ぎょうせい「学びのある」学校づくりへの羅針盤 スクールリーダーのための実務情報サイト

「社会に開かれた教育課程」づくりにおけるリーダーの役割 寺崎千秋(一財・教育調査研究所研究部長)

NEWトピック教育課題

2019.05.16

副校長・教頭の役割と取組

 副校長・教頭(以下に「教頭等」と示す)は、校長の2030年を意識し2020年に向けた新たな学校づくりのビジョンや方針、年次計画等を踏まえ、新教育課程編成に向けた組織編成、各年度ごとの取組計画や工程表の作成を行いそれらの執行管理を行う。

 教頭等は校長の補佐役として校長のこれからの時代に応じる学校経営ビジョンや方針、年次計画などの構築に際して、その相談に応じる、意見を述べる、質問するなどして、校長の意図や思いを十分に理解することが大切である。また、忙しい中ではあるが、自らも「社会に開かれた教育課程」や「新学習指導要領 総則」などをしっかりと学習し理解を深めておくようにする。教職員や保護者は教頭等に聞きやすいことから、いろいろと聞いてきたり意見や疑問を出したりしてくる。これに的確に応じたり、それらを校長につないだりすることが大切である。また、教職員や保護者とのやりとりから、個々の課題や対応すべき事項なども見えてくる。これらを踏まえて校長のビジョンや方針を具体化するための自らの取組方針を明らかにし、教頭等としてのリーダーシップを発揮するようにする。

 教育課程編成は校長を中心に全教職員の協力、家庭や地域の協力を得て進めるものである。これをどのような組織や役割分担で行うか、校長の方針のもとに実施する。まずは各教科等ごとの役割分担が決めやすい。次いで、教育課程を教科等横断的なものにするための組織や役割分担を明確にする。道徳、総合的な学習の時間、特別活動は全体計画を作成して各教科等との関連を明確にする。さらに、持続発展教育(ESD)、キャリア教育、主権者教育などの現代的な課題に対応して求められる資質・能力を育成する教育や、学習の基盤となる資質・能力を育成する教育なども教科等横断的な視点で教育課程を編成することが求められている。これらをどのような組織や役割分担で行うかについて、各主幹・主任の意見を聞きながら具体的に提案し執行し管理していくようにする。

 教育課程の編成日程や工程表に関しては、平成30年度、31年度、32年度の各年度にどのような事項を取り扱うかについて大枠を示すようにする。その上で各取組の工程表は表・枠組みのみを提示して、具体的な表づくりは各担当主幹・主任に委ねるようにする。

 各年度ごとの計画や工程表が円滑に進行しているかの執行管理も重要である。教職員は日々、現行の教育課程を実施する教育活動を行っている。その上での編成作業であることから、教職員の作業状況ばかりではなく、教育課程の実施状況や健康管理等も把握することが求められる。これらは働き方改革とも関連する。また、保護者や地域住民との協力・連携、学校評議員会や学校運営協議会などとの連携も教頭等が窓口になっていることから、これらとの協力・連携の執行管理も必要となる。まさに四方・八方に目を配りながらの業務となろう。それだけに、自らが全部やろうとせずに、組織・役割分担に沿って主幹・主任に任せて各人がリーダーとなって動くようリードすることが大切である。

主幹・主任の役割と取組

 主幹・主任は前述の「社会に開かれた教育課程」の①から④の視点を踏まえ、新教育課程編成の組織において自己のリーダーとしての役割を具体的に把握し認識することが必要である。そのためには、校長や教頭等とのコミュニケーションを大切にし、新たな学校づくりのビジョンや方針をしっかりと理解するとともに、新学習指導要領の趣旨や内容を自己研修により確実に理解する。特に、今回の改訂で重視された資質・能力の育成(三つの柱)、これを育むための「主体的・対話的で深い学びに向かう授業改善」「カリキュラム・マネジメント」についての理解を深めるとともに、校内研修等で教職員全員が十分な理解に達するようリードする。これらは、一度ならず折にふれて繰り返し研修し具体的な理解を全員が深め、実践に向けた意欲が高まるようにすることが大切である。

 教育課程の編成作業は、組織・役割分担によって作業が割り振られ、工程表に基づいて作業が進められる。こうした協働の作業時間を確保することも大切である。それぞれが、いつまでに何をどのようにすればよいかを明確にする。分からないところは相談にくるように助言する。折々に進行状況を尋ね、困っているところは助言したり助けたりする。特に、若手の教員は今回の新教育課程編成が初めての経験ということもあるので、一から教えていかなくてはならない。教育課程の意義から始まって指導計画づくりまで、カリキュラム・マネジメントの視点で指導助言することが大切である。

 「主体的・対話的で深い学び」をどう教育課程に位置付けていくかについても、校内研究・研修や実際の授業の参観での指導助言も含めて、個々の教員が具体的に理解し作業できるようにしていくことが必要である。教育課程編成に参画・参加する保護者や地域の人々とも実践的に協力・連携することが求められる。各教科等において地域等の教育資源をどのように教育内容と結び付けるかを研究し、保護者・地域の人々の考えや要望を受け止めながら教育課程に反映していくようする。
 主幹・主任は以上をトップダウンとボトムアップの要として、自らが機動性を発揮しながら新教育課程編成及び教員の力量の両面の質を高めていくリーダーとなってほしい。

 

一般財団法人教育調査研究所研究部長
寺崎千秋
Profile
てらさき・ちあき 一般財団法人教育調査研究所研究部長。東京都公立小学校教員。東京都教育委員会指導主事、同主任指導主事。都立教育研究所教科研究部長。練馬区立開進第三小学校長、同光和小学校長。全国連合小学校長会会長。全国生活科・総合的な学習教育研究協議会会長。生活科・総合的な学習教育学会常任理事。中央教育審議会臨時委員。文部科学省政策評価有識者会議委員。東京学芸大学教職大学院特任教授。著書『新教育課程完全実施の授業力更新』他、多数

この記事をシェアする

特集:「社会に開かれた教育課程」のマネジメント

オススメ

リーダーズ・ライブラリVol.2

2018年6月 発売

本書の購入はこちら

すぐに役立つコンテンツが満載!

ライブラリ・シリーズの次回配本など
いち早く情報をキャッチ!

無料のメルマガ会員募集中

関連記事

すぐに役立つコンテンツが満載!

ライブラリ・シリーズの次回配本など
いち早く情報をキャッチ!

無料のメルマガ会員募集中