教頭・副校長のための時間が増える! 仕事のワザ[第3回] 職員会議などの諸会議をスムーズに進行して時間を生み出す
学校マネジメント
2021.12.13
教頭・副校長のための時間が増える! 仕事のワザ
[第3回] 職員会議などの諸会議をスムーズに進行して時間を生み出す
岐阜聖徳学園大学教授
玉置 崇
(『新教育ライブラリ Premier II』Vol.3 2021年8月)
教頭・副校長として、様々な会議の企画や進行役を務めることがあるでしょう。今回は、その会議をより充実させたり、進行をスムーズに行ったりする技をお伝えします。
職員会議の進行をスムーズにする技
職員会議の議題はどのようにして決めているでしょうか。多くの学校は、次の5点から決定していると考えています。
①昨年度同時期の職員会議での議題をもとに決定
②運営委員会の話し合いをもとに決定
③校務分掌からの提案をもとに決定
④事務部からの提案をもとに決定
⑤校長・教頭の意向をもとに決定
さて、職員会議の次第(議題一覧)作成に、時間をかけていませんか。GIGAスクール構想をより早く実現するために、教職員もICTを積極的に活用しましょう。
例えば、校務支援システムの連絡掲示板に議題としたい事項をそれぞれの立場から書き込むとよいでしょう。協議する順は最終的に決めればよいことです。まずは提案したい者が自身で書き込むというルールを作ると、次第作成の時間が省かれ、手間がなくなります。
なお、議題提案の際に、協議に要したい時間も加えてもらうとよいでしょう。
・10月の行事予定ついて(10分)
・卒業証書授与式について(20分)
・10月から2月までの下校時刻について(10分)
というように、提案者に協議時間として必要と思う時間を記してもらうのです。議題が多くなれば、当然、全体時間が長くなります。勤務時間の関係で要望通りの時間を設定できないことは多々あります。会を進行する教頭・副校長が会議終了時刻から逆算して、それぞれの議題にかける時間を決め、それを次第に明記しておくことで、会の進行がよりスムーズになります。
なお、時間を明記した以上、その時間は厳守すべきです。協議の中で予定した時間内で結論が出せない事柄も出てくることがあります。その際は、進行役の腕の見せ所です。「〇については運営委員会で結論を出すことでよいでしょうか」「□については担当の専門委員会で審議してもらうことにして、翌月の職員会議で提案していただくことでよいでしょうか」「△については校長先生に最終決定していただくことにします」などと、次のステップに移行する提案(空気を読みながら賛同を得られる提案を心掛ける)をして、次の議題に移ることが大切です。
さらに職員会議提案はすべてデジタルで行うことにも挑戦するとよいでしょう。掲示板上に議題一覧が掲載されるわけですから、そこから各提案文書へのリンクをはり、議題をクリックすると文書が立ち上がってくることは容易にできるはずです。提案者も印刷・綴じ・配付の手間が省け、職員会議のデジタル化に賛同することでしょう。
PTAや地域会議の進行をスムーズにする技
PTAや地域会議の進行は、教頭・副校長として神経を遣う業務の一つです。
忘れてはならないのは、PTAや地域からの参加者は、時間の調整をしたり、仕事を休んだりして、それぞれが時間を生み出して学校に来ていただいていることです。教頭・副校長は勤務時間内で会議を行うことが多いので、失念しがちなのです。
このことを踏まえると、PTAや地域会議の進行で心掛けるべきことが明確になります。参加者が「参加してよかった」と思うことです。単に報告だけの会議だったらどうでしょう。わざわざ学校に足を運ばなくても文書を送ってくれればよかったと思う方がいます。オンライン会議で十分だったと感じる方もいるはずです。
このような気持ちを持っていただかないようにするためには、会議の中で、声を発してもらうことです。議題についての感想を述べるだけでも、参加者の意識は異なってきます。
「□さん、地域でこのことについて耳にしたことはございますか」
「△さん、学校がこのようなことをしますと伝えると、保護者の皆さんはどう思われるでしょうか」
など、授業のように参加者を意図的指名します。そこで、参加者が答えやすい問いを発して、気軽に発言してもらいます。そのとき、「ありがとうございます」「なるほど。気づきませんでした」などと、必ずお礼を述べることを忘れていけません。
このことが、なぜ時間が生まれる技となるのかと疑問を持たれる方があるでしょう。会議を通して、PTA役員や地域役職者とコミュニケーションをとっておくと、「あの教頭・副校長なら伝えておいた方がよい」と思われるのでしょう。電話等で、「実は…ということがあるのだが、知っておられるか」などと情報を寄せていただけます。わざわざ伝えられる情報は貴重です。びっくりするような事柄もあって、事前対応ができて大事にならなかったということが幾度かありました。知らずしていれば、問題が発覚したときには、その対応にかなりの時間を割かなくてはならなかったと思ったことが何度もあるのです。コミュニケーションは時間を生み出すための直接的な手段ではありませんが、そのことで無駄な時間が省かれると、経験上、強く思います。
Profile
玉置 崇 たまおき・たかし
1956年生まれ。愛知県公立小中学校教諭、愛知教育大学附属名古屋中学校教官、教頭、校長、愛知県教育委員会主査、教育事務所長などを経験。文部科学省「統合型校務支援システム導入実証研究事業委員長」「新時代の学びにおける先端技術導入実証事業委員」などを歴任。「学校経営」「ミドルリーダー」「授業づくり」などの講演多数。著書:『先生と先生を目指す人の最強バイブルまるごと教師論』(EDUCOM・2020年)、『先生のための話し方の技術』(明治図書・2021年)など多数。