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ここがポイント!学校現場の人材育成

高野敬三

ここがポイント!学校現場の人材育成[第5回]学校現場におけるOJTによる人材育成〈その2〉

NEW学校マネジメント

2019.11.26

ここがポイント!
学校現場の人材育成

[第5回]学校現場におけるOJTによる人材育成〈その2〉

明海大学副学長
高野敬三

『学校教育・実践ライブラリ』Vol.5 2019年9月

●本稿のめあて●
前号でとりあげたOJTによる人材育成について、今回は、OJTを具体的にどのような体制で実施していくのか、また、計画はどのように策定していくのかに焦点をあて、組織的なOJTについてみていきます。

OJTの実施体制

 前号では、平成20年に、東京都教育委員会が人材育成の基本としてOJTガイドラインを定めたことについて紹介いたしました。今回は、具体的に、どのような実施体制でOJTを行っていくのかについてみていきます。このガイドラインでは、OJTの「全体責任者」を校長、そしてOJTの実施を総括する「推進責任者」を副校長としています。そして校長は、「OJT責任者」を指名します。「OJT責任者」は、OJTの具体的な計画、進行管理及び評価を行う者です。「OJT責任者」は、基本的には「OJT対象者」である教員の1つ上の職層にある者、具体的には、教諭に対しては主任教諭が、主任教諭に対しては主幹教諭が、主幹教諭に対しては副校長が当たります。

 校長は、「OJT責任者」に、具体的なOJTの計画を立てさせます。そして、「OJT対象者」に対して、手本となる教員や助言できる教員を決め実際に指導に当たらせる必要があります。こうした役割を果たす教員を「OJT担当者」と呼んでいます。校長は、「OJT責任者」に「OJT担当者」の候補者を人選させます。次に、副校長と主幹教諭が候補者の調整を行った上で「OJT担当者」を決定します(次ページ図参照)。

 「OJT責任者」と「OJT担当者」が決定したら、職員会議等の場で全教員に周知します。また、「OJT責任者」を集め、校内における育成の方針やOJTを行う側の役割について意識付けを行うことが重要だとしています。

 また、校内におけるあらゆるOJTを円滑に推進するためには、「OJT責任者」と「OJT担当者」が情報交換や協議を行う場や「OJT責任者」同士でOJTの推進について意見交換する場を定期的に設けることも必要であると明記しています。

OJTの計画策定

 まずは、「OJT責任者」は校長の意向を踏まえて、「OJT対象者」にどのような力を身に付けさせるべきか明らかにします。前号で紹介した、課題別の組織体制のもとで、「OJT対象者」に生活指導の充実についてOJTを行うことを例にします。校長から指名された「OJT責任者」である主任教諭は、児童生徒の生活指導上の課題を踏まえて、「OJT対象者」が身に付けるべき力を明確にして、計画を立てます。そして、日々のOJTでは、「OJT担当者」が「OJT対象者」に対して、目標とすべき力を身に付けさせるため、いつ、どのような方法で指導助言を行うか決定して実行します。

 OJTで教員に身に付けさせる力については、東京都教育委員会では、学習指導力、生活指導力・進路指導力、外部との連携・折衝力、学校運営力・組織貢献力といった4つに分類しておりますが、それぞれの自治体によっては、教員として育成すべき力の観点は異なっていると思います。いずれにせよ、OJTにおいては、さらに細分化した力を育成するOJTを行うことも可能です。OJTサイクルは、1年間という単位で動かしていくものもあれば、短期間で終わるようなものもあります。

OJTの実施

 OJTが人材育成のツールとして成立するためには、意識的・計画的・継続的に実施する必要があります。育成する側と育成される側とで、目標やOJTの具体的な方法について随時確認し合って進めていきます。

 育成される側が主体的にOJTに取り組めるように、常に意識付けを図っていくことも欠かせません。育成する側が結果や答えをすぐに与えず、教員が自分で考える場面設定をしたり適切な問いかけをしたりして、教員自身の気付きを促すことが大切です。

OJTの成果検証

 一定期間、計画に沿ってOJTを実施した後には、OJT全体責任者である校長やOJT推進責任者の副校長は、OJT対象者がどの程度目標に近付くことができたか、意欲や取組姿勢、変容などに基づき、OJT責任者やOJT担当者から聞き取りを行い評価することになります。

 成果と課題について評価する場合は、OJTを行う側だけでなく、受ける側である教員自身にも、原因を分析させることが大切です。OJTの目標の達成度が、教員の意識や意欲に左右されることもあります。また、教員自身に改善点を見付けさせることで、自分のOJTへの意識と理解が高まり、成果につながる場合があります。

 次回は、もう少し詳しく実施上の工夫について触れていきます。

 

Profile
明海大学副学長
高野敬三

たかの・けいぞう 昭和29年新潟県生まれ。東京都立京橋高校教諭、東京都教育庁指導部高等学校教育指導課長、都立飛鳥高等学校長、東京都教育庁指導部長、東京都教育監・東京都教職員研修センター所長を歴任。平成27年から明海大学教授(教職課程担当)、平成28年度から現職、平成30年より明海大学外国語学部長、明海大学教職課程センター長、明海大学地域学校教育センター長を兼ねる。「不登校に関する調査研究協力者会議」委員、「教職課程コアカリキュラムの在り方に関する検討会議」委員、「中央教育審議会教員養成部会」委員(以上、文部科学省)を歴任。

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