【書評記事】 子どものユーモア詩が本に ―『子どものココロが見えるユーモア詩の世界 親・保育者・教師のための子ども理解ガイド』(増田 修治/著)
特別支援教育・生徒指導
2020.10.21
子どものユーモア詩が本に
書評記事 小社刊『子どものココロが見えるユーモア詩の世界 親・保育者・教師のための子ども理解ガイド』(増田 修治/著)
「真っすぐな感性で本質」
「ユーモア詩」というユニークな教育に取り組んできた白梅学園大教授の増田修治(ますだ・しゅうじ)さん(臨床教育学)が、約11年間の新聞連載で紹介した子どもたちの詩と解説などをまとめた本「子どものココロが見えるユーモア詩の世界」を出版した。
埼玉県内の公立小学校教諭時代からユーモア詩に取り組む増田さん。本書で、子どもは本音をそのまま表現することを積極的にせず、笑いに溶かし込んで表現することが多いと説いている。
例えば、当時小学6年の女子生徒の詩「クリスマス・イン・お寺」。「うちの親戚はお寺だ。お寺といえば仏教。でも毎年家族で、クリスマスパーティーをやっている。なくなった先代の住職も毎年楽しみにしていたらしい。世界中このノリだったら、きっと戦争は起きないだろうな」。この詩を増田さんは「真っすぐな感性で戦争の本質をとらえている」と評する。
増田さんは「子どもは違う角度から物事を見ていて面白い。親や保育士、教諭だけでなく、多くの大人たちに自分の子ども時代を思い出しながら読んで笑ってほしい」と話している。
「子どものココロ―」はぎょうせい刊、1,980円。(共同通信社)
本の著者 Profile
増田修治(ますだ・しゅうじ)
1958年生まれ。埼玉大学教育学部卒。小学校教諭として28年間勤務。「ユーモア詩」を用いたユニークな教育の実践はメディアで取り上げられ大きな反響を呼ぶ。2008年より白梅学園大学に勤務。現在、子ども学部子ども学科教授。初等教育の教員育成に携わるとともに、保育・幼児教育・小学校教育における子どもの発達や学力、いじめなど多彩な課題に取り組んでいる。著書に、『笑って伸ばす子どもの力』(主婦の友社)、『「ホンネ」が響き合う教室』(ミネルヴァ書房)、『幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿を育む保育実践32』(黎明書房)など多数。
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