中央教育審議会「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)」

学校マネジメント

2019.08.19

②学校のマネジメント機能の強化

(優秀な管理職の確保)
 専門性に基づく「チームとしての学校」が機能するためには、校長のリーダーシップが重要であり、学校のマネジメント機能を今まで以上に強化していくことが求められる。そのためには、優秀な管理職を確保する取組を進めるとともに、主幹教諭の配置の促進や事務機能の強化など校長のマネジメント体制を支える仕組みの充実を図ることが求められる。

 優秀な管理職を確保するためには、中堅教職員の段階から、管理職として求められる資質・能力を継続的に伸ばしていくことができるような仕組みや機会が必要であり、国、教育委員会は、管理職の養成、選考・登用、研修とそれぞれの段階を通じて一貫した施策を講じていくべきである。また、教育委員会と大学、教職大学院との連携も重要であり、本答申とあわせて取りまとめられた答申「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」で提言されている教員育成協議会の仕組みや、任命権者が作成することとされている教員育成指標の活用についても検討を進めていく必要がある。

 一方で、管理職選考の倍率が低い地域や、副校長・教頭や主幹教諭の中で教諭への降任を希望する者が見られる地域などもあることから、管理職の実態を踏まえ、管理職の権限と責任に見合った処遇を行うとともに、管理職として学校経営を行うことのやりがいを実感させることができるような取組を充実させていくことが求められている。あわせて、教育委員会は、校長が権限を適切に行使し、その責任を果たすことができるよう、校長の学校経営を支援するべきである。

(学校のマネジメント体制の強化)
 学校の課題が複雑化・多様化したことに伴い、学校が管理しなければならない範囲も複雑化・多様化し、学校のマネジメントの難度が高くなっている。こうした面からも、校長が、副校長・教頭や主幹教諭、事務長等とともに組織的に学校経営を行うことができるような体制の整備を進めていくべきである。その際、マネジメントに求められる資質・能力を明確化すること等により、職員の育成を行うことも有効である。

 ミドルマネジメントの充実の観点からは、主幹教諭の配置を促進するとともに、主任等を担う中堅教員について、学校運営に関する意識付けを行い、マネジメントに関する能力を伸ばしていく機会を充実していくことが重要である。

 また、学校のマネジメントにおける総務・財務面の重要性が増していることから、管理職を総務・財務面で補佐する必要性が増大しており、事務職員の職務の在り方等を見直し、学校の事務機能を強化するべきである。

 さらに、学校は、学年単位、教科単位で動きがちであることから、カリキュラム・マネジメント等に学校全体で取り組むために、学年や教科等の単位を超えて、企画・立案を行い、実施する機能を強化する必要がある。

(多様な職員で構成される組織において求められるマネジメント)
 校長は、専門性や文化が異なる職員を束ねて成果を出していくために、学校の長として、子供や地域の実態等を踏まえ、当該学校の「チームとしての学校」の在り方について、学校の教育ビジョン等の中で明確に示し、教職員と意識や取組の方向性の共有を図ることが必要である。

 また、専門スタッフについては、業務に対する関わり方に応じて、業務の進め方や処理に要する時間が異なっていることなどから、そのような職の在り方や職業文化の違いに配慮したマネジメントが求められる。

 さらに、校長が、自ら示す学校の教育ビジョンの下で、リーダーシップを発揮した学校運営を実現できるよう、学校の裁量拡大を進めていくことも重要である。

③教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備(人材育成の充実)

 教員については、平成24年の本審議会の答申「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について」において、「教職生活を通じて、実践的指導力等を高めるとともに、社会の急速な進展の中で、知識・技能の絶えざる刷新が必要であることから、教員が探究力を持ち、学び続ける存在であることが不可欠」であるとし、「学び続ける教員像」が提言されている。

 本答申で提言しているような教職員や専門スタッフ等の多職種で組織される「チームとしての学校」が効果的に機能し、教職員がそれぞれの力を発揮し、伸ばしていくことができるようにするためには、人材育成の充実や業務改善の取組を進めることが重要である。

 人材育成の充実に資する取組として、管理職は、面談等の機会を活用し、人事評価制度を活用していくことが大切である。

 その際、管理職が所属する教職員や専門スタッフの人材育成をしっかりと進めていくためには、特に大規模校において、管理職が十分な指導や監督ができる組織規模であるかどうかなどについても留意することが求められている。

 あわせて、教職員が意欲を持って、能力を発揮できるよう、優れた実践を行った教職員を顕彰する取組も進めていく必要がある。その際、チームとしての取組を評価することを検討する必要がある。

(業務改善の推進)
 学校の教職員が自らの専門性を最大限発揮することができるようにするために、学校の業務改善に引き続き取り組んでいく必要がある。

 校務分掌や校内委員会の持ち方、業務の内容や進め方の見直し、教職員のメンタルヘルス対策等に取り組むことにより、教職員が持てる力を発揮できるようにすることが重要である。

 その際、教職員自らも、教育活動に加えて、校内運営や分掌業務に携わる点を自覚し、業務の内容や進め方等について、改善を進めることが重要である。

(教育委員会等による支援)
 加えて、教職員が安心して教育活動に取り組むことができるよう、学校事故や訴訟が提起された場合など、法令に基づく専門的な対応が必要な事項や子供の安全管理など専門知識等に基づく対応が必要な事項に関し、教育委員会において学校や教職員を支援する体制の整備が重要である。

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