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スクールリーダーの資料室 新しい時代の初等中等教育の在り方について(諮問)

NEWトピック教育課題

2019.08.30

スクールリーダーの資料室
●新しい時代の初等中等教育の在り方について(諮問)

31文科初第49号 中央教育審議会

『学校教育・実践ライブラリ』Vol.2 2019年6月

 

次に掲げる事項について、別添理由を添えて諮問します。

新しい時代の初等中等教育の在り方について

平成31年4月17日
文部科学大臣 柴山昌彦

(理由)

学校教育の変化

初等

 今世紀は、新しい知識・情報・技術が社会のあらゆる領域での活動の基盤となっている知識基盤社会と言われており、人工知能(AI)、ビッグデータ、Internet of Things(IoT)、ロボティクス等の先端技術が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられ、社会の在り方そのものが現在とは「非連続的」と言えるほど劇的に変わるとされるSociety5.0時代の到来が予想されています。

 このような急激な社会的な変化が進む中で、子供たちが変化を前向きに受け止め、豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手として、予測不可能な未来社会を自立的に生き、社会の形成に参画するための資質・能力を一層確実に育成することが求められており、それに対応し、学校教育も変化していかなければなりません。

基礎学力の育成

 我が国の学校教育の現状に目を向けると、経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA2015)において世界トップレベルの学力水準を維持するとともに、全国学力・学習状況調査においても、成績下位の都道府県の平均正答率と全国の平均正答率との差が縮小するなど学力の全体的な底上げが確実に進んでいます。このように、子供たちの知・徳・体を一体で育む「日本型学校教育」とそれを支える明治以来150年に及ぶ教科教育等に関する蓄積は、全体としては着実に成果を挙げてきています。一方、基礎学力の育成に関して見ると、子供たちの語彙力や読解力については、課題も指摘されているところです。

 また、高等学校の多様化が進む中で、一部の高等学校では、大学や産業界等との連携の下で様々な教育が展開されていたり、地域社会の課題解決に大きく貢献する活動が実践されていたりする等、先進的な取組が進められています。一方、高校生の学校外での学習時間の減少や学習意欲の乏しい生徒の顕在化に加え、高校生の約7割が通う普通科の中には生徒が身に付けるべき力やそのために学習すべき内容を明確に示すことができておらず、大学入学者選抜等の影響と相まって、いわゆる文系・理系の科目のうち大学受験に最低限必要な科目以外について生徒が真剣に学ぶ動機を低下させている状況が見られるなど、Society5.0時代に活躍できる人材の育成の観点から大きな課題があります。

 こうした状況を踏まえ、次代を切り拓く子供たちには、文章を正確に理解する読解力、教科固有の見方・考え方を働かせて自分の頭で考えて表現する力、情報や情報手段を主体的に選択し活用していくために必要な情報活用能力、対話や協働を通じて知識やアイディアを共有し新しい解や納得解を生み出す力などが必要であり、平成28年12月の中央教育審議会の答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」を受けて改訂された学習指導要領の下で、それらの力を着実に育んでいくことが必要です。

 さらに、いじめの重大事態や児童虐待相談対応件数が過去最多となるなど、児童生徒の生命・身体の安全確保に関して深刻な課題が生じています。また、障害のある児童生徒、不登校児童生徒、外国人児童生徒など特別な配慮を要する児童生徒も増加しており、誰一人置き去りにしない教育を実現するため、これらの児童生徒等への支援体制を整えていくことが求められています。

教育環境の変化

 子供たちに実際に教育を行う教師の状況に目を転じると、我が国の質の高い学校教育は、高い意欲や能力を持った教師の努力により支えられている一方、平成28年度の教員勤務実態調査によれば、我が国の教師は、平均すると小学校では月約59時間、中学校では月約81時間の時間外勤務をしていると推計され、教師の長時間勤務の実態は深刻です。教師の採用選考試験の競争率の減少も顕著であり、特に小学校では平成12年度には12.5倍だった倍率が平成29年度には3.5倍となっています。志高く能力のある人材が教師の道を選び、我が国の学校教育がさらに充実・発展するためにも、学校における働き方改革を進め、教職の魅力を高めることの必要性は待ったなしの状況です。

 また、これからの時代の学校は、教師を支援し教育の質を高めるツールとして情報通信技術(ICT)やAI等の先端技術を活用することにより、地理的制約を超えて多様な他者と協働的に学ぶことを可能としていくことや、一人一人の能力、適性等に応じた学び、子供たちの意欲を高めやりたいことを深められる学びを提供していくことが可能となります。しかしながら、学校のICT環境は脆弱であり、地域間格差も大きいなど危機的な状況となっており、学校における先端技術の効果的な活用に向け、ICT環境の整備を着実に進めていく必要があります。

 さらに、Society5.0時代の教師には、ICT活用指導力を含む子供たちの学びの変化に応じた資質・能力が求められます。社会人など多様な人材を活用することにより、多様性があり、変化にも柔軟に対応できる教師集団を形成していくことが必要となるほか、教師や事務職員、様々な専門スタッフ、多様な背景を持つ外部人材が、地域住民等とも連携・協力しながらチームとして学校運営を推進していくことが重要です。4月から開始された新たな教職課程においては、こうした状況を踏まえて学生に対する指導を充実させるとともに、その改善を図ることが必要です。

 こうした状況に加え、我が国では、人口減少、少子高齢化、過疎化の進展により、一市町村一小学校一中学校等という市町村が232団体(13.3%)あるなど、児童生徒数の減少に伴う教育環境の変化に対応する必要があります。

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