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絶対満足できる!新しい英語授業

菅正隆

新教育課程実践講座Ⅰ 絶対満足できる!新しい英語授業[第5回]教科「外国語」で準備すべきこと! 将来にわたって、指導力不足と呼ばれないために

NEWトピック教育課題

2019.10.19

新教育課程実践講座Ⅰ
絶対満足できる!新しい英語授業

[第5回]教科「外国語」で準備すべきこと!
将来にわたって、指導力不足と呼ばれないために

大阪樟蔭女子大学教授 菅 正隆

『リーダーズ・ライブラリ』Vol.5 2018年8月

 2020年度からは、高学年において、領域の「外国語活動」が教科「外国語」となる。現在、各学校では「外国語活動」のテキスト“Hi, friends!”と教科「外国語」のテキスト“We Can!”を5年生も6年生も併用している。何度もこの連載で書いているように、“We Can!”は現在の小学生には難度が高く、指導に困難を来すものである。各地を訪問しても、先生方からの声は、一様に「難しくて、教えられない」である。我々、英語教育を専門とする者の多くも今の子供たちには適していないと断じている。

 しかしである。2020年度から使用される検定教科書は、“We Can!”レベルの難度であろうと予想される。それは、教科書出版会社が教科書を作成する段において、“We Can!”をお手本として、作成していると考えられるからである。そうなると、教科になった暁には、教科書は「難しくて、教えられない」では困るのである。そこで、先生方はどう考え、どう準備すべきであろうか。

1.電子辞書を用意する

 現在、6年生で“We Can! 2”を使用している場合、この9月からUnit4 “I like my town.”(自分たちの町・地域)やUnit5 “My Summer Vacation”(夏休みの思い出)を取り扱うことになる。その中で、Unit4では「町を紹介する文を言って、書いてみよう」、Unit5では「夏休みの思い出を紹介する文を言って、書いてみよう」の課題が出されている。この場合、子供たちに学んだ語彙だけで言ったり書いたりさせるのは愚の骨頂である。子供たちは自由な発想で、様々に言いたいものである。例えば、Unit5では、過去形を扱っているが、goの過去形のwent、seeの過去形のsaw、eatの過去形のate、haveの過去形のhad、enjoyの過去形のenjoyed、そしてwasである。これで一体全体、子供たちの夏休みの思い出を表現させることができるのであろうか。「海に行った。イルカを見た。魚を食べた。楽しかった」くらいなら表現できよう。しかし、子供たちは千差万別、様々な夏休みを過ごし、自由な発想で言いたいことがいっぱいあるだろう。どう対処すべきか。やはり、既習の過去形を使ってするのか。そんな英語は楽しくないはずである。

 そこで、まずは自由に考えさせることである。中には、「キャンプをしました。野外炊飯をしました。カレーを作りました。ヤブ蚊に刺されました」や「おじいちゃんの所に行って、お祭りにでました。野菜に水撒きをしました。スイカの種飛ばしをしました」などなど、枚挙に暇がないほど出てくるはずである。これにどう対応するかである。「先生は英語が分からないから、来週までに調べておくね」では、興ざめである。そこで、小学校の先生方は電子辞書を必携とするべきである。子供に尋ねられたら、即座に和英辞書を活用して英単語を導き出し、子供たちに提示しながら、音声も同時に聞かせる(多くの電子辞書は音声付きである)。これで、子供たちは思ったとおりのことが発表できる。子供たちにとっても嬉しいことである。

 電子辞書の値段は様々で、少なくとも英和、和英、国語、漢和が揃えば十分である。子供たちに伝えながら、先生方も勉強することができる。また、さらに進んで、子供たちに英文例を示すこともできる。

2.英語の4線ノートを使用させる

 高学年では、中学年の「外国語活動」での聞くこと・話すことに加えて、読むこと・書くことが加えられる。その際、書くことについては、様々な課題に直面することになると考えられる。

 まずは、“We Can!”で使われている英語罫線(4線譜)である。すでにご存知の先生方も多いと思われるが、中学校では4線のそれぞれの間隔が同じであるのに対し、“We Can!”の4線は、上から2線目と3線目の間は極端に広く、書きやすいようにとの配慮からかもしれないが、これに慣れることの方が恐い。小学校現場からも不評で、中学校と同じように全ての間隔が同じもので書かせているところも多い。

 様々な批判を受けて、教科書会社はどのような4線で出版してくるかである。無理にバランスの悪い4線を使うのではなく、小中と一貫して書かせることに慣れさせるためにも、中学校と同じ4線に書かせるようにしたいものである。その際、お奨めは以下の英語のノートである。

「英語罫 学習帳」8段、10段(サクラクレパス)

3.読み書き障がいについて知る

 新学習指導要領の「外国語活動」及び「外国語」の中の、指導計画の作成と内容の取扱いの項に、「障害のある児童などについては、学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的、組織的に行うこと」と明記された。これは、現行学習指導要領に明記できなかったものである。私が文部科学省の教科調査官当時、「外国語活動」に障がいのある児童について明記するため、特別支援教育課と調整をしていたことがある。しかし、最終的には、時期尚早との判断で断念した経緯がある。今回、この文言が明記されたことは甚だ嬉しい限りである。

 ところで、一見障がいのない児童が、実は書くことや読むことについて障がいを持っていることが分かる場合がある。それは、読み書き障がいのディスレクシアである。大辞林には「学習障害の一種で、知的能力に異常がないにもかかわらず、読み書きに非常な困難を伴う障害。文字を読むことができない。文字がゆがんで見える、文字のかたちが記憶できないなどの症状」とある。特に英語圏には多く、聞いたり話したりすることはできても、書くことができなかったり、読めなかったりすることがある。俳優のトム・クルーズが有名で、アメリカでは、ディスレクシアのための特別な大学入試があるほどである。アルファベットを書かせたり読ませたりする中で、初めてディスレクシアではないかと気付くことがある。

 例えば、dとb、pとqの区別がつかない場合や正しく書き写せないなど、高学年で特に顕著になってくると思われる。私の知っている先生から「高校入試で、国語、数学、理科、社会は高得点だったのに、英語だけは数点で、合計点が高かったので合格しましたが、英語の授業では現学級で学習させず、1年間アルファベットを学ばせましたが、1年経っても正しく書けませんでした」と聞き、すぐに「ディスレクシアかもしれないので、適切な診断を仰ぎ、もしディスレクシアであれば、読み書きよりも聞く話すに特化した指導を心がけるように」と伝えたことがある。

 知識のないまま、子供たちに書かせたり読ませたりすることは、負担が大きく、注意しなければならない。急がず、ゆっくりと子供たちの状況を把握することが大切である。

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