コラム イマドキの親子図鑑 File.3 たこ焼き”好きが増える理由とは?

トピック教育課題

2021.12.16

コラム イマドキの親子図鑑 File.3

博報堂生活総合研究所 主席研究員 夏山明美
イラスト 磯崎陽子

『新教育ライブラリ Premier II』Vol.3 2021年8月

たこ焼き”好きが増える理由とは?


イラスト 磯崎陽子

 「あなたが好きな料理は何ですか?」

 博報堂生活総合研究所の「生活定点」調査で長年続けている質問への回答をコロナ禍前後で比べると、いくつもの興味深い発見がありました。

 例えば、2018年から2020年にかけて、全41項目のうち38項目(全体の92.7%)でスコアが増加しています。私は毎回このデータを分析していますが、ほとんどの項目で「好き度」が増加したのは初めて。特に人気上昇率が高いのは、「たこ焼き」(2020年52.5%、2018年から+5.9pt。表記は以下同様)、「ハンバーガー」(43.3%、+5.6pt)、「丼物」(53.4%、+5.4pt)でいずれも+5.0pt以上です。以下、「チャーハン」(54.1%、+4.5pt)、「ラーメン」(67.0%、+4.4pt)とおなじみの中華が続きます。

 これらのトップ5に共通するのは、ごはんやパンなどの主食とおかずの副食がオールインワンで、ワンプレート(もしくはワンどんぶり)に盛り付けられた「主食副食一体型」であること。コロナ禍でおうちごはんの頻度が増えたご家庭も多いと思いますが、これらのメニューならば何種類もの料理を作って、いくつもの食器を運んで洗って片付けるといった手間や時間を省略できます。また、外食やテイクアウト、デリバリーなどで気軽に食べることもできます。こうした理由が人気の背景にあるのでしょう。

 さらに、「たこ焼き」好きのデータを小中学生の母に絞り込んでみると、2020年のスコアは57.5%。全体(52.5%)を5.0pt、小中学生の父(50.8%)を6.7ptも上回っています。

 ママたちは学校の休校措置や慣れないオンライン授業で大変な子どもや、リモートワークで公私の切り替えが難しいパパのために、家族で和気あいあいと「作る」と「食べる」を同時に楽しめる「たこ焼き」に注目したのではないでしょうか。「たこ焼き」人気の背景にママたちの家族愛あり…と感じた次第です。

 昨年に引き続き、例年とは違う夏休みも終盤戦に入りました。「タコパ(たこ焼きパーティー)」で食卓を楽しくすることで、長引くコロナ禍の暗雲を吹き飛ばすのもいいですね。親子で一緒にいろんな具材を試してみるなどのワクワク体験は食育にも役立ちそうです。

好きな料理 人気上昇率トップ5
*博報堂生活総合研究所「生活定点」調査(最新調査)
・首都40km圏・阪神30km圏
・2020年6月24日〜7月31日(1992年から偶数年に実施)
・20〜69歳男女 2,597人(うち、小中学生の父 266人、小中学生の母 280人)
・訪問留置調査
・データ公開(出典明記により、どなたでもご活用可能)
https://seikatsusoken.jp/teiten/

 

 

Profile
夏山 明美 なつやま・あけみ
 1984年博報堂入社。主にマーケティング部門でお得意先企業の調査業務、各種戦略立案などを担当。2007年より現職。生活全般や消費、食生活の変化を中心に研究。共著に『生活者の平成30年史〜データでよむ価値観の変化〜』(日本経済新聞出版社)など。

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