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リーダーのためのマナーアップ講座

美月あきこ

リーダーのためのマナーアップ講座[第3回] 相手の本音を引き出す

NEWトピック教育課題

2020.11.23

リーダーのためのマナーアップ講座[第3回]
相手の本音を引き出す

人財育成トレーナー
美月 あきこ

『新教育ライブラリ Premier』Vol.3 2020年10月

本音吐露が難しいビジネスシーン

 家族や友人には何でも話せるのに、仕事上の付き合いではそうもいかない……。社会人の多くの方が感じていらっしゃるのではないでしょうか。ビジネスシーンでは、利害関係の有無にかかわらず、それぞれが何らかの思惑を持って動いています。しかも、その思惑をすべて詳らかにオープンにすることは滅多にありません。誰がいつ、何をするのかわからない。味方と思っていた人間が、実はそうではなかった。欺き、出し抜き、裏切り。ドラマでは大げさに描かれていますが、実際のビジネスシーンでも多少なりとも横行しています。だから、家族や友人に対するように、心を開いて話すことが難しいのです。

 しかし、相手と共感し合うことができ、心を開き、本音で話してもらえる関係性が築けたらどうでしょうか。ビジネスは、誤解や軋轢を生むことなく、よりスムーズに進むはずです。今回は、「ビジネスシーンで相手の心を開かせ本音を引き出すテクニック」をご紹介します。

「対峙」を避ける

 コロナ禍の現在にあっては、マスクをつけていても、真正面で顔を突き合わせて話すことが少なくなりました。多くの企業が、打合せや会議の際、真正面で向き合うことがないよう細心の注意を払っています。

 そうした取組の一環で、会議の際に座る位置を5名の場合は「W字」、3名の場合は「V字」にセッティングされているところがあります。実はこれが、相手の心を開くのに有効なのです。

 真正面で向き合うのは、「対峙」を意味します。そうでなくても初対面は緊張するのに、真正面の位置では心理的にお互い心を開くのが難しいはずです。

 斜めの位置で向かい合うと、自然とリラックスができます。例えば、心理カウンセラーがクライアントと話す際には、決して真正面には座らず、机の角をはさんで斜めの位置に座るそうです。これも、リラックスしてカウンセリングを受けてもらった方が、クライアントのためになるからです。

 話を戻します。参加人数などの理由で、どうしても真正面で向かい合わざるを得ないこともあるでしょう。前述の通り、真正面は対峙を意味する位置のため、警戒感や緊張感を抱いてしまいます。ここで、いきなり相手の目を長い時間直視すると、圧迫感が生まれ、相手はさらに緊張します。そこで、最初のうちは文頭と文末の2回程度、相手の目を見るようにしましょう。話の内容に集中し始めると、相手の警戒感は次第に薄れていきます。打合せや会議で話が進むうちに、パーソナリティや雰囲気がわかってきます。そこまできたらアイコンタクトが大切になります。相手の目を微笑みの眼差しで見るようにしましょう。この時点で、お互い心を開いているため、笑い話が自然と言い合えるような空気感となります。

会話で心を開かせる

 ビジネスにおいて、コミュニケーションの大部分が会話によるキャッチボールです。会話を通じて、相手の心を開いていくことができます。

 まずは、相手が何を言っても否定をしないことです。議論の際、異論や反論が出るのは当然のことですが、議論に慣れている職種でもない限り、異論や反論は否定と受け止める人が多いです。自分や自分の発言を否定する人に対しては、好感を抱くことはありません。好感を抱けないということは、心を開けないということです。否定ではなくとも「それは違う」という時には、メモを取って後から述べるようにしましょう。相手が言い終わるまで、グッと堪えて、否定しないよう心がけましょう。

 頭の回転が速い方だと、会話をしている中で、相手が話そうとしていることを予測できることがあると思います。ですが、その予測を口にしてしまうと、相手は不快に感じてしまいます。「わかってはいるけど、先には言わない」を徹底しましょう。

 会話はお互いに話し合うことで成り立つものですが、さりげなく聞く側に回ることで相手の心を開かせることができます。相手が話している間は、遮ることなく、最初から終わりまでゆっくりと聞きましょう。相手の心の中にある澱を吐き出してもらうのが目的です。すると、自然と相手の心が開いていきます。この時、穏やかな表情を浮かべていると、場の空気も丸くなり、相手はどんどんリラックスしていきます。

 話を聞いている時に、頷き、肯定的な相槌を打つのも有効です。ただし、「ハイハイ」「なるほど」「そうですよね」「たしかに」「そうなのかもしれませんね」といった言葉を繰り返すと、相手は結論を急かされているように捉えてしまうので要注意です。

 また、相手が文句を言っていたら、「○○だったのですね」「そんなことがあれば、誰でも嫌な気持ちになりますよね」と、まずは共感の気持ちを示します。相手が「はい」「そうなんです」「実はその時泣いてしまったんです」などと本心を語ってくれるようになれば、心を開いた証拠です。

見た目は相手によく伝わる

 最後に、見た目で相手の心を開かせるテクニックです。

 コロナ禍によるマスクの着用で、顔の三分の二が覆われている昨今ですが、顔全体で微笑んでみてください。口元は見えなくても、優しい眼差しや、心遣いは相手に伝わります。

 少し前かがみの「傾聴の姿勢」を取るのもポイントです。前かがみでいると、相手は、自分に興味を持ってくれていると感じることができます。

 腕組み、足組み、指差しは、こちらが偉そうに見えてしまい、相手は心理的ブロックをしてしまいます。ついついやってしまいがちな仕草ですが、NGであると留意しておきましょう。

 

 

Profile
美月 あきこ(みづき・あきこ)
人財育成トレーナー

 大学卒業後、日本航空入社。国際線客室乗務員として17年間国際線に乗務。人財育成トレーナーとして接客研修・コンサルティング業務に携わる。
著書にベストセラーとなった『ファーストクラスに乗る人のシンプルな習慣』『1分でうちとけ30分以上会話が続く話し方』『15秒で口説く エレベーターピッチの達人』など、韓国、中国、台湾、シンガポールなどで翻訳語版を多数出版。
 All About ビジネスマナーガイド。日本経済新聞『マナーのツボ』連載。

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人財育成トレーナー

大学卒業後、国際線客室乗務員として17年間国際線に乗務。人財育成トレーナーとして接客研修・コンサルティング業務に携わる。著書にベストセラーとなった『ファーストクラスに乗る人のシンプルな習慣』『1分でうちとけ30分以上会話が続く話し方』『15秒で口説く エレベーターピッチの達人』など、韓国、中国、台湾、シンガポールなどで翻訳語版を多数出版。AllAboutビジネスマナーガイド。日本経済新聞『マナーのツボ』連載。

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