諭はA教諭への指導内容やA教諭の変容などをOJT責任者であるC主幹教諭に報告したこと、C主幹教諭が自身のOJT責任者でもあり、学校全体のOJT推進責任者である副校長にその内容を報告したことなどにより、OJT対象者に対するOJTの成果が、OJT担当者、OJT責任者及びOJT推進責任者間で共有され、成果の検証が容易にできる好事例となっています。
OJTの活用事例④ 模範授業参観の成果を教科会で報告・還元(高校)
A高等学校英語科主任のB主任教諭は、生徒の学習意欲を高めるための工夫について、他校の教員の実践から学びたいと考え、C高等学校英語科のD指導教諭による模範授業を参観した。
D指導教諭によるアクティブ・ラーニングを取り入れた授業では、生徒が互いに意見を出しながら、教員が指示した課題の解決に取り組む様子を学ぶことができた。また、授業後の研究協議会では「適切な課題設定をするためには生徒の学習状況の把握が大切であり、そのためには毎回の授業の中で生徒に振り返りをさせるとよい」などの助言を受けた。
学校に戻ったB主任教諭は教科会において、振り返りシートの活用を提案し、全ての英語科の授業のまとめに学習事項の振り返りをさせることにした。
この事例は、他校の指導教諭の授業参観と協議会を通して、教科の指導技術を学びとり自校の教科会という場面でOJTを行い同一教科の他の教員に成果を普及した事例です。OJT責任者である主任教諭が、他校に出かけてその成果を普及啓発する取組です。
次回からは、学校管理職の人材育成について見ていきます。
Profile
明海大学副学長
高野敬三
たかの・けいぞう 昭和29年新潟県生まれ。東京都立京橋高校教諭、東京都教育庁指導部高等学校教育指導課長、都立飛鳥高等学校長、東京都教育庁指導部長、東京都教育監・東京都教職員研修センター所長を歴任。平成27年から明海大学教授(教職課程担当)、平成28年度から現職、平成30年より明海大学外国語学部長、明海大学教職課程センター長、明海大学地域学校教育センター長を兼ねる。「不登校に関する調査研究協力者会議」委員、「教職課程コアカリキュラムの在り方に関する検討会議」委員、「中央教育審議会教員養成部会」委員(以上、文部科学省)を歴任。