スクールリーダーの資料室

ライブラリ編集部

スクールリーダーの資料室 新しい時代の初等中等教育の在り方について(諮問)

トピック教育課題

2019.08.30

新しい時代の初等中等教育の在り方

 以上に挙げたような、今後の社会状況の変化を見据え、初等中等教育の現状及び課題を踏まえ、これからの初等中等教育の在り方について総合的に検討するため、「新しい時代の初等中等教育の在り方」について諮問を行うものであります。

 具体的には、Society5.0時代の到来に向けて、第3期教育振興基本計画(平成30年6月15日閣議決定)、学校における働き方改革に関する総合的な方策に係る本年1月の中央教育審議会答申「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」や、教育再生実行会議において同月に取りまとめ公表された第11次提言中間報告及びその後の検討状況も踏まえ、以下の事項を中心に御審議をお願いします。

 

 第一に、新時代に対応した義務教育の在り方についてです。具体的には、以下の事項などについて御検討をお願いします。

〇義務教育とりわけ小学校において、基礎的読解力などの基盤的な学力の確実な定着に向けた方策

〇義務教育9年間を見通した児童生徒の発達の段階に応じた学級担任制と教科担任制の在り方や、習熟度別指導の在り方など今後の指導体制の在り方

〇教科担任制の導入や先端技術の活用など多様な指導形態・方法を踏まえた、年間授業時数や標準的な授業時間等の在り方を含む教育課程の在り方

〇特定分野に特異な才能を持つ者や障害のある者を含む特別な配慮を要する児童生徒に対する指導及び支援の在り方など、児童生徒一人一人の能力、適性等に応じた指導の在り方

 

 第二に、新時代に対応した高等学校教育の在り方についてです。具体的には、以下の事項などについて御検討をお願いします。

〇生徒の学習意欲を喚起し能力を最大限伸ばすための普通科改革など学科の在り方

〇いわゆる文系・理系の類型にかかわらず学習指導要領に定められた様々な科目をバランスよく学ぶことや、STEAM教育(本文脚注:Science、Technology、Engineering、Art、Mathematics等の各教科での学習を実社会での課題解決に生かしていくための教科横断的な教育)の推進

〇時代の変化・役割の変化に応じた定時制・通信制課程の在り方

〇地域社会や高等教育機関との協働による教育の在り方

〇特定分野に特異な才能を持つ者や障害のある者を含む特別な配慮を要する生徒に対する指導及び支援の在り方など、生徒一人一人の能力、適性等に応じた指導の在り方

 

第三に、増加する外国人児童生徒等への教育の在り方についてです。具体的には、以下の事項などについて御検討をお願いします。

〇外国人児童生徒等の就学機会の確保

〇外国人児童生徒等の進学・就学継続のための教育相談等の包括的支援の在り方

〇公立学校における外国人児童生徒等に対する指導体制の確保、指導力の向上

〇日本の生活や文化に関する教育、母語の指導、異文化理解や多文化共生の考え方に基づく教育の在り方

 

 第四に、これからの時代に応じた教師の在り方や教育環境の整備等についてであります。具体的には、以下の事項などについて御検討をお願いします。

〇これからの時代において児童生徒等に求められる資質・能力を育成することができる教師の在り方

〇新学習指導要領に示された児童生徒の発達の段階に応じた学習内容や指導の在り方を踏まえ、義務教育9年間を学級担任制を重視する段階と教科担任制を重視する段階に捉え直すことのできる教職員配置や教員免許制度の在り方

〇質の高い教師を確保し、資質向上を図るための養成・免許・採用・研修・勤務環境・人事計画等の在り方

〇免許更新講習と研修等の位置付けの在り方などを含めた教員免許更新制の実質化

〇学校以外で勤務してきた経歴や専門的な知識・技能を有する者など、多様な背景を持つ人材によって教職員組織を構成できるようにするための免許制度や教員の養成・採用・研修・勤務環境の在り方

〇学校や大学を取り巻く環境変化に対応する教員養成課程の在り方

〇特別な配慮を要する児童生徒等への指導など、特定の課題に関する教師の専門性向上のための仕組みの構築

〇幼児教育の無償化を踏まえた幼児教育の質の向上

〇義務教育をすべての児童生徒等に実質的に保障するための方策

〇いじめの重大事態、虐待事案等に適切に対応するための方策

〇児童生徒の減少による学校の小規模化を踏まえた自治体間の連携や小学校と中学校の連携等を含めた学校運営の在り方

〇これらを踏まえたチーム学校の実現等に向けた教職員や専門的人材の配置、教師を支援し教育の質を高めるICT環境や先端技術の活用を含む条件整備の在り方

 以上が当面、御審議をお願いしたい事項でありますが、これらに関連する事項を含めて、新しい時代の初等中等教育の在り方について、幅広く御検討いただくようお願いいたします。なお、これらの課題は広範多岐にわたることから、審議の状況に応じ、審議の区切りがついた事項から逐次答申していただくことも御検討いただきますようお願いします。

■Society 5.0時代の到来
Society 5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)。
狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱。

■Society 5.0の社会像
AI技術の発達
⇒定型的業務や数値的に表現可能な業務は、AI技術により代替が可能に
⇒産業の変化、働き方の変化
〇日本の課題
 AIに関する研究開発に人材が不足、少子高齢化、つながりの希薄化、自然体験の機会の減少
〇人間の強み
 現実世界を理解し意味づけできる感性、倫理観、板挟みや想定外と向き合い調整する力、責任をもって遂行する力

■Society 5.0における求められる人材像
〇共通して求められる力
 文章や情報を正確に読み解き対話する力
 科学的に思考・吟味し活用する力
 価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力
〇新たな社会を牽引する人材
 技術革新や価値創造の源となる飛躍知を発見・創造する人材
 技術革新と社会課題をつなげ、プラットフォームを創造する人材
 様々な分野においてAIやデータの力を最大限活用し展開できる人材 等

Society 5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~(Society 5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会)より抜粋


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