絶対満足できる!新しい英語授業

菅正隆

新教育課程実践講座Ⅰ 絶対満足できる!新しい英語授業[第5回]教科「外国語」で準備すべきこと! 将来にわたって、指導力不足と呼ばれないために

トピック教育課題

2019.10.19

授業を充実させるためのポイント

1.過去形を知る

 数多くの語彙を教員として知っておくことは今後役立つものである。“We Can! 2”で使用される過去形は限られていることは先にも述べたが、ちなみに、中学校の1年生用検定教科書“Sunshine 1”(開隆堂出版)には、不規則動詞(過去形)は9個あり、break-broke、come-came、cut-cut、do-did、get-got、go-went、have-had、leave-left、sit-satである。また、3年間で学ぶ不規則動詞は90個程度である。まずは、中学校の教科書にある「不規則動詞活用表」を入手し、過去形を確認することが大切なことである。

2.知らない単語の代わりに日本語を使うことは認める

 子供たちは、知らない単語や表現をどうしようかと途方に暮れるものである。このような場合、恐れずに、「日本語でもいいよ」と優しい言葉がけをすることである。例えば、“I went to 児童図書館”や“I went to 狩り strawberries.”などである。とにかく、英語を使おうとするためには、抵抗感を感じさせないようにする努力が必要である。

3.英語を書くことを好きにする極意

 英語は教室を一歩出ると、聞かない話さない、読まない(見ない)書かないものである。子供たちの日常生活には存在しないものである。したがって、他の教科に比べて、情意フィルターが常に高いものである。嫌いになる条件は整いすぎている。その条件を少しでも緩和するために、教員は何をすべきか。特に、聞く話す読む書くの中で、「書くこと」が最も抵抗感があり、嫌われる技能である。そこで、書くことを好きにするには以下が考えられる。

(1)書く習慣を身に付けさせる

 ペンを持って、自ら英語を書くことは抵抗が強すぎる。特に、英語が分からない場合には、ペンを持つことさえ嫌がる。したがって、授業開きのときから、たとえ英単語1語、英文一文であろうと、毎時間ペンを持ってノートに書かせ、書く習慣化を図ることである。習慣化すると抵抗感は感じられなくなるものである。

(2)書く内容を楽しいものにする

 テキストや教科書の内容どおりに子供たちに書かせても、楽しいとは感じないであろう。例えば、“We Can! 2”のUnit2にある「日本の紹介の文を言って、書いてみよう」と言われても、子供たちの知識は豊富ではない。それなら「自分が、日本の中で行ってみたいところを紹介して、書いてみよう」なら、書きやすくなる。ディズニーランドやUSJ、地域の公園や海などが出てくるであろう。書くことを押しつけるのではなく、書いてみたいと思わせる内容に変えてみることで、意欲が沸いてくるものである。

(3)間違いは細かく直さない

 英文を書かせて、それの訂正をどのようにするかよく尋ねられる。もちろん、全て正しい英文に書き直すことが良いことであることは分かるが、もし、子供が書いた文が跡形もなく直されていたら、当然傷付くであろうし、やる気を削がれ、「英語はできない」と開き直って、書かなくなる可能性もある。そこで、内容を重要視し、あまり朱を入れないことである。その代わりに、「良く書けていたね」「内容良かったよ。1か所気をつけると完璧。イチゴのスペルはstrawberryだよ」などと内容を褒めながら、気になる点を明示することで、やる気を引き出すことができるものである。

 

Profile
大阪樟蔭女子大学教授
菅 正隆
かん・まさたか 岩手県北上市生まれ。大阪府立高校教諭、大阪府教育委員会指導主事、大阪府教育センター主任指導主事、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官並びに国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官を経て現職。調査官時代には小学校外国語活動の導入、学習指導要領作成等を行う。

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大阪樟蔭女子大学教授

岩手県北上市生まれ。大阪府立高校教諭、大阪府教育委員会指導主事、大阪府教育センター主任指導主事、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官並びに国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官を経て現職。調査官時代には小学校外国語活動の導入、学習指導要領作成等を行う。

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