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“子供の活動に学ぶ”特別活動の展開 [特別活動]〈小学校〉 有村久春(東京聖栄大学教授)

NEWトピック教育課題

2019.05.22

『新教育課程ライブラリ』Vol.12 2016年

小学校特別活動における改善のポイント

 大きく2点あげたい。一つは、基本的な内容構成は現行と同様である(学級活動、児童会活動、クラブ活動、学校行事の四つ)。特別活動の存在そのものが児童の学校生活の基盤であり、社会で生きて働く力として資している。とくに、ⅰ集団活動の特性(自発・自治)を生かす活動展開、ⅱそのことによる協働性や異質を認め合う態度形成、ⅲ生活及び学習の集団として機能、ⅳ生徒指導及びガイダンスの機能との連関などが寄与しているからである。

 もう一つは、これらの本質論(不易な面)をふまえ、次代に求められる資質・能力を育む観点から特別活動が有する教育課程全体の役割と機能を改めて問うている。例えば、①「なすことによって学ぶ」とは具体的にどのような活動なのか、②そこに子供はどのような学びのプロセスを体験するのか、③その基盤になる話合い活動による問題解決(いわゆる自治能力)をどのように身に付けるのか、④多様な社会が求める参画意識や自らの将来像(キャリア形成)をどう具体化するのか、などである。

 とくに、①〜④を具現化するベースとして「話合い活動の体験(話す・聞く、伝えるなどのコミュニケーション能力)」「基本的な生活習慣づくり(片付けのコツ)」「キャリアプランづくり(夢や希望をもつ)」などの事実を子供と共有し合うことである。

特別活動の「見方・考え方」の理解

 特別活動は、子供に三つの資質・能力を身に付けることを目指している。第1は、自己実現である。いまの在り方生き方を受け容れ、将来の自己を想い描き自ら課題を発見しようとする能力形成である。自分のよさ(善さ・良さ)や可能性を生かそうとする強い意志、日々の生活や将来を設計する力(なりたい自分を語るエネルギー)などを援助したい。

 第2は、人間関係づくりである。とりわけ小学生期は〈友だちとかかわる〉ことの体験と喜びを獲得したい。その意味では、特別活動の各内容とその実際はこの形成を容易にしている。ただそのプロセスにあっては、生身のヒトが触れ合うだけに多様な葛藤(考え方や意見の違い)も生じる。この克服がここでのポイントであり、よき経験でもある。

 第3は、1と2を具体化するための社会参加の在り方である。子供たちが学ぶ学級・学校の空間は、社会の縮図そのものである。よりよい生活をつくり、そこでの集団(係や班など)に参画し、かかる課題を自発的・自治的に解決する営みである。
 この3点の理解をより確かにするには、教師個々が自らの専門性を十分に発揮するとともに、学校全体として〈特別活動の特性が教育課程に機能するマネージメント〉が具体化される必要がある。

 例えば、特別活動の位置づけを図1のように考える。このとき、各カリキュラムの相互関連をどのように構想するのか、子供および教職員の「動き」がどのように機能するのかなど、そこに必要な基本理念を十分に議論したい。このことが特別活動の理解と実践を確かにし、教師の〈先生力〉を高める。


図1 特別活動の位置と相互関連

これからの授業づくり

 子供個々が自らの諸能力を活かす学びのプロセスをどのように構想するのか。図2のサイクルを一つのモデルと考えてはどうだろう。
 このサイクルはとくに学級活動の体験においてその基礎基本がつくられる。もちろん、児童会活動とクラブ活動、学校行事にあってもこの営みが随所に活かされる。これが特別活動の授業展開である。


図2 学びの形成:五つのサイクル

 具体的には、以下の体験を積むことである。

①問題の発見・確認

 学級や学校における生活の諸問題に気付き、議題を学級全員で決定する。話合い(学級会)の計画を立て、解決に向けて考えをもつ。日常の生活や自己課題、キャリア形成に関することなど。

②解決方法の話合い

 よりよい生活をつくるために問題の原因や具体的な解決方法、役割分担などについて話し合う。そして実践意欲をもつ。

③解決方法の決定

 話合い活動により他と合意形成を図り、自己及び集団の意思決定をする。とくに、生活上の諸問題の解決や学級内の組織づくり・役割分担、多様な集団生活の体験からの学びなど。ここでは、日々の学級経営の充実や学級教師の指導理念の具現化等とも関連させた実践的アプローチが重要である。

④決めたことの実践

 決定した解決方法や話合いの内容について責任と意慾をもって実践する。

⑤振り返り

 実践のプロセスにあって定期的に振り返るとともにその体験や結果を見直す。そして、次の問題発見や課題解決に生かす。ここでの体験は、直面する適応や自己成長となる課題であり、自律・自立に資する内容である。子供個々の理解や自覚、自己決定による実践が求められる場面である。

 

東京聖栄大学教授
有村久春
Profile
ありむら・ひさはる 東京都公立学校教員、東京都教育委員会勤務を経て、平成10年昭和女子大学教授。その後岐阜大学教授、帝京科学大学教授を経て平成26年より現職。専門は教育学、カウンセリング研究、生徒指導論。日本特別活動学会副会長。著書に『改訂二版:改訂版:キーワードで学ぶ特別活動 生徒指導・教育相談』『カウンセリング感覚のある学級経営ハンドブック』など。

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