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これからの外国語活動・外国語を円滑に実施するために

NEWトピック教育課題

2019.09.18

これからの外国語活動・外国語を円滑に実施するために

大阪樟蔭女子大学教授 菅正隆

新教育課程ライブラリII Vol.8 2017年8月

外国語活動・外国語の共通の課題

 2020年度から実施される次期学習指導要領に向けて、2年間(2018、2019年)の移行期間が目の前に迫っている。2017年度内には、移行に向けての授業時間数確保やどのような内容にするのかというカリキュラム作成も急がれている。時間数については、すでに文部科学省から、最低限の時間数として中学年で15時間、高学年で50時間確保することが求められている。その時間をどのように確保するかは学校にとって大きな問題である。さまざまな地域を回ると温度差があることが分かる。最低の15時間と50時間とするところから、先行実施として35時間と70時間を確保したところまで見受けられる。

 加えて、1コマを45分とするのか、短時間学習(モジュール)を活用するかもさまざまである。中央教育審議会の答申に「中学年においては、年間35単位時間、週当たり1コマ相当の外国語活動を、短時間学習で実施することは困難であり、小学校の教育課程全体を見通して弾力的な時間割編成を行っていくことが必要である」(下線部:菅)とあり、一時、中学年では短時間学習を活用してはいけないがごとくに流布したが、今夏の小学校外国語科・外国語活動教育課程説明会において、文部科学省の調査官からは「困難」とする理由が示されず、最終的に学校判断であると容認した形となった。これを受け、中学年でも短時間学習で実施するところが出始めている。

 また、新しく配布される外国語活動・外国語のテキストと、残り2年間使用予定の『Hi, friends !』をどのように組み合わせながら活用していくかも大きな課題である。

 ともあれ、抜本的にこれらの課題を解決するためには、次期学習指導要領から実践上の課題を明確にし、解決策を講ずる必要が出てくる。これらについて述べていきたい。

外国語活動(中学年)の課題

 中学年の外国語活動においては、現行の学習指導要領の外国語活動(高学年)の内容と大きくは異なっていないため、理解しやすい。しかし、細部を読むと、意外と大きな課題に発展しそうな点がみられる。課題は大きく3点である。

(1)文字の取扱い
 次期学習指導要領では、「聞くこと」の領域に、「文字の読み方が発音されるのを聞いた際には、どの文字であるかが分かるようにする」とある。これは、アルファベットの大文字と小文字の読み方の発音を聞いて、それがどの文字であるかが認識できるようにすることを意味している。かつて、国立教育政策研究所の高学年の児童への調査でも、大文字の定着は図れるが、小文字の定着度が低いことが分かっている。例えば、大文字でも、Dの音を聞いてTと混同する児童が30~40%、Mの音をNと混同する児童が20~30%程度見られた。小文字では、vをzと混同する児童が30%、bをdと混同する児童は25%見られた。加えて、bとd、pとqとの違いを理解できない児童は多い。これらは、今後、中学年で指導をすることが求められる。どのような指導を考えていけばよいのであろうか。

■解決策
 児童にとって、アルファベットの文字は日常、ひらがなほどには目にすることが少ない。そこで、中学校での英語授業のように、文字を書いて記憶させる方法は取るべきではなく、視覚から文字を認知させることが大切である。教室に五十音図表を貼っているように、教室や学校の至るところにアルファベット表を貼り、自然と目に入る環境を作り上げることである。また、アルファベットの文字学習は外国語活動だけではなく、3年生で行われる国語のローマ字学習(ヘボン式)と連携(クロスカリキュラム)を図り、外国語活動でも取り扱わせる。また、情報教育として、ローマ字入力でも連携を図ることである。

 また、抵抗感なく文字に親しませるために、文字を扱ったゲームやドリルを体験させることも重要である。私がゼミで研究開発している「子ども英語の効果的な教材」を使い、児童はアルファベットの文字に抵抗を感じず、文字の定着率も高くなっている。(株)サクラクレパスのホームページから無料でダウンロードできる。アクセス方法は、「サクラ外国語活動」で検索か、http://www.craypas.com/target/teacher/teach-es/english/dl-pdf/である。

(2)障害のある児童にも外国語活動を
 現行の学習指導要領には、障害のある児童に対する記述はない。それは、平成19年当時の学習指導要領作成に当たって、障害のある児童のための指導の在り方や評価の考え方を作成したが、最終的に入れ込むことができなかった。このことは今でも悔やまれる。しかし、今回、「障害のある児童などについては、学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的、組織的に行うこと」とした。嬉しい限りである。現在は、一部学校によっては、特別支援の必要な児童は、別教室、別カリキュラムで授業が行われている場合が見受けられる。これは、残念な気がする。

■解決策
 外国語活動は知識を注入するものではない。音声やリズムで英語に慣れ親しむものである。その際に、「正しく」や「適切に」が目標ではない。障害の状況にもよるが、是非とも他の児童とコミュニケーションを取る場面や歌う場面などに積極的に参加させていただきたい。そのような子どもたちが「リズムに合わせて体を動かすようになった」「大きな声で、コミュニケーションを取るようになった」など、成果は目に見えてくるものである。特別のカリキュラムを作成するのではなく、現学級のカリキュラムに加えて、どのような支援をするかについて付け添えるだけでよい。

(3)発表の場面設定
 次期学習指導要領には、取り扱う3つの領域の中に、話すこと[発表]がある。外国語活動といえば、コミュニケーション活動を中心に、友だちと英語を使って話すことが中心であるが、新たに話すことを[やり取り]と[発表]に分け、発表の指導を重視する考えが示されている。それを受け、中学年でもさまざまな発表をさせることが求められる。そのためには、場面設定から、指導の在り方、評価の考え方も新たにしなければならない。

■解決策
 単元で最終となるタスク(活動:発表)を意識して、語彙や表現に慣れ親しませながら、発表へのロードマップを作る。そして、児童一人一人に間違いを恐れずに、言いたいこと、他の児童に分かってもらいたいことを考えさせ、発表の際には、注意すべき点(評価すべき点)を指示し、ジェスチャーも取り入れながら発表させる。英語の苦手な児童にも、絵やジェスチャーで分かってもらう努力をさせ、評価にも加える。教員は常に児童の良い点を誉め、発表の嫌な児童が出ないように細心の努力をする。また、他教科でも、発表の機会を設けることで、英語の発表でも苦にならないようにさせる。

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